影の試練と、新たなる「盤面」
遺跡の自爆装置を間一髪で解除したクロノたちの前に、空間の歪みから音もなく黒い人影が立ち現れた。
それは、世界の均衡を揺るがす者を排除するために組織された、伝説の「影の暗殺者ギルド」の刺客だった。
「スキルを失い、ただの知恵者となった少年よ。お前がこの先の領域に進む資格があるか、我らの刃で試させてもらう」
相手は一切の殺気を消し、物理的な法則すら無視した神速の踏み込みでクロノの首元へと肉薄する。ガイルの大剣が間に合わないほどの超至近距離。
しかし、クロノの身体はすでに、システムに頼らない「最適解」を記憶していた。
「千代さん、僕の左斜め後方、30センチの位置へ抜刀を。――そこに、彼が次に現れる『正解の座標』があります」
「――ハッ!」
クロノがわずかに頭を傾けて刃を避けた瞬間、千代の妖刀が正確無比に空間を切り裂き、暗殺者の武器を弾き飛ばした。
「な……!? 完全に気配を消していたはずの我が一撃を、なぜ先読みできる!?」
驚愕する暗殺者に対し、クロノは静かに微笑む。
「あなたの足運び、呼吸の微かなズレ、そして視線の誘導。スキルがなくても、僕の目はあなたの『次の一手』を完全に看破しています。――さあ、僕たちの新しい連携にチャレンジしてみますか?」
背後からはガイルの豪快な笑い声と、ルナの魔力の高まりが響く。力を失ってもなお、クロノたちの「完全無双」の旅路は、誰にも止めることはできなかった。




