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第三百六話 向こうで出現した魔怪種については後で色々と話さなきゃいけない事がある。それはそれとして、こっちで起きている事の詳しい情報が欲しいんだけど

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。



 アツキサト上空に到達した時、予想通りというか万が一の為に雷牙(らいが)をここに残しておいてよかった事態がやはり発生していた。


 正確にいえば襲われたのはカロンドロ男爵領内ではない。雷牙(らいが)が出撃したのは旧貿易都市ニワクイナ方面から真魔獣(ディボティア)が一匹こちらに向かっているという情報が入ったからだろう。俺にこの情報を教えてくれたのは土方(ひじかた)だけどな。


「お前か。ブレイブフォンに連絡をしてきたという事は向こうは片付いた訳だ。流石だぜ」


「向こうで出現した魔怪種については後で色々と話さなきゃいけない事がある。それはそれとして、こっちで起きている事の詳しい情報が欲しいんだけど」


「俺じゃないという事はあいつが連絡したのか? 例の変な話し方をする魔物が旧貿易都市ニワクイナ方面にある村を襲ったらしい。いずれこっちに来るだろう」


 あの辺りにある村というのは、旧貿易都市ニワクイナから逃げた人が作った村という話だ。村が出来た場所の多くはカロンドロ男爵領内ではないし旧貿易都市ニワクイナの支配地域でもない、ちょうど誰の支配地域でもない空白地の様な場所にあるんだよな。


 旧貿易都市ニワクイナも同じ様な流れで人が集まり、やがて大都市に発展した事だしね。後十年位経てば同じ様に大都市が出来上がっていたかもしれない。


「その情報はどこから来たんだ?」


「旧貿易都市ニワクイナで研究している魔法使いギルドの職員が放置されていた通信設備を直して連絡してきたらしい」


「……あいつか」


 情報収集と称してあそこに出向いてそのまま研究を始めた奴。毎月研究費の請求だけは馬車便で届いてたからな。あいつの給料を含めた生活費ともいう。


 今となってはあそこでこのまま研究を続けさせようと思っている。割と向こうでいろんな文献とかを調べたりしてるっぽいし。


「襲われた村の住人は全滅。この短時間で村の全生物が食いつくされたそうだ」


「あの魔物は人だけじゃなくて動物とかも食うからな。お前はもう現地に向かっているんだろ?」


「国境の関所に向かってる途中だ。ブレイブフォンでの通話はメットのマイクとスピーカーだ」


「いろいろ規制がうるさいからそうなったんだよな。半自動運転だけど、手放しは危ないとか言われたし」


 特撮の方は子供に影響が云々とか言われて色々調整されたけど、雷牙(らいが)のいた世界でも規制されたみたいだな。


 手放し運転は危ないし、バイクの運転中にスマホを使うなんてもってのほかだしね。


「俺もこのまま現地に向かう。関所で合流しよう」


「了解」


 多分俺の方が先に到着するだろうな。


 雪は降ってないし街道は凍結もしてないけど、最近は穀倉地帯を往復する馬車の数も増えてるからそこまで速度を上げられないだろうしね。


◇◇◇


 やっぱり関所には俺の方が先に到着した。流石に空路は邪魔が入らなくていいな。


【その世界だと場所次第で空を飛ぶ魔物もいるけどね。あなたのいる国にはいないみたいだけど】


 飛竜とかそんな感じのやつかな?


