表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クズ勇者が優秀な回復師を追放したので、私達のパーティはもう終わりです  作者: 江本マシメサ
第四章 世界樹のもとへ……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/90

魔法使いひとりで

 絶体絶命の危機が眼前に迫る。

 もう、助けてくれる仲間は誰ひとりとして生きていない。


 けれども今だけは、ただただ都合が・・・よかった・・・・


 私の命を刈り取ろうと襲いかかる蔓に向かって、私は言葉を紡ぐ。


「――竜巻サイクロン


 それは鳥系モンスター、ロックが私に使った才能ギフトである。

 鎌のような竜巻が起こり、私の全身をバラバラに切り裂いてくれた。

 同じように、私に接近する蔓はぶつ切りにされていく。


 次なる蔓が私に迫る。

 その蔓をぐっと掴んで叫んだ。


氷の爪先アイス・クロー


 それはスノー・ガウルが私に使った才能ギフトである。

 全身氷漬けにして凍死させる、恐るべき技だ。

 掴んだ蔓はどんどん凍っていき、全体に広がっていった。

 このままでは、捕らえられた回復師まで凍ってしまう。それだけは避けたい。

 なぜかと言えば、彼女は聖なる者セイント才能ギフトを持つ聖女だから。


 跳び上がって蔓を思いっきり踏みつけながら叫んだ。


死の行進デス・パレード!」


 それはゴブリンが使った、攻撃対象を死ぬまで踏みつける才能ギフトである。

 凍った蔓を踏みつけると、バラバラに砕け散った。

 蔓の上をぴょんぴょん跳びはねながら前に進み、世界樹を登っていきながら破壊していく。

 ついに回復師のもとまで接近したが、彼女に巻きついた蔓は凍っていなかった。


風の刃エアブレイド


 マジシャン・ゴブリンが使っていた才能ギフトで蔓を切り裂き、回復師を救出させる。

 支える蔓がなくなったので、回復師の体は落下する。と思いきや、不思議な光に包まれ、ゆっくり、ゆっくり下りて行った。

 その様子を見て、ホッと胸をなで下ろす。


 蔓には核があるようで、そこから蔓がどんどん生まれているようだった。

 死の行進デス・パレードを使って蔓を破壊しながら、世界樹を登っていった。

 途中、生首状態の勇者様や、はりつけ状態の勇者様(本物)、賢者などが視界の端へ移る。

 今は助けている場合ではなかった。蔓をどうにかするのが先決である。

 世界樹の中心部まで辿り着くと、蔓が束になって襲いかかってきた。

 竜巻サイクロンを全身に纏い、蔓の接近は許さない。

 一歩、一歩と近付くにつれて、蔓はバラバラに切り裂かれる。


 ついに核のもとへやってきた。

 世界樹にぽっかり空いた窪み、樹洞うろを占拠するような形で詰まっていたようだ。

 私は拳を握って叫ぶ。


「猛烈パンチ!!」


 それはアイアン・ゴーレムが使った才能ギフトである。

 核に拳を叩き込むと、ヒビが入って割れた。

 世界樹に巻きついていた蔓は消滅し、魔力の汚染が止まったようで、周囲の邪悪な結界も消えてなくなる。


 ふーーーー、とため息を吐いていたら、拳に何か握っているのに気付いた。

 それは、芽がでた種である。

 種の大きさは胡桃くるみくらいあるのだろうか?

 一瞬蔓の種かもしれないと思ったものの、邪悪な気配はいっさい感じなかった。

 なんだか大切にしなければならない存在もののように思えて、布に包んで鞄の中にしまっておく。


 さて帰ろうか。と思って踵を返そうとしたら、微かに声が聞こえた。


『きゅうううううん』


 今にも消えてしまいそうなか細い鳴き声には、聞き覚えがあった。

 慌てて樹洞の中を覗き込む。


「もしかして、イッヌですか!?」

『きゅん!!』


 樹洞の中にいたのはイッヌと――勇者様の首から下の体だった。

 どうやらここに閉じ込められていたらしい。


『きゅうううん! きゅうううん!』


 イッヌは涙目で私のもとへと迫り、尻尾をぶんぶん振って喜びを表している。


「ああ、イッヌだけは生きていたのですね」

『きゅん!』

「それでは、見て・・しまったのですか?」

『きゅううん?』


 みんな死んでいるから大丈夫だと思っていたのに、イッヌは私が才能ギフトを使うのを目撃してしまったそうだ。


「イッヌ、これから勇者様を助けてさしあげますが、私の才能ギフト、〝因果応報アンチ・カルマ〟を見てしまったことは、内緒にしていてくださいね?」


 因果応報アンチ・カルマ――それは、私を殺した者から才能ギフトを奪い、二度と使わせなくした上に、使うさいは私が死んだときと同じように〝必ず殺す〟技だ。

 ずっとずっと才能ギフトについて黙っていたのは、悪用されないようにするためだ。


「イッヌ、わかりましたね? もしも口外したら、勇者様の命は助けないので」

『きゅん! きゅん!』


 賢いイッヌは何度も頷き、秘密を喋らないと約束してくれた。


 この樹洞は世界樹の中間に位置する。

 勇者様と共にどうやって下りようか。


 まずは、勇者様の遺体を地上へ落として――なんて考えていたら、私の目の前に世界樹の木の枝が差しだされる。

 まるでダンスに誘うような仕草だった。


「もしかして、私達を地上へ下ろしてくれるのですか?」


 返事をするように、葉っぱがそよそよと揺れた。

 勇者様の遺体を樹洞から引っ張りだすと、世界樹の枝が横抱きにするように抱えてくれた。

 イッヌを抱いた私も、優しく支えてくれる。

 世界樹の枝に抱かれながら、私とイッヌ、勇者様は地上に降り立った。

 私達以外にも、勇者様(本物)や賢者、ぶーちゃんも下ろされていた。

 勇者様の生首も転がっている。

 まずは回復師を蘇生させて、皆を回復してもらわなければならないだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