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第三百十六話 やはりバイクや車で街道を行かなくてよかったな。あれだけの数の関所を抜けてたら時間がいくらあっても足りないぜ。下手すりゃ今日中に王都にたどり着けない所だ

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。



 ブレイブウイングで王城へと向かう。街道では各地で関所が作られ、南下してくる魔物に対して迎撃の準備を整えられていた。アレは王都方面の貴族領に向かうのを止める目的もあるんだろう。この辺りまでは割と馬車は走ってるしな。


 おそらく接敵する可能性があるのはジョエルの率いるあの部隊位か? 王都から街道を南下する量産魔怪種アリギラスがあの場所まで到達するには数日かかる。今日中に王都を攻略すればあいつらが戦闘を始める事は無いだろう。


「やはりバイクや車で街道を行かなくてよかったな。あれだけの数の関所を抜けてたら時間がいくらあっても足りないぜ。下手すりゃ今日中に王都にたどり着けない所だ」


【この辺りは他に空を航行するユニットが存在しませんので、その点も大きいんじゃないですかね? 元の世界ですといろいろと問題がありますぜ。鳥避けの信号は割と広範囲に発信していますが】


 飛行禁止区域だのなんだのと制限があるだろうしな。


 実際に作中の描写に茶々入れるコメントも結構目立ったしな。特撮だっつーの。


「バードストライク対策か。無益な殺生は良くないからな」


【機体が汚れますんで。蟲程度ですとバリアに弾き飛ばされるんで平気なんですが】


 そっちか!!


 ホントにぶれない人工知能だな。よっぽどこのボディが汚れたり傷ついたりするのが嫌なんだな。超純度神結晶と特殊合金の複合装甲だから余程の攻撃を受けないと傷ひとつ付かないはずだけど。


「もう王都上空か。魔怪種アリギラスクイーンの巣であの美しかった頃の面影すらないし、あのバカでかい蟻塚が延々と伸びた姿も不気味で仕方がないな。アレ再建するの大変だぞ」


【土と特殊粘液で形成された建築物ですね。反応型(ヴリル)ミサイルで掃除しますか?】


 この辺りにはもう生きてる人はいないだろうしそれもいいんだけどさ、それを使っちゃうと後々面倒な事になりそうなんだよね。


 あまり派手に攻撃してあいつに逃げられたら意味がないしな。


「ボスである魔怪種アリギラスクイーンの位置を特定できるか?」


【広域索敵を開始します……、ジャミングが酷過ぎますが大きなエネルギーを有する目標が二つ存在します】


 二つ? 三つじゃなくて?


 邪神の残滓の方は索敵に引っ掛からなかったのか? この場合は引っかからない場所にいると考えた方がいいよな……。でも、ミサイルでの攻撃は危険だ。


「でかい方はどっちだ?」


【王城近くの城壁に二つとも存在します。城壁に取り付いているあの個体は肉眼で確認できませんか?】


「でかっ!! 絶対に魔怪種用強化ボトルの影響だな。劇場版の最終形態よりでかいじゃないか!!」


 劇場版でたまにある魔怪種の超巨大化。実際、魔怪種アリギラスクイーンもここまでデカくなかったけど最後の最後で暴走して少し大きくなったよな。アレはオールブレイブクラッシュをぶち込む為のイベント形態だと思ってたんだけど、こうしてみるととんでもないな。


 という事はもう一つの反応が黒龍種アスタロトか!!


「もう一つの反応は近いのか?」


【近付いてきていますね。……あの巨大生物の前に出現します!!】


 あれは、間違いなく黒龍種アスタロト!!


 ん? でも、劇場版の竜と人間のキメラ姿になってるって事は戦闘形態だよな? まだ俺ははるか上空にいる訳だしまさかこっちをロックオンした訳じゃないだろ?


「フハハハッ!! 魔怪種アリギラスクイーンといえど魔怪種用強化ボトルを使えば理性を失いここまで醜くなりおるか。大幹部のくせに無様じゃな」


「貴様が我に何本も魔怪種用強化ボトルを打ち込んでおきながら……」


「わらわの狙い通りに量産魔怪種アリギラスで王都を破壊し、奴の計画を完全に狂わせる事が出来たのじゃ。貴様はもう用無しという事じゃな」


「用無しなのは貴様の方だ!! 強化した我の力で滅びるがよい!!」


 ……外部マイクでギリギリ音声が拾えてるけど、なにこれ? 仲間割れ?


 奴の計画って聞こえたけど、奴ってまさか邪神の残滓の事か? いったいどうなってる?


「ひと欠片も残さず喰らいつくしてくれる!!」


「このような雑魚などどれだけ集めても無駄じゃ。わらわが手を軽く払うだけでこの有様じゃぞ」


「大幹部といえどその力……。まさか!!」


「魔怪種用強化ボトルは確かに強力じゃ。じゃが、そのように知能が下がり理性を失うのでは使い辛くての。醜く巨大化するのもわらわはごめんなのじゃ」


「今まで他の魔怪種や現地生物に使っていたのは……」


「わらわに使った魔怪種用強化ボトルを完成させる為の実験じゃ。この完成型魔怪種用強化ボトルは奴を倒してこの世界を破壊しつくす為の力なのじゃ!!」


 ……邪神の残滓と黒龍種アスタロトが敵対している?


 それに魔怪種用強化ボトルの実験? 塩喰い(ソルトイーター)に知能が無かったのも、今までの魔怪種にやけに暴走気味なのが多かったのもそのせいなのか!!


