第二百九十五話 という訳で、魔導式メイドロイドを用意した。こっちの子がソレイユで、そっちの子がリュヌだよ
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楽しんでいただければ幸いです。
明日の事は明日考えればいいし、とりあえずは今日しなきゃならない事もまだまだあるからね。
まず第一に魔導式メイドロイドの導入。家事に関しては掃除とかは掃除専用の魔導式の掃除機があるし、洗濯も高性能なドラム式洗濯機があるからほとんど必要ない。シャルの下着はヴィルナに洗って貰う事になるんだけど。
戦闘用の警備ロイドも結構な数で導入してあるし、こいつらは普段置物として廊下に並んでるから問題はない。問題なのはシャルのお守なんだよな。俺が父親としてどうかと思われるかもしれないけどさ、経験が無い事は流石に出来ないんだよ!!
【普通、みんなそうだと思うんだけどね~。なに? あの子のお守を魔導式のメイドロイドに丸投げする気なの?】
……いや、その。
シャルの弟とか妹が出来る時にね。
【ああ、そっちの話なの? 夜だけでいいんだったらそこまで警戒しなくてもいんじゃない?】
シャルが起きてきたらどう説明する?
ネコ形態の時に散々見てるから、すぐに察しちゃうだろ?
【それは魔導式メイドロイドが必要だね~。子供の教育によくないしさ】
そうだよ。それにヴィルナの魔力補給にもあれが必要だろ? それだけじゃないんだけど。
【あの子は聖魔族だからね。聖域にいる時には結界内で浄化された魔力の一部を吸収してたのよ。今までも一年の大半を何処かの結界で過ごしてなかった?】
……まさか。あの遺跡の聖域で冬の間過ごしてたのはそのせいなのか?
あの年。ヴィルナがあの時期まで動けなかったのは魔素……。魔力不足の為か? だからあの時、道の途中で力尽きかけて寝ていた……。
【何か心当たりがあるみたいだけど、あの子は聖魔族だからね。それもあの子って聖魔族の王族だからかなり大量の魔力が必要なの。普通の聖魔族の数倍は必要かな?】
それも初耳だ。
ヴィルナって聖魔族の王族なの?
【そうだよ~。あの子もその事は知ってると思うけど、あまり興味がなさそうなのよね。もう聖魔族ってほとんどいないみたいだし、王族といってもあまり意味は無いけどさ】
やっぱり十年ちょっと前の真魔獣襲撃の時に他の聖魔族も襲われてたのか。
あの時のやつの狙いが聖魔族で、だから町は見逃されてたって訳だ。
土方の気配を感じたのもでかいんだろうけどな。
そういえばさ、魔力の補給方法ってあれをする以外にないのか? その……。
【気になる? 気になっちゃう? んん~、どっしょうかな~。まあいいか。あのね、元の世界にも吸血鬼っていたでしょ?】
実際にあった事は無いしみた事も無いけど。話とかでよく出てくるよね。
【そう、その吸血鬼。ほらよく首筋に噛みついて血を吸うでしょ? あれと同じで首筋とかに噛みついて魔力とかを吸うの】
……以前酷かった噛み癖はその為か!! そういえば最近はあまり噛まなくなってきたもんな。
【あ、呼ばれたから行くね。今、神界恒例春のかくし芸大会してるから】
なにそれ!!
神界でそんな事もするの? といいうかそんな行事もあるのか!! って、もう返事は無いのかよ。
向こうの世界も謎が多いんだよな。意外に緩い部分もあるのか? というか天使ユーニスとかの話を聞いてたら割と緩そうなイメージなんだよな。
とりあえず意識をこっちに戻してっと。
「という訳で、魔導式メイドロイドを用意した。こっちの子がソレイユで、そっちの子がリュヌだよ」
「「よろしくお願いします」」
「基本的にはシャルの身の回りの世話とかかな。戦闘用は別の警備ロイドに任せてるから、この子たちが戦闘に参加するのはよっぽどの時だね。防御能力は物凄く高いから安心して欲しい」
逆に攻撃能力に関しては警備ロイドとかに比べるとやや劣る。
その代わりに防御系の能力は高いし、感情も人間と同じ位に豊かだ。女性型にしたのはシャルが女の子だからなんだけどね。悪い虫はメイドロイドでも近づけさせないよ?
