6-5 ゴーズ砂漠3
「・・・ぁ・・・」
回復魔法と看病のおかげで一命を取り留めた白い子犬獣人は、みんなが覗き込んでいる中で目を覚ました。
「わん(あわわ、たべないで ください~、なのです!)」
「「「食べないよ!」」」
「わん(こ、ここは・・・?)」
「ここは馬車の中、あなたは砂漠で行き倒れてるところを私達が助けたの。」
「わん(そうでしたか、ありがとうございます、なのです)」
「わん(あの、ほかのみんなは・・・?)」
「ほかのみなさんはもう駄目でした。 魔物に襲われて損傷も酷く、その人たちに守られていたあなただけが唯一の生き残りでした。」
「わん(そうなのでしたか・・・。。)」
ルカが水とあたためたミルク粥を用意してきた。
「パカー(まずは落ち着いて~、水と栄養を取って休んでね~)」
「わん(ありがとうございます、なのです)」
水を飲み、ミルク粥を食べ、やっと落ち着いた白い子犬獣人は、きょろきょろしながら言った。
「わん(あの、あなたがたは? あっ、もうしおくれました、わ・・・)」
「「「わ??」」」
「わん(わん!)」
(一同) ガクッ。
「わん(ぼくは、じゅうじんのくに ガルムの、アベルというものなのです。 あの~、あなたがたは?)」
「われはベアトリスじゃ。」 「わたしはクランベール。」 「ドロシーだ。」「パカー(ルカです~)」 「ニャー(アルフレッドです)」 「わたしはティンプルちゃん!」 「ダー!」 「(ジェスチャーしている)」
「わん(はあ)」
「じゃあゆっくりでいいから事情を聞かせて。」
「わん(はいなのです。 ガルムと まぞくの くにが ていせん したので・・・)」
要約するとこうだ。
獣人の国ガルムにはもともと魔法師が少ない。 それなのに希少な魔法を使える者が死んでしまった。 その魔法が火急に必要で、その魔法が使える者に会うために魔族の国に行こうとしたら、魔物の罠に引っかかって襲われた。 で、気がついたらここにいた。
「ニャー(どんな魔法が必要なんですか?)」
「わん(はい、ひつような まほうは、『やまいうつし』 なのです)」