 撃ち落して終わりだろう。ブレイブウイングの武装を舐めるなよ。登場した回に無双しすぎて変身する必要なくねとか言われた超強力兵装なんだぞ。


【それって問題あるんじゃないの?】


 それ以降は作中内での予算関係とか整備の問題とかで飛行手段としてだけ使われてた。


 強すぎる力ってのは時として封じられるものなのさ。こいつにはフル装備で積んであるけどな。


【使ったりしないよね? この世界だと火薬とかは無意味なんだからね】


 キッチリこの世界でも使えるように調整済みだけどね。広範囲殲滅型超(ヴリル)砲とか(ヴリル)弾頭入り超高速ミサイルとか本気でヤバい兵器がてんこ盛りだ。


 これで攻撃を始めたら流石にヤバいのは俺も理解してる。よっぽどのことが無い限り攻撃手段としては使わないよ。


【そういえばあなたのアイテムボックスにはいろいろ物騒な兵器が眠ってたわよね?】


 惑星破壊兵器プラネットブラスターが結構な数で存在するな。


 誰かさんが勝手に作ってたのを量産しただけなんだけどね。


【あの時は助かっちゃった。おかげで女神さまたちにすっごい褒められたんだよ】


 星を丸ごと救ったらそりゃ褒められるだろう。


 おかげでそのメチャメチャヤバい兵器は俺のアイテムボックスに山積してるけどな。


【そのうち役に立つかもしれないでしょ? 主に私を助ける為に】


 他の世界はまだアレが必要な事態がありそうなの? ……百近く世界を管理してたらそりゃあるか。


 俺は破壊者にはならない。俺の持つ力は誰かを助け、そして守る為の力なんだから。お、雷牙(らいが)も到着したか。


「待たせたか? いや~、流石にブレイブウイングの方が速いな。俺のブレイブサンダーも相当速いんだが」


「空路は邪魔が入らないからな。それに今は俺以外空路を利用する奴はいないし」


「あの映像通りの武器が積んであるんだったら、何が立ち塞がっても余裕だろう」


「流石にアレを使うのは問題があるだろ? 男爵たちもいい顔をしないだろうしな」


「違いない。あれ一機でこの世界のどんな城でも落とせそうだ」


 この世界は魔法もあるけど、(ヴリル)って一定以上の数値を超えると魔力の完全上位の力と化すんだよね。数値が低いうちは魔力に及ばないのにさ。


 だからブレイブウイングのバリアの前に魔法での攻撃はほぼ無意味だし、逆にこっちの攻撃を防ぐことはできない。一方的な虐殺が始まるだけだし、俺はそんな事を望んじゃいないよ。


真魔獣(ディボティア)はもうじきここに来そうなのか?」


「少し前の情報だが間違いない。俺が聞いた時は村をひとつ滅ぼしたって話だったが」


「今はふたつらしい。これ以上犠牲者が出る前に奴を倒して、腹に囚われてる魂を開放してやらないとな」


「そういう話か。腐れ外道な敵だな」


「俺が知る限りあれほど凶悪な魔物はいない。人の魂すら汚す存在させちゃいけない敵だ」


 本当に心の底からおぞましいと思う魔物はあいつが初めてだ。


 相手を食い殺した後に魂すら汚し続けるってどれだけ悪辣な存在だよ。


「今回は俺が相手をする。お前は王都方面で手柄をあげただろ? ここは俺に譲れ」


「わかった。流石にお前も腹に据えかねたか」


「ああ。たまにはそういう奴をこの手で地獄に送ってやらないとな」


 そのセリフは特撮ヒーローの立ち位置じゃないだろ。地が出てるぞ。気持ちはわかるけどさ。


 ……馬鹿でかい魔物が見えてきたけど、あいつで間違いないだろう。


 人間に近い身体だけど表面は昆虫の様な堅そうな外骨格で包まれ、背中には超巨大なゲジゲジに似た生物をはやしている。その足の先は分岐しているからあの手に捕まれたら何かに変えられるんだろうね。


「そろそろ変身しておくか。セットブレス、雷牙(ライガ)勇慈(ユウジ)


【セット、雷牙(ライガ)勇慈(ユウジ)。アクセス。セットアップ完了】


「正義はここに、ブレイブ!!」


【ライジングブレイブ。真・迅雷フォーム!!】


 黒を基調に金色の雷が装飾された劇場版フォーム。今回はそれで十分と判断したのか。その上のフォームが最低あと二つある筈だけど。


 俺も変身していた方がいいだろうな。


「セットブレス、鞍井門(くらいど)颯真(そうま)