 しかし、数十体の量産魔怪種アリギラスをああも簡単に斬り殺すとは、黒龍種アスタロトの実力は相当なレベルだぞ。


「圧殺!! 圧殺!! 圧殺!! 押しつぶして食い尽くせ!!」


「強化もしておらぬ量産魔怪種などゴミも同然。千切って捨てるだけよ」


「油断したな!! ぬぅっ!!」


「痒いの……。わらわの背中になんぞ虫でも這うておったか? おっと、これは失礼。蟲はお主であったな」


「なんだこの堅さは!! 鋼鉄をも貫く我の爪が刺さりもせぬとは」


 魔怪種アリギラスクイーンは全方位から量産魔怪種アリギラスで襲い、死角となる後ろから長く伸ばした手を黒龍種アスタロトの背中に突き刺そうとした。


 しかし、全力で突き刺したその爪は柔らかそうな背中に傷ひとつ付けられなかったみたいだ。


「所詮お主などデカいだけの蟲よ。元の世界でも僅か五人のブレイブに敗れた下等種にすぎぬ」


「貴様とて同じであろう!!」


「わらわの時は九人じゃな。奴らが五人であればわらわは返り討ちにしておったじゃろう」


「ヌカセ!! 敗れた結果は変わらぬわ!! くそっ!! 我の攻撃が悉く弾かれるとは!!」


「そうじゃな。じゃがわらわはもう二度と敗れはせぬじゃろう。この世界にも何人かブレイブが来ておる。いずれ全員滅ぼしてやるのじゃ」


 上空にもひとりブレイブがいるけどね。


 あいつはアルティメットブレイブがいる事を知らない? レッキングブレイブの次のシリーズだしな~。劇場版でも直接戦闘はしなかったし。


「斬撃が効かぬのであれば、これはどうだ!!」


「溶解蟻酸か!! ほう、なかなかの威力の様じゃな」


「これも効かぬとは……」


「実験は成功じゃな。お主が生み出した量産魔怪種アリギラスにも小さいがコレがあるのじゃな」


「我のそれが目的か!! 我に他の魔怪種を喰らわせたのは……」


「生体濃縮……。この魔怪種の核を育てる為じゃな。お主ら魔怪種など所詮はわらわがこの世界を破壊する為のコマにすぎぬ」


「貴様ひとりでこの世界を滅ぼすつもりか!!」


「そうじゃ。この力でまず奴を殺し、その後でこの世界を念入りに破壊しつくしてくれるのじゃ」


 奴というのは邪神の残滓の事だろう。


 黒龍種アスタロトは邪神の残滓に召喚された。そしてその時何か契約というか誓約を魂に刻まれた。だから今の今まで世界の破壊に手を出せなかったし、あんな手の込んだマネをしてきた訳か。


 こうして行動を開始したという事は、その力を上回る何かを手にしたからなんだろう。


「ではこれでおサラバなのじゃ。お主は部下にしてもよかったのじゃが、わらわは蟲が好かぬでの」


「実験に虫型の魔怪種や生物が多かったのはその為か!! カハァッ!!」


 黒龍種アスタロトの手刀が魔怪種アリギラスクイーンの胸部にめり込んだ。あいつの外殻も相当に堅い筈なのに……。


「脆いの。強化されたとはいえ、蟻ではこの程度か。こうして触れるのも汚らわしいがの」


「貴様の思い通りにさせぬ!! 死ぬがよい!!」


「まさか!! しまっ……」


 魔怪種アリギラスクイーンの身体が輝き、身体の中心部から凄まじい威力の爆発が巻き起こった。あいつ、魔怪種の核を使って自爆しやがったな!!


 激しい爆風でブレイブウイングが揺れたが、何とか墜落せずに済んだ。しかし、下は酷い惨状だ。


「結界に守られてた筈の城壁まで完全に破壊しやがった。魔怪種アリギラスクイーンが死んだからだろう。あのでかい蟻塚が崩壊し、量産魔怪種アリギラスも自壊を始めたな」


【もう一つの反応は消失していません。同じ場所に留まっています】


 マジか!! あの爆発でも生き残ってるだと!!


 ……ほぼノーダメ? いや、何かバリアみたいなものを張ってあの衝撃に耐えたみたいだな。


「核を手に入れそこなったのじゃ。忌々しい……」


 魔怪種アリギラスクイーンの最後の抵抗って奴か。


 本来であれば、その核を取り込んで黒龍種アスタロトが更にもう一段階パワーアップしていたんだろうけどな。


「さて、行くか。セットブレス、鞍井門(くらいど)颯真(そうま)


【セットブレス、鞍井門(くらいど)颯真(そうま)。アクセス。セットアップ完了】


「究極の勇気は最強の名のもとに!! ブレイブ!!」


【アルティメットブレイブ。マキシマムフォーム!!】


 緊急脱出用の装置を使って外に出た後でブレイブウイングをアイテムボックス内に取り込み、空中でブレイブに変身した。


 当然この光景は黒龍種アスタロトにも見えているだろう。


「降りてきたか。そのまま逃げると思うておったのじゃが」


「俺がお前を逃がす訳ないだろう、黒龍種アスタロト。一応名乗っておこう。俺はアルティメットブレイブ。お前の知らないブレイブだ」


 こいつから見たら未来のブレイブだからな。


 しかし、ここをこれだけ破壊するような爆発に巻き込まれても無傷か……。


 だが、お互いに譲れぬものがある。戦う他に選択肢は無いだろう……。


 このフォームで倒せるかどうかは分からないが、やるしかないぜ!!




読んでいただきましてありがとうございます。

誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。

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