表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
293/339

第二百九十三話 ちょっと遅くなったけど夕食の時間だ。今まで食べさせてあげられなかった料理とか、その辺りを中心に作ってみた

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。




 とりあえず夕食。今日はシャルが人の姿になった記念すべき日だから、今まで食べたそうにしてたのに食べさせてあげられなかった料理を中心にしていこうと思う。


 ウナギの蒲焼、う巻き、イカの炙り焼き、一角海老の素揚げ、ローストビーフ、ビーフシチュー、温野菜のサラダ、デザートはチョコレートケーキだ。


 スッポン鍋もいいかなと思ったけど、用意する前にその危険性に気が付いて良かった。流石にヴィルナも今日は大丈夫だと思うけど、シャルがいてもお構いなしに襲ってくる可能性もゼロじゃないしな。


「ちょっと遅くなったけど夕食の時間だ。今まで食べさせてあげられなかった料理とか、その辺りを中心に作ってみた」


「おと~さんすっご~い!! これ食べたかったの!!」


「シャルにはずいぶん甘い様なのじゃが、今まで食べさせてあげられなかったといわれては仕方がないのじゃ」


「いっただきま~す♪ おいし~っ!! このおさかなこんなにおいしかったんだ!!」


 ウナギの蒲焼か。今までは白焼きをほんの少しだけ食べさせてただけだし、キッチリ調理したらそりゃ美味しいだろうね。シャルにも食べさせてあげたかったんだよな~。


「シャルはわらわより箸の使い方が上手い様なのじゃが」


「おと~さんとかおか~さんの事はよく見てたから、頭の中で練習してたの」


「ずっと精霊が憑いてたからそうなのかもしれないけど、元々知能が高かったのかな?」


「それは分からぬのじゃが、そうなのじゃろう。それに人になったばかりなのにほとんど動きに問題がないのじゃ。相当に身体能力も高いじゃろうて」


 シャルはたまにこっちを伺いながらも、目の前の料理をバクバクと勢いよく食べ続けている。見ているこっちが気持ちよくなるような喰いっぷりだ。


 ネコ舌も心配したけど、ビーフシチューとかも問題なく食べているから多少熱い料理も平気なんだろう。


「おと~さん達は食べないの?」


「ちゃんと後で食べるよ。シャルが他にも食べたいものがあったら言ってもいいからな」


「は~い」


「素直ないい子なのじゃ。結局シャルの部屋はどうするのじゃ?」


「明日家を増築……というか新しい屋敷を敷地内に作るよ。子供部屋も多くしたから子供が増えても大丈夫だぞ」


 あ……、流石にヴィルナも開いた口が塞がらないみたいだな。


 以前同じ方法で風呂を増設したんだし、規模がでかくなっただけじゃん。


「いつもソウマのすることに驚かされるのじゃが、本当に明日屋敷を増築するのか?」


「するよ、だから明日はお引越しだ。家具とかは新しくしてもいいから、古い家具はここに置いて行ってもいいけどね。ここも離れとして残すつもりだし」


「新しいおうち?」


「そうだよ。ちゃんとシャルの部屋もあるし、好きなようにしていいからね」


 もうシャルの欲しいものだったらなんでもアイテムボックスから出しそうな勢いだな。


 ぬいぐるみとか欲しがるかな? おもちゃは……、猫の時はほとんど興味なさそうだったけど、今だったら欲しがるかもしれないしさ。


「わ~い♪ シャル、おっきなぬいぐるみが欲しいっ!!」


「大きなぬいぐるみか。新しい家を建てたら幾つかだすから、好きなのを飾るといいよ」


「本当にシャルには甘いのじゃな」


「ヴィルナも欲しいものがあったら遠慮なく言ってくれていいんだぞ。あまりあれこれ欲しがらないから俺が不安になる位だし」


「必要な物は足りておるのじゃ。一番欲しいものは今年中なんじゃろ?」


 天からの授かり物はそういう話だね。


 アレはシャルの事を指してるんじゃないと確信はしてる。


「そういう話だね。……あ、そういえばヴィルナにも聞いておこうと思ったんだけど、家の掃除とかシャルの世話とかをさせる魔導式メイドロイドとかを導入しようと思ってるんだけどどうかな?」


「シャルの世話……。わらわでは力不足といいたいのか?」


「そうじゃなくてさ。いろいろまだ問題が残ってるし、俺たちが家を空ける事もあるだろ? その時シャルを連れていければいいけど、流石に王都に攻め込む時には連れていかないよ?」


