2-19 オーミの街4
魔族の気配問題が片付いたので、ダンジョンアタックを再開した。
いや、しようとした。
だが、お嬢様たちはメリーアン様に夢中で、ずっとかわいがりっぱなしである。
まあ、いいか。
飽きるまで遊んでも。
今のうちに、シルブプレ&ルカと、信頼関係を構築しておこう。
寝首をかかれてはたまらない。
「ニャー(あのようにお嬢様たちには何の悪意もありません)」
「メエー(そこは我々も見て納得しました。 信頼しきれてないのは、あなたです)」
オレか。
「ニャー(私はお嬢様の忠実な僕、じゃない、執事ですが?)」
「メエー(ベアトリス様に逃げていることを話してないですよね?)」
「ニャー(それはベアトリス様の精神面の健康を慮ってのことですが、 そこがお気に触るようでしたら、これをあなたにお預けします)」
「メエー(これはっ!!!)」
「ニャー(王位継承の権利を証明する魔導メダルです。 我々は平和に生きたいだけなのです。 王位継承争いに参加する気はありません。 ただし第二王子の王位継承には反対です)」
シルブプレはメダルを受け取り、本物なのを確認し、次元収納に格納した。
シルブプレは空間魔法に優れており、その次元収納はたとえ本人が死んでも幾重にもセキュリティがかけられ、何人も取り出すことは出来ない。
ここまでしてようやくシルブプレは警戒を解いてくれた。
「メエー(覚悟を見せていただきました。 あなたは敵ではありませんでした)」
そう言うとメダルを返してくれた。
「ニャー(返してくれたということは、そちらも?)」
「メエー(我々も平穏を望みます。 担ぎ上げる気はありません。 リスクを増やす気もありません)」
「ニャー(いずれ追っ手は来るでしょう、必ず。 対するそちらの戦力が心配です。 ここは一緒に行動しませんか?)」
「メエー(ありがたい申し出です。 しかしリスクが増えますが、よろしいのですか?)」
「ニャー(よくはないのですが・・・あれをご覧下さい)」
ベアトリスとクランベールが交代々々でメリーアンを抱っこしたりあやしたりして、それをルカが微笑ましく見守っている。
「ニャー(お嬢様たちが笑顔で、メリーアン様も笑顔ですから、我々はそれを守るべきだと思ったのです)」
「メエー(確かに)」
予定外の同行者が増えてしまった。 これからどうしようか。




