1-14 風の迷宮4 (※イラストあり)
お嬢様の魔法を追いかけて走っている。
なんとしても被害者を出さないようにせねば。
ええい、変装解除っ! 素早さ30%アップの指輪も装備っ!
間に合った! 冒険者たちをシールドでガード!
お嬢様の魔法、ファイアストーム(火災旋風)が吹き荒れる。
「何事?」 「ガオ(何事や?)」
あれ? この声は?
ああ、お嬢様のお姉様のエリザベス様とその執事でしたか。
じゃあシールドはいいや、解除。
「ギャー!」 「ガオー(ギャー!)」
「アルー!」
私とした事が、お嬢様から気をそらすなんて。
「ニャー(失礼しました、お嬢様。 冒険者はいませんでした)」
「いるやろ!」 「ガオ(燃えとるがな!)」
「ニャー(この人たちはお嬢様のお姉さまのエリザベス様とその執事です)」
「階層全部を燃やすのはマナー違反ですよ、ベアトリス。」
「ガオ(髪がチリチリになってもうたがな)」
「え?まぞく? こわっ!」
「あんたも魔族や!」 「ガオ(あんたも魔族や!)」
「ニャー(で? エリザベス様が第二王子側でしたらここで決着をつけますが?)」
「・・・へえ、その言い方だと追っ手ではないのですね?」
「カオ(いきなり燃やしてけつかるから信用はでけまへんけどな)」
「おねえさまも、りょこうちゅうなの?」
「・・・なるほど。 そうね、この子には関係のない話だわ。」
「おねえさまも、いっしょにいきますか?」
「いいえ、ベアトリス、よく聞いて。 たとえ兄弟姉妹でも信用しちゃダメよ、気をつけて。」
「ガオ(ほなわてら行きまっさ。 言うとくけど追いかけてきたら承知しまへんで)」
去り行くふたりを見送るふたり。
「アル、どうなってんの?」
「ニャー(隠し部屋の宝箱を取ったら宿に帰って、明日の朝この街を出ましょう。 今、魔王の子供同士がそばにいるのは危険なのです)」
宝箱の中身は風の模様のアンクレットだった。
素早さ50%アップ、風魔法の威力50%アップと高性能で、またお嬢様につけてもらった。
宿に帰ったら猫と間違われて追い出された。
変装を解いたのを忘れていた。