 ヴィルナも連れて行かないけどね。


 邪神の残滓……、あいつと決着をつける時には絶対に。


「家の掃除とか、色々あるだろ? それに夏になったら俺たちは学校に行かないといけない。猫の時みたいに連れていけないだろ?」


「シャル、学校についていけないの? おとなしくしてるよ?」


「ん~、向こうで話してみないと何ともね。できれば連れて行ってあげたいけどさ」


 一応仕事だからね。流石に猫の時みたいに連れてはいけないよ。あの時もいろいろ問題があったんだけど、他の教師が協力してくれてただけだし。


「その話は半年後じゃろ? その時までに考えればよい。学校に託児所もあった方がよいかもしれぬ」


「それも検討してみるかな? あれば子供がいる人でも働きやすいだろうし」


 この世界で妊娠してるのに働いてもらうのも悪い気がするんだけどね。子供がいる人の対策で託児所はあった方がいいだろうけど。ヴィルナの妊娠が発覚したら家でおとなしくしててもらうよ? 家事はそれこそメイドロイドに任せてさ。


「とりあえず詳しい事は明日になってからだね。ご飯を食べたらちょっと何かを観てお風呂の後で寝るって感じかな?」


「シャルがそこまで起きておれぬじゃろう。先に風呂をすました方がいいのじゃ」


「そうするか……、ひとりで入る……のは無理だよな。人間形態で風呂に入った事はないだろうし俺も心配だ」


「今日はわらわと一緒に入るのじゃ。そのうちソウマと入る日もあると思うのじゃが」


 ヴィルナにばかり任せてちゃ悪いしね。


 シャルはヴィルナとお風呂に向かったし、お風呂上がりのホットミルクとかタマゴボーロを用意しておくかな。


「そのまま入ろうとするでない。服はそこに脱ぐのじゃ!! そうじゃ、シャルは理解が早いのじゃ」


「おっか~さんと~、おっふ~ろ~♪ シャルの桶は小さいの?」


「今度からこっちに入るのじゃ。その桶には流石に入れぬからの」


 風呂場から声が漏れてきてるな。ああ、そういえば風呂場に猫用の桶を出しっぱなしにしてたか?


 今までシャルはあの桶でお風呂に入ってたしね。


「風呂から出たら身体を拭いて服を着て、髪を乾かすのじゃ」


「は~い♪」


 ヴィリナの予想通り、お風呂上がりのシャルはホットミルクを飲んだらすぐに舟をこいで眠り始めたのでそのままベッドに運んでみる。軽いな……、でも今までの猫形態の時とは違う重みを感じる。なんていうか、今までも家族の一員だったけど本当に家族の一員になった重さっていうかさ、思わず笑みが浮かんでくるような手応えだなんだよね。


「寝たようじゃな。人の姿になってずいぶんはしゃいでおったからの」


「少し変な感じだけど、でも悪い気分じゃないよ。シャルの事は今まで家族だと思っていたし、これからは違う意味でも家族になりそうだけどね」


「わらわが腹を痛めるより先に娘が出来るとは思っておらなんだ。じゃが、シャルもわらわたちの子。守っていかねばならぬの」


 安心しきった顔で眠るシャルはいつもと同じだけど、やっぱり俺たちを信用してくれてたんだな。


「そういえば登録証はどうしたんだ?」


「ここにあるのじゃ。もう必要はないじゃろう?」


「ペットとしての登録抹消はするつもりだけど、男爵とかスティーブンに事情を話してそれからだろうね。いきなり娘が出来ましたって言ったら驚くと思うけどね」


「ソウマの子となれば良からぬ連中が寄ってくるかもしれぬの」


「シャルに手を出したら流石に容赦しないよ。たぶん教会関係者とか男爵たちはその辺りの俺の性格は把握してると思う」


 俺の身内に手を出したらどうなるかって話だよな。


「明日家を建てて、問題はその後かな?」


「何か問題があるのか? 部屋が増えれば当面問題はなかろう」


「夜以外はね……。流石に起こしちゃうだろ?」


「そうじゃな……。そこはソウマが考えてくれるんじゃろ?」


「やっぱりさ、魔導式メイドロイドを導入しないか? シャルのお守とか面倒をみたりもそうだけど、何かあった時に敵からシャルとヴィルナを守ってくれるから」


 カタログスペックを見る限り、相当強い筈なんだよね。


 魔法少女に変身したエリーヌと同じ位の強さはあるっぽいし、料理とか洗濯とかの家事もこなす優れものだ。その辺りの家事はうちだとほぼ必要ないんだけど。


「ソウマのする事に間違いは無かろう。いろいろ考えて出した結論なのであろう?」


「俺の手も短いからね。俺がいない時にヴィルナやシャルの身に危険が迫る可能性は少しでも減らしておきたいんだ。それに、シャルの子守をしてほしい時もあるだろ?」


「そうじゃな。シャルも大切じゃが、夫婦の時間も必要なのじゃ」


 今日の所は結局シャルも一緒に俺のベッドで寝た。


 親子三人で川の字じゃないけど、シャルが俺の服の裾をつかんで離さないしさ……。起こさないように俺のベッドに寝かせたよ。




読んでいただきましてありがとうございます。

誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