【セット、鞍井門(くらいど)颯真(そうま)。アクセス。セットアップ完了】


「究極の勇気は斬撃と共に!! ブレイブ!!」


【アルティメットブレイブ。スラッシュフォーム!!】


 追加で何か組み込まない時はセットブレスでいいんだよな。ブレスユニット内部で勝手に技を開発してる時もあるっぽいけど、たまに謎パワーアップもあるし……。


 俺が以前したようにフィニッシュチップとかを組み込むとその手間が省けるだけで、実際にあのチップとかは玩具の販促用なんだよね。


「ソコヲドケ。他ノ人間ノ様ニ喰ワレタイカ?」


「お前の前進はここで終了だ。ついでにお前の命もな」


「フハハハハハハッ。人間如キガ、王級デアル我ニ勝テルト思ウカ」


「お前が何かは知らんし、どれくらい強いかも知らん。ここで終わる運命が変わる訳じゃないぜ!!」


 ライジングブレイブの身体を蒼い雷が走り、その雷は足に絡みついている。……あの技か。


「大言壮語ヲ!! ナニッ!!」


蒼雷疾風斬(そうらいしっぷうざん)!!」


 足に雷を纏い、空気と敵を高濃度の(ヴリル)製の雷で切り裂く必殺技。でも、これってフィニッシュブロウじゃないんだよな。


 目の前の真魔獣(ディボティア)は徐々に体を削り取られ、そして両手足と背中の巨大ゲジゲジを完全に破壊されて地面に横たわった。


「ヤルナ。ダガ、コノ位スグニ再生……」


「させると思うか? 必殺!! 迅雷ライジングクラッシュ!!」


 全身に雷を纏い、そして相手の身体を神力(プラーナ)の粒子で分解するライジングブレイブ真・迅雷フォーム最強の必殺技。あいつが何であろうと、アレの直撃を受けて原型が残る筈はない。


 臨界点に達した高濃度の(ヴリル)神力(プラーナ)がまばゆい光を放ちながら爆発し、王級と名乗っていた真魔獣(ディボティア)を綺麗さっぱり消し去った。まともに正面から戦えば強敵だったのかもしれないけど、俺たちを舐めてるからだぜ。


「光が天に昇っていく。いや、解放された魂が天に召されていくんだろう」


「あんなに多くの人が食われてたって事か。助けてやれなくてすまない。あいつは俺が討ちとったから成仏してくれよ」


「たぶんあいつが一番強い真魔獣(ディボティア)なんだろうし、あのクソ女もこれで弾切れだろう。あいつ自身が出てくりゃ話は別だが」


「クソ女? 黒龍種アスタロトの事か?」


「黒幕の事さ。黒龍種アスタロトは間違いなく王都にいるだろう」


 魔怪種はあいつの手駒だろうし。そっちももうほぼ打ち止めだろうがな。


 これで次に王都に向かえばどちらか片方は最低でも討ち取れるはず。あのクソ女を倒せばこの世界を救えるんだろうけど、黒龍種アスタロトも倒しておかないとあいつが世界を滅ぼしかねない。


「その黒幕の正体が分かっているんだったら教えて貰えないか?」


「今の所、状況証拠だけだからな。確定したら教えるさ」


 間違いないと思うんだけどね。


 さてと、まずはこっちと王都方面の報告をしなきゃならないし、アツキサトまで戻るか。


「ブレイブウイングに乗っていくか?」


「助かる。そっちの方が速いしな」


「空路だと障害物も無いしね。それじゃあ、戻るぞ!!」


 これでとりあえず大きな問題はほぼ片付いた。


 王都を攻略した後はカロンドロ男爵の即位かな?


 それまでにいろいろ問題もありそうだけどね。



読んでいただきましてありがとうございます。

誤字報告ありがとうございます。

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[一言] やっと やっとここ迄 辿り着けた (/ ・ω・)/バンザイ・・・・ 明日から 最新版の お話が読める (っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
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