1-18 水の迷宮2
「ここでおわりなのじゃ?」
「ニャー(いえ、まだです。 ここは80階層の中ボスです)」
「いいかげん、さかなくさくなってきたのじゃ。 ここをやっつけたらしばらくダンジョンはおやすみじゃ。」
「ニャー(かしこまりました)」
中ボス部屋の中は、またもや海水で満たされていた。
そこには人魚や魚人がたくさんいた。
「ニャー(これは魚人族? いや、似ているけどモンスターですね。 お嬢様、どうぞご存分に)」
「いわれなくても、のこらず ばくれつじゃ!」
そのとき人魚たちは歌いだした。
歌は部屋中に響き、ベアトリスは放心して聞いていた。
歌は頭の中に直接響く、精神攻撃魔法だった。
「ニャー(これはお嬢様には荷が重いですね)」
ベアトリスはまだ幼く、精神耐性はまだ完成されていない。
要するに精神攻撃にはめっぽう弱い。
ここは執事のオレがお守りせねば。
棒立ちのお嬢様に魚人たちの槍が迫る。
振り回した猫爪の跡に水刃が生まれ、槍ごと魚人たちを細切れにする。
人魚たちは歌いながらお嬢様とオレの周りをぐるぐる泳ぎだしたが、オレに精神攻撃が効かないのをさとると、かわいい顔が豹変し口が裂け噛み付き攻撃を仕掛けてきた。
人魚の毒は強力で、魔族でも危ない。 でも届かない。
全員細切れになって沈んでいった。
これでお嬢様は目を覚ますかな? ダメか。
宝箱の罠を解除し、水のアンクレットをもらい、お嬢様をおぶって宿に戻った。
一晩寝かせれば大丈夫だろう。
おなかがすいて目が覚めた。
「ニャー(ご気分はいかがですか、お嬢様)」
「アル、おなかすいた。」
「ニャー(どうぞ、コーンスープとカツサンドとたまごサンドと野菜サンドです)」
もきゅもきゅ。
「はあ~♪ あれ? にんぎょは?」
「ミャー(人魚魔物たちは卑劣な攻撃をしましたので、私が罰を与えておきました)」
「ふ~ん。 まあいいのじゃ、もうさかなは、あきたのじゃ。」
「ニャー(水のアンクレットは体力最大値30%アップ、水魔法の威力50%アップの効果持ちでした。 おみ足に装備しています)」
ふうん、水魔法は苦手なのじゃが・・・
効果が腕輪とアンクレットで合わせて2倍となると、少しは使えるかもしれぬのう。
「まちで つかってもよいか?」
「ニャー(だめです)」




