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サイバーパンク2023-そのTSモブ兼女ザコは反射とエネルギー操作を操る-  作者: 東山ルイ
チャプター2.5 サンダードーム空軍基地襲撃作戦

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EP41 〝死にたくない〟

「……ラー。どのみち、コイツを戦闘不能にしないと前へは進めねェようだ」


 マルガレーテやジーターのような化け物が他の兵士と闘っている以上、僕らは僕らだけでロブスタの対処をしなければならない。

 だけど、どうやって? 

 今の攻撃だって、カルエからすればクリティカルヒットも良いところだったはずだ。僕の反射だって、本来破られるわけがなかった。

 なのに、この男はそれを簡単に乗り越えてしまった。まだ僕には手札があるけれど、それを切ったところで、相手がもっと強いカードを出してきたらなんの意味もない。そんなのは、骨折り損である。

 そうやってとやかく考えているときには、すでにロブスタが手のひらを僕らのほうに向けてきた。

 そして、

 僕の脳内に気味の悪い音が響き渡る。


「う、ぉ──!!」

「ラー!?」


 ケチャップのように吐血し、僕はその場にへたり込む。もはやなんの力で動いているかも分からない。ただそこには、インチキじみた不条理があるだけだ。


「てめェ、なんでおれを狙わないんだ!?」

「そうだな……、メインディッシュは最後に食べるものなのでね」

「弟の仇ってことか!!」

「そうだ。オマエとマルガレーテがおれの弟を殺ったんだよな?」

「……あぁ、弟と同じ場所へ送ってやるよ」

「向かうのはオマエだ。そこでアラビカに詫びろ。……この腐れ外道が!」


 ロブスタの感情の高ぶりとともに、

 くの字になって、カルエは吹き飛ばされた。


「──へッ。こりゃあ、死んだかァ?」


 身体に力が入らない。ここから逃げ出ささないとならないと、意志を持つ生き物なら必ず思うだろう現場……!! 

 されど、ネズミもネコもイヌも溺れるのを承知で海に飛び込むはずだが、人間である僕は、そんな生き物よりはるかに頭脳を持っている僕は、理性が邪魔立てして、この場から逃走するという至極当然の選択すら取れない。どこかでかかったリミットが、僕に逃げ出すことを許さないのだ。


「どうした? 固まりやがって」


 対照的に、ロブスタの表情はサディスティックに染まっていく。彼の狙いはカルエやマルガレーテだろうが、異常なサディストに見境なんてない。


「ご自慢のお友だちがワンパンでノビたから、ブルっているのか。なるほど、おれには到底理解できんなァ……。オマエら悪党が存在する理由も、生きていられる理由も……!!」


 ついに迫撃が始まった。僕はなにもできず、ただその攻撃が振り下ろされるのを待つ死刑囚に成り果てる。

 嫌だ。死にたくない……。心の声がそう叫ぶ。

 あんな死に方して、女ザコに生まれ変わって、そこが昔やったゲーム世界に似ているから裏技を使って生き残れたけれど、この物語はここで終わってしまうのか? そんな無情な話があって良いのか? クソッ──。


「おらぁあああ!!」


 女声(じょせい)を張り上げながら、獣のような叫びをあげながら、目を瞑った僕とロブスタの間に誰かが割り込んでくる。


「……え?」


 僕が情けない声を出してしまった頃、その女はロブスタに頭突きをくらわせた。


「へェ、マルガレーテ・アクスか」


 半ば涙目になっていた僕は、目を擦ってその女の正体を知る。オレンジ色に変化した、金髪とも茶髪ともつかないロングヘア、ツリ目の美形、悪党らしく目は血走っていて、ほとんどヒトのそれにしか見えない身体は改造で彩られている。


「てめぇ、あたしのダチを殺って生きて帰れるとか思ってんじゃねぇぞ!?」


 マルガレーテ・アクスは、鼻息荒く宣言した。


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