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第二百五十八話 俺たち人がいる世界。そして並行世界は確実に存在する。雷牙達みたいに別の並行世界にもおそらく俺がいるんだろうけど、そいつはワールドリンカーの力を有してないのか?

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。



 先日の魔族の一件で色々考えさせられることがあった。


 それはこの世界の成り立ちというか、いろんな世界の俺の立ち位置的なモノだ。


「俺たちがいる世界。そして並行世界は確実に存在する。雷牙達みたいに別の並行世界にもおそらく俺がいるんだろうけど、そいつはワールドリンカーの力を有してないのか?」


 そこも謎なんだよな。


 ワールドリンカーの力を持つ者が俺ともう一人しかいないんだったら、並行世界の俺はこの力を持っていない事になる。


「それに他の世界。妖精界とかあるんだよな?」


 とりあえず現時点で分かっている事を考えてみたけど、人間とか亜人種とかが暮らしているこの世界、これを仮に人間界と呼ぼう。


 天使ユーニスや女神フローラがいる世界。これが神界なのかどうかは不明だけど、神界っていう世界。それと魔族が存在する魔界。魔法少女マジカルルピナの主人公であったルピナが治めている妖精界。少なくとも人がいるこの世界の他にこれだけの世界が存在するのは間違いない。


 後、生物が死んだ後に行く天国や地獄があるかどうかは知らない。流石に俺も死んだ事なんてないしね。


【死んだ事が無いのにしねとはこれいかに】


 いや、こういう考察中にツッコミを入れてくるのはどうよ?


 あまり触れて欲しくない話題だろ?


【大体あってるからいいかなって思ってね~。私たちがいるこの世界も神界の一部だよ。あなたのいるその世界の他にも異世界が存在するように、神界にもそういった異世界があるの。天界って呼ばれてたり、天国って言われてる所もあるよ】


 ……天国が神界の一部だとしたら、地獄は魔界の一部なのか?


【正解。その世界ごとに神界はあるし、こうしていろんな世界とリンクしている神界もあるの。リンクしてる世界が私たち天使や女神が存在する神界で、その世界に固定された神界の一部が天国って感じ】


 リンクしてないといろんな世界を救えないもんな。


 逆にこの世界の魂が他の世界に流れたら困るから、天国はこの世界で完結してるのか……。


 並行世界とかはどうなるんだ?


【そこまで見通すってホントに凄いよね。並行世界もその世界で基本完結してるよ。理由も分かったりする?】


 魔素……。魔力の関係だろ? あと、他の世界に知識が流れるのを防ぐ為かな。それと並行世界で魂が行き来すると同じ魂が幾つもできちゃうから?


 魂が転生した時にある程度は知識を持ったまま生まれたりするだろ?


【転生条件とか色々あるけどね。ホントにあなた界渡り(ワールド・ブレーカー)の分体とか転生体じゃないのよね? 知ってたんじゃないかって位に勘が鋭すぎるんだけど】


 違うといいたいけど、俺もその辺りの事は分からないんだ。


 俺には七歳までの記憶がない。大きな事故か事件に巻き込まれたのは覚えてるんだけど、それまでの記憶は綺麗さっぱりないんだ。


【……神力(プラーナ)の総量がそこまででもないから界渡り(ワールド・ブレーカー)の筈はないんだけど、記憶が無いってのもおかしな話なんだよね】


 そっちでも調べられないとか?


【時間が過ぎちゃった世界の情報は集めにくいんだ~。以前は神様的な存在が時間を巻き戻したりしてくれてたんだけど、今はそれをやめてるからね~】


 そういえば以前もそんな話を聞いた気がするな。


 いまさら子供の頃の話を聞いても仕方ないし、元の世界に戻るつもりもないからどうでもいいんだけど。


【気にならないの?】


 思い出せない過去より、ヴィルナ達と紡いでいく未来の方が重要だ。


 過去は思い出でしかない。俺が何者でこれから何をなさなければならないとしても、ヴィルナと共に歩む道を選ぶさ。


【本当に前向きっていうか、人っぽくない考え方をするんだね】


 今の俺が恵まれてるからさ。


 過去の記憶が無くても、そんな事が気にならない位に素敵な仲間や共に歩むヴィルナがいる。


 目の前に輝かしい未来があるのに、(もや)に包まれた過去を気にする事もないだろ?


【そうだね。それで輝かしい未来を邪魔する存在を排除するって事?】


 この世界を滅ぼさせたりしないさ。


 ブレイブが三人もいるんだ。どんな存在でも倒してみせる。


【あなたは力を正しく使える。そう信じてるよ。界渡り(ワールド・ブレーカー)よりもずっとね】


 聞いた限りだとあの存在も問題ありそうだしな。


 この前の魔族が滅びが確定した世界の人間は襲っていいみたいなことを言ってたけど。


【以前はね、滅びが確定しちゃうと覆る事なんてなかったから。界渡り(ワールド・ブレーカー)もすべての世界を救う訳じゃないしね】


 ん? 世界を救う存在なんだよな?


【救うに値したと判断した世界だけね。界渡り(ワールド・ブレーカー)って混沌過ぎて救いの無い世界だと逆に滅ぼしたりもするから】


 ……自分たちの基準でって事か。


 それで滅びてもいいと思ってる世界は好きにしろって事?


【魔族に精気を吸われても死ぬわけじゃないの。体が石になったりして魂をそこに閉じ込められるんだけど……】


 それ、死ぬより酷くないか?


