第7回「貨幣価値」
※本作は「小説家になろう」と「カクヨム」に重複投稿しています。
カスミタウンの食事処――。
店員たちが忙しそうに料理を運んでいる。
しばらくして、美穂にも料理が運ばれてくる。
パン
温かなスープ
焼いた肉料理
「いただきます!」
美穂は手を合わせる。
一口食べる。
「おいしい!」
パンもスープも、素朴な味だった。
肉も柔らかい。
異世界に来てから、初めてのまともな食事。
美穂は夢中になって食べた。
やがて皿が空になる。
「ごちそうさまでした」
店員がやって来る。
「大銅貨一枚です」
美穂は財布を取り出した。
「大銅貨一枚……」
中には、イナリから渡されたお金が入っている。
大銅貨が数枚。
そして銀貨が数枚。
美穂は一枚の大銅貨を取り出した。
「これで」
「はい、ありがとうございます」
店員が受け取る。
美穂は残ったお金を眺めた。
大銅貨数枚
銀貨数枚
「これって、どれくらいの価値なんだろう?」
日本にいた頃なら、財布の中身を見れば大体の金額は分かる。
しかし、ここは異世界。
貨幣の価値なんて分からない。
美穂は店員に尋ねた。
「すみません。この大銅貨って、どれくらいの価値ですか?」
「そうですね……。大銅貨一枚で、簡単な食事が一食分くらいでしょうか」
「なるほど……」
美穂は少し考える。
今日食べた料理が大銅貨一枚。
日本円に換算するなら――。
「千円くらい?」
もちろん、正確な換算ではない。
けれど、感覚としてはそのくらいだろう。
そして、さらに気になることがある。
「じゃあ、銀貨は?」
「銀貨ですか?」
店員が頷く。
「大銅貨十枚で銀貨一枚です」
「十枚……」
つまり、
大銅貨一枚を千円くらいと考えるなら――。
「銀貨一枚で、一万円くらいか」
美穂は財布を見る。
銀貨が数枚。
「……思ったより持ってる?」
イナリが用意してくれたお金。
転生直後の生活に困らないように、最低限のお金を渡してくれた。
とはいえ、無限にあるわけではない。
「これ、使い切ったら終わりだよね」
美穂は真剣な顔になる。
異世界に来たばかり。
家はある。
食べるものも買える。
でも――。
「働かないと」
そう思った。
そのためにも、まずはこの世界について知る必要がある。
美穂は財布をしまった。
「まずは街を見て回ろう」
美穂は店を出ると、カスミタウンの街を歩き始めた。
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