「女性型にしたのはシャルの為であろうが、別にここまで人に近いタイプを選ぶ必要もないのじゃが」
「警備ロイドみたいに戦闘用だったらそうするけどね。主に俺がいない時にシャルとかの世話をしてもらう予定だし、シャルの遊び相手にも女性型の方がいいだろ?」
「ソレイユ、リュヌ。よろしくなの」
「「シャル様。よろしくお願いします」」
ほほえましい絵面だよな。
割とスリムなモデル体型だけど、メイド服がよく似合ってるし……。
「基本的に掃除は専用の飛空石製の小型魔導掃除機を大量に導入してるし、洗濯物もヴィルナとかシャルの下着類くらいしか基本でない。料理は俺がいる時は俺が作るし、俺がいない時とか昼食はヴィルナが作るから問題ないかな?」
「私たちの存在意義は?」
「シャルのお世話係? 大事な愛娘だから勉強とかも含めて教えて貰えると嬉しいかな。遊び相手も頼むよ」
「後は外敵の排除じゃな。この家の敷地に入ってくる者は基本安全なのじゃが、それでも万が一という事もあるのじゃ」
流石にヴィルナ、わかってるね。
それに俺はシャルを家に閉じ込めておく趣味もないしな。
「シャルが外出する時の護衛も頼む。特に今は危険な時期なんで、必要な物は何でも言ってくれ」
「既にオプションの最高性能の対物シールドや対魔法結界発生装置が組み込まれています。起動用の予備魔石まで最高品質の物を装備しておりますので、余程の敵でない限り不覚をとる事はありません」
「この世界にも規格外の敵が存在するのさ。味方にもいるけどあいつらがシャルに何かする事は無いだろうし、問題は黒龍種アスタロト関係位だ」
流石にあいつが出てきたらソレイユたちだときついけどな。
その時の為に緊急手段も用意している。
「この、緊急時用の絶対防壁発生装置と通信システムはその時の為ですね」
「その通り。それを感知したらどこからでも即座に俺が飛んでいく。その時間を稼いでほしい」
こっちに直接手出しをしてくる可能性は低い。
でも、万が一……、いや億に一つの可能性でも対策はしておきたいんだ。後悔しない為にな。
「主な任務はそれだけでしょうか?」
「少し先の未来。天から命を授かった時にも力を貸してほしい」
「ソウマ……」
「ヴィルナが大変な時期。俺はあまり役に立たないかもしれない。その時にソレイユとリュヌには力を貸してほしいんだ」
「「わかりました」」
魔導式のメイドロイドって本当に人間みたいな動きをするんだな。
そしておそらく彼女たちはこれから先、かなり長い時間俺達と時間を共有するはず。だったら。
「もうひとつだけ。ソレイユとリュヌも俺たちの家族みたいなものだ。余程の事が無い限り、この身に代えてもとかの命がけの行動はやめて貰いたい」
「わかりました」
「食事もできればよかったんだけどね。流石にカタログスペックにも……、料理が作れるのに味見が出来ないのか?」
「正確なグラムを計測して最高のタイミングで火力などの調整をしますので」
「万人向きの料理になりそうだね。流石に厨房を譲る気はないし、料理をする機会はそこまで無いからいいか」
一応来客時のお茶とか酒類の提供位はしてもらうよ。
あとツマミや軽食ね。
「ドラマで見るお手伝いさんの様じゃな」
「それがメイドさんの仕事だしね。これだけの屋敷だと普通は数十人単位のメイドとか執事とか各種職人がいる筈なんだけどね」
俺が色々機械的な物を導入しているから無用なだけで。
本来だったら雇用促進の為に数十人のそういったメイドとかを雇うのが正しい姿なんだし。
「なんにせよ、これからよろしくなのじゃ」
「「はい、よろしくお願いします」」
これで引っ越しに必要な作業はほぼ終了。
家の家具とか飾りつけはヴィルナが暇を見て少しずつ進めるだろう。
観葉植物とか絵画とかそんな感じの物をね。
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