第9回「冒険者ガイド」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
冒険者ギルド――。
登録を終えた美穂は、受付カウンターの前に立っていた。
受付嬢が一冊の本を取り出す。
「こちら、冒険者ガイドです」
「冒険者ガイド?」
「はい。冒険者として活動するうえでの基本的なことが書いてありますので、読んでおいてくださいね」
「ありがとうございます!」
美穂は冒険者ガイドを受け取った。
ずっしりとした厚みがある。
「結構、ちゃんとしてる……」
表紙を開き、ペラペラとめくっていく。
冒険者ギルドの仕組み
依頼の受け方
報酬の受け取り方
怪我をした場合の対応
「なるほどねぇ……」
さらにページをめくる。
「あ、地図だ」
そこには、カスミタウンの街と、その周辺地域が描かれていた。
湖、街、街道、森、草原
「結構広いんだ……」
受付嬢が横から覗き込む。
「この辺りが、薬草の群生地ですね」
地図の一角を指差す。
「街からそれほど遠くありませんので、Fランクの方にもおすすめですよ」
「なるほど」
「こちらの森にも薬草があります。ただ、少し奥へ行くと魔物が出ますので、最初は避けた方がいいですね」
「分かりました」
美穂は真剣に地図を見る。
次のページには、薬草の図鑑が載っていた。
「わあ、写真……じゃないけど、絵がある!」
薬草の特徴
生息場所
採取方法
買い取り価格まで書かれている。
「これ、すごく分かりやすいですね」
「冒険者の方が間違えないように作られていますから」
さらにページをめくる。
今度は魔物の紹介だった。
「ゴブリン……」
絵と一緒に、生息地や特徴が書かれている。
「角ウサギ……」
こちらは少し可愛らしい。
「でも、魔物なんだ」
さらに危険度の高い魔物も載っている。
「うわ……これは怖い」
美穂は本を閉じかけた。
しかし、また開く。
「……ちゃんと覚えておこう」
農家だって、畑に何がいるのか知らなければ困る。
魔物も同じ。
知らないものには近づかない。
美穂は冒険者ガイドを大切そうに抱えた。
「これ、すごく役に立ちそう」
「そう言っていただけると嬉しいです」
受付嬢は微笑む。
「薬草採取でしたら、先ほどの群生地がおすすめです。こちらの道を使えば迷いにくいですよ」
受付嬢は再び地図を開く。
指で街から薬草の群生地までの道をなぞっていく。
「ここを出て、街道をまっすぐ。この分かれ道を右です」
「はい」
「それから、この川を渡った先が群生地です」
「なるほど……」
美穂は頷きながら地図を見つめる。
「この辺りには危険な魔物はあまり出ません。薬草を採るだけなら、十分注意していれば大丈夫だと思います」
「分かりました!」
美穂は笑顔になる。
「親切!」
「え?」
「とても親切!」
美穂は冒険者ガイドを胸に抱えた。
「冒険者ギルドって、もっと怖いところかと思ってました」
「ふふっ。最初は分からないことだらけですからね」
「助かります!」
美穂は冒険者ガイドを大事にしまう。
これなら、初めての仕事でも何とかなりそうだ。
「よし……」
まずは薬草採取。
田んぼが軌道に乗るまでの生活費を稼ぐ。
美穂の異世界での冒険者生活が、いよいよ始まる。
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