第三百三十一話 とりあえずだけどさ、他でできる話じゃないからうちに招待した訳なんだ。神界の女神の話とかいろいろ問題があり過ぎて他所でできないだろ?
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楽しんでいただければ幸いです。
女神シルキー教会の司教マデリーネ。それに女神フローラ教会の司教であるジュディット、女神ヴィオーラ教会の司教であるシュティーナの三人が俺の屋敷に集まっている。
他の場所で話してもいいんだけど、他で話難い内容だしね~。浮気じゃないのにこの人たちを連れて帰った時のヴィルナの表情は多分生涯忘れない。シャルたちの視線も冷たかったしな。
「とりあえずだけどさ、他でできる話じゃないからうちに招待した訳なんだ。神界の女神の話とかいろいろ問題があり過ぎて他所でできないだろ?」
「それは理解したのじゃ。わらわはソウマを信じておるからの」
それにしてはすっごいジト目だったじゃん。ヴィルナとの付き合いも割と長いけどさ、あんな目をされたのは初めてだよ?
「女神様の話と伺ってきたのですが」
「神界の話ですか?」
「あんたたちはこの国の各教会のトップだが、神界や女神の事を何処まで知ってるか疑問になってな。あと、この世界を管理する事になった女神ユーニスの件とかいろいろだ」
割と分かりやすく表情が変わったな。
司教といえども多分女神の誰かと直接話した事のある奴はいないだろうし。
「貴方は女神や神界の事に詳しいとおっしゃるのですか?」
「女神フローラと女神ユーニスには直接会ってるしな。神界の話なんかもその時にいろいろ聞いてるぞ」
「なっ!!」
「直接?」
色々と奉納してるんだから直接話したこともあると知ってると思ったんだけどな。神界に呼ばれたのは過去に三回、そのうち二回は夢的な空間で呼ばれただけなんだけどね。
この前、女神ユーニスに直接呼ばれたのは、俺の体の事もあったけど世界救済完了の話が合ったからだろう。
「詳しい事を話す前に今まで俺がやってきた事とかも色々話さないといけなんだけど、多分あまり公表されてないから知らないと思う」
「女神ユーニスが全世界に通知した世界救済の件ですか?」
「ああ。それに至るまでの過程がかなり長いんだよ。そもそも女神ユーニスが天使だったころの話もしないといけないし」
「女神と天使に何の関係があるのですか?」
「やっぱりその辺りも伝わってないよな。まず神界でどうやって女神に認定されるかをおおまかに説明するぞ」
昔のヤバい時代の話は置いといて、女神シルキーが見習いから始めて女神に昇格した話と世界の救済に失敗したら天使になって女神のサポート役になる事を話してみた。
驚いてるみたいだけど、一番驚いたのはこの世界が滅びかけてたって知った時だ。
「この世界は滅びる予定だったのですか?」
「予定というか、滅亡がほぼ確定した状態だったのは間違いない。しかも過去に勇者召喚で救済できなかったからどこかから誰かを呼ぶ事すらできない状況だったしな」
「でも、あなたがこの世界を救ったという事は」
「俺も別の世界から来た転移者なんだ。神の力じゃなくて自分の力で飛んできたっぽいけどさ」
「勇者クライド様は本物の救世主だったのですね」
女神や天使たちも俺を見つけた時は驚いただろうしな。
明らかにおかしい力を持つ存在が自分が管理する世界で好き勝手やってたんだし。
「俺が女神や天使たちと接触したのは本当に偶然だったと思う。そしてその時にこの世界を滅ぼそうとした敵の存在を教えて貰った訳だ」
「黒龍種アスタロトに邪神の残滓ですか。街や人を結晶に変えていた結晶竜ヒルデガルドも?」
「結晶竜ヒルデガルドは別枠だな。この世界を滅ぼそうとしていたのは黒龍種アスタロトと邪神の残滓だ。しかも計画は最終段階まで進んでいた」
「それを阻止して世界を救った訳ですね……。女神様たちが勇者クライド様を特別扱いされる訳です」
「そこまで特別扱いはされてないぞ。祝福を何度かされてるけどさ」
「十分でしょう。むしろ女神様たちから直接祝福などと……」
宗教関係者からいえば最高のご褒美だろうけどね。
いつも話し合ってる相手からだとそこまでありがたみは無いんだぞ。それに祝福とかじゃなくても感謝の言葉一つで十分だし。それはともかく。
「一応ざっと天使と女神の関係なんかを説明したけど理解できたかな?」
「理解しましたが、この事実を広めるべきかどうかは……」
「そこまで広める必要はないよ。それに本題はここから先だし」
「本題ですか?」
「ああ」
本当にここから先が重要なんだよな。今動いとかないとこの先に勝手にどこかで立ち上げられても困るし。
「この世界の管理というか担当を女神ユーニスがするのは知ってるよな? で、今この世界には当然ながら女神ユーニスをあがめる教会が無い」
「なるほど。その為という事ですか」
「どこかの教会で一緒にって言うのは難しいと思うんだけど、女神フローラは今後この世界の担当じゃなくなるし、女神シルキーは女神フローラが敬愛してるからこの世界でも存在を知られてるだけだしね」
「そして女神ヴィオーラに至っては事情から考えてこの世界に関わっているかも怪しいと?」
「そういう事。こんな話を他ではできないし、いまさら信仰する女神を変えろとも言えないしさ」
でも、同じ祈るんだったらこの世界を管理するユーニスに祈った方がいいとは思うんだ。
強要は出来ないけどさ。
「では、どうするのがよいとお考えですか?」
「女神フローラ、女神シルキー、女神ユーニスはそれぞれが先輩後輩の仲だ。だからその三人の女神をまとめて信仰して、今の現教会をそれぞれの女神をあがめる宗派って事にすればいいとおもうんだ」
「女神フローラ教会と女神シルキー教会がひとつになれと?」
「あくまでも提案だよ。ただ、どこかで女神ユーニスを信仰して貰えるとありがたい」
感謝されたり祈られると女神の力になるっぽいしさ。
今からこの世界を任せるんだから、信者は多い方がいいだろ?
「とりあえず今日この場で分かりましたとすぐに決められる話ではありません」
「そうですね。おおよその事情は理解しましたが、それではという訳にはいきません。前向きに検討は致しますが……」
「今日こうやって集まってくれただけでも十分だよ。内容が内容だし各宗派のトップにしか話せないんでね」
「それは理解しますが」
こうして話を通しておけば、どこかに女神ユーニス教会を建てても文句は言われないだろう。
その時になって苦情を言ってきても、そちらが話を受け入れなかったという事にできるし。
「それじゃあ今日の話し合いはこれで終わりだ。集まってくれてありがとう。あと、これは各教会に保護された女性たちを生活させる為の寄付だ。その袋の中には金貨が二百枚ずつ入ってる」
「これだけのお金を……」
「保護された人の数が数だからね。不足するようだったらまた申し出て欲しい」
「いえ、当面はこれで十分です。流石は勇者にして聖者と名高いクライド様。彼女たちへの施し感謝いたします」
これで本当に用事は終わりだ。
しかし、急に百万人も女性が増えたから男女比がかなり狂ってるみたいなんだよね。多くは結婚適齢期の女性ばかりだしさ。
その辺りまでは俺は面倒を見切れないし、各教会や領主たちに任せるしかないな。
読んでいただきましてありがとうございます。
誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。




