1-16 フローレの街2
「ほうほう、たしかにこのまえのまちより、ひとのかずがおおいのう。」
「こんなにおおぜいいるなら、ちょっとぐらいころしてもいいよのう?」 チラッ
「ニャー(だめです)」
アルのケチ。 ケチンボ、シブチン、猫目黒。
そうだ、人族を殺さないと死んでしまう病にかかったといえば、いいと言うかも。
「ニャー(お嬢様、この街にもダンジョンがありますが、行かれますか?)」
「おお! このうっぷんをモンスターではらすのじゃ。」
宿に寄り道して、町の中心にあるお城に向かった。
なんでも王城の地下がダンジョンになっているらしい。
「ニャー(ここは水の迷宮です)」
今回は正規の入口から入らず、こっそり中へ転移した。
早速アルは、使い魔の黒い小鳥たちを大量投入した。
「ニャー(ここは20階層まで弱いモンスターですね。 21階からでいいですか?)」
「よきにはからうのじゃ。」
21階層に転移した。
高威力のウインドカッターを大量に飛ばせるようなったので、瞬く間にモンスターの亡骸の山となる。
「どんどんいくのじゃ。」
階をどんどん降りて行き、私のテンションは上がっていったが、アルはなぜか気落ちしていった。
「アル、どうした?」
「ニャー(宝箱がないのです。 最近回収されて、まだ再生していないのかもしれません)」
「そんなことか。 どうせほうせきはないのじゃからどうでもいいのじゃ。」
さすがケチンボ、シブチン。
宝箱なんてダンジョンのオマケなのに。
どこかで見たような凡庸なモンスターばかりで、楽々と中ボス部屋に着いた。
「どれどれ、どんなヤツかのう?」
は? ボス部屋は水で埋め尽くされていた。
階層でたまにあるけど、ボス部屋とは珍しい。
「さかなのモンスターじゃ。」
「ニャー(鮫ですね)」
アルめ。 ちょっと魚の名前を知ってるからと、いい気になりおって。
「ウインドカッター!」 ありゃ? みずのなかでは、つかえんか。
「ファイヤーストーム!」 うおっ! 湯気で真っ白になった!
「ニャー(お嬢様、僭越ながら、状況にあった魔法を正しく選択くださいますよう)」
真っ白で見えない向こうからのサメの噛み付き攻撃をかわしながらアルの小言を聞く。
ムカツク。
爆裂でサメを爆発させる。
まわりの水は真っ赤になった。
水中爆発の衝撃でシールドの弱いところから水が吹き出した。
「ニャー(お嬢様、水の魔物には電撃攻撃が定石です。 それにしても・・・)」
ちげっ! これはお漏らしじゃないんだからねっ!