【世界が滅んじゃったら、もう人として転生する事もないからね。数万人規模で攫われてたりすると、その世界が何かしらの方法で助かった後にその世界へ戻したりするの】


 その再生した世界の新しい人類の為に?


【種の保存的な感じかな? 以前みたいに神様が時間を巻き戻さなくなった事も大きな要因なの】


 なるほど……、って、以前貿易都市ニワクイナで数万人程行方不明になったんだけど。まさか。


【多分違うかな。あそこまで大規模に攫っちゃうと、その魔族は確実に界渡り(ワールド・ブレーカー)に処理されるから。あの時この世界は滅びが確定してる状態に近いけど、あなたたちがいた時点でもう希望があったの】


 という事はあれは別の誰かの仕業か。


 あの事件も未解決なんだよね。


【あまり手を伸ばしすぎると、抱えきれなくなるよ?】


 わかってる。でも、見過ごすには少し多すぎるから……。


 できれば助けたかったんだよ。あの時の俺にはそこまでできなかったのは確かだけど。


【そうだね。だからあまり気にしちゃだめだよ。私たちでも、救えなかった世界の事を考える事も多いの。自分で選んだ勇者を送り出して、そして力及ばずにその世界の滅びが確定する瞬間は本当にキツイんだ】


 そりゃそうだろう。


 世界の救済を押し付けられた勇者も大変だと思うぞ。情報を集めるにも数年掛かりだろうし、モチベーションだっていつまでも続かないだろ?


【でも、そうするしか方法はないの。私たちが直接手出しをする訳にはいかないし、後はその世界の良さそうな人に武器とか知識を与えたりしかできないわ。それでなんとかなった事も割とあるけどね】


 その話も前に聞いた気がするね。 


 無茶でもなんとかしてくれそうな誰かに頼むしかないのか。


【正直、この世界が他の女神見習いの担当だったら、あなたたちは確実に別の世界に送られてたよ】


 この世界を救ってないのに?


【うん。別の世界に送られる事で新たな力に目覚めたり、力が覚醒する事も割とあるの】


 なるほど。ゲームのレベル上げみたいなものか。


 でも、その間に元の世界が滅びたらどうするの?


【そうならない様に、世界を救ってもらう時は時間の流れを遅くするの。異世界での一年が元の世界で大体一時間位かな?】


 それは相当凄いな。でも歳はとるんだろ?


【送られてる間に年齢の加算はないよ。その辺りも何とかしてるから】


 送り込んだ人間の力が衰えたりしない様にしてる訳か?


【流石に勘がいいね。大体そんなところ】


 それで送り込まれた世界でパワーアップできれば力は増す。


 送られる側にはあまりデメリットが無いんだな。


【そりゃ世界を救ってもらうんだし。時間にしても、どれだけ長くても元の世界基準で数日かな。死んだ場合でもキッチリ蘇生させて元の世界に帰すからね】


 それでも、世界の命運を担うのはそこまで気楽な事じゃないと思うけどね。


 助けてくれってお願いされたら、俺でも色々と考えるぞ。


【たぶんあなたは引き受けるとおもうよ。なんとなくだけどあの人に近い感じがするから】


 鏡原(かがみはら)師狼(しろう)か。


 本当によく引き合いに出される人だな。


【最初に世界の救済に成功した勇者だからね。ホントによく見つけたって女神様たちも驚いてるよ】


 まず勇者候補を探すところからなのか。


 そっちの二週間でこちらでは一年過ぎてたりすると、ベストコンディションの勇者を見つけるのは相当に運が必要だぞ。


【ほんの少し目を離してる隙に勇者が力を失ってたりするしね。運命的な出会い? だから女神になった後でその人をパートナーに選んだりするんだけどね】


 鏡原(かがみはら)師狼(しろう)もそうなのか?


【人として結婚はしてたみたいだけど、不老不死化して寿命が無くなってたからね。割と長めに子孫を見守って、そして最終的に女神シルキーのパートナーになってるよ】


 不老不死とかだとそうなるのか。


 愛する人を看取った後、子供たちが無事に巣立てばもうその世界に思い残す事はないだろうしな。


【そういう事。あ、今回この話をすることは女神フローラも知ってるから大丈夫。先日の化粧品類のお礼だって】


 この前のお礼にちょっと色々調合した特殊な化粧品を作ってみたんだよな。お礼のお礼ってのも変な話だけど。


 ファクトリーサービスで造った最高品質の化粧品にエリクサーはもちろん付与系の力を持つ薬類を混ぜて、使った時にもとよりいい状態にする究極の化粧品。ヴィルナにも渡したけど、すっごい喜んでたからな~。当然原材料が高価すぎて他には絶対に売れないけどね。


【流石にアレは凄すぎるから、他の女神さまも黙ってないと思うよ】


 今回は流石に接触して来そうなのか。


 予備を何セットか贈るからそれ渡してあげて。


【ありがとう。それじゃあ今日はこの辺りでね】


 割と分かったような、わからない様なそんな気分?


 世界なんてそんな物だよな。人である俺が全部理解しようってのが間違いだろう。


 さて、あの化粧品類の増産でもするかな。そのうち神界から大量に発注が来そうだし。


 やっぱりどの世界でも、化粧品ってのは人気なんだな。




読んでいただきましてありがとうございます。

誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。

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