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第二百二十話 はい。お疲れさまでした。全員無事に三枚ずつ見つけられたかな? 約二百人の生徒と四十人の教師に対して隠されていたカードの総数は実に二千枚。多分カードはまだまだどこかに隠れていると思います

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。




 十一時五十五分。制限時間内に全生徒と教師が戻って来て最初の状態に並んでいる。といっても、他の生徒とカードを見せ合ったりして喋ってるけどね。そこの教師、生徒よりはしゃいでない?


 壇上に用意したテーブルには俺がアイテムボックスから取り出した今回の賞品が山積みにされているぞ。いや~、見栄え良く並べるのに苦労したぜ。なお、一番の大当たりは恋人がいる人憧れのアイテム双翼の指輪セット。指輪はサイズがあるから街の宝石店で交換する事になっている。


「はい。お疲れさまでした。全員無事に三枚ずつ見つけられたかな? 約二百人の生徒と四十人の教師に対して隠されていたカードの総数は実に二千枚。多分カードはまだまだどこかに隠れていると思います。カード番号の発表時に今回の賞品と交換する権利は無くなりますが、今年中に見つけた場合一枚五百シェルと交換できます。頑張って見つけてください」


「……そんな回収法もあるんだね」


「最悪でも今年の大掃除の時に見つかるだろ? それでもダメだったら探索で見つけるよ」


 魔導車に全カードを登録してるから、索敵かければどこにあるかすぐ分かるしね。


「さて、お待ちかねの番号発表タ~イム。みんなが狙ってた高額シェルの番号は……、これだ!!」


 垂れ幕に書かれた番号を凝視する生徒と教師。そこの教師、一万シェルを連呼しない。臨時収入としては大きいけどさ。


「……あった!! 八千シェルだ!!」


「五千シェルか……。それでも十分な額だけど」


「怪盗ラウルシリーズの小説セットだ!! これ読みたかったんだ~」


「食券セット? ……なるほど、学食で使える金券なのか」


 流石に上位三つは見つけられなかったかな? 幻覚魔法を発生させる魔道具を使って隠したり、割と巧妙にカモフラージュしてあったからね。アレを見つけられるって事は相当に魔法の知識とかあるはずだし期待したんだけど。


 人間生きていく上では運も必要になる。今回は本人の探索能力、観察力、他者とのコミュニケーション能力、魔法技術、それに運などを総合的に見る事が出来るようにした。誰でも三枚は見つけられるだろうけど、高い場所にあったり誰かと協力したい場合や自力で謎を解ける能力が必要なように手配した。


 高額カードの当選者はそれなりに何かを持ってるって事で今後注目した方がいいし、逆に少し残念な賞品しか手に入らない子には今後フォローが必要になるかもしれないからね。


「という訳で、早く賞品が欲しいと思いますので二列に並んでこちらで交換してください。一応放課後まで受け付けていますが、新たに見つけたカードとチェンジとかは無しですよ」


「流石に見通す能力は凄いね~。生徒たちがしそうなズルは全部潰してあったし」


「楽しんでくれればいいんだけどね。毎年やるから来年以降は上級生が少し有利になるかな」


「それで第一回だったんだ~。来年は凄い事になりそうだね」


 むしろこの後で頭がいい奴はカードを探しまくるだろう。だって二十枚集めたら一万シェルになるし、一番高いカードと同額になるんだよ? この後はすぐに昼食だけど、その時間をカード探しに費やした方が今後色々楽になるし。


「今日はこの後食事をして各教室でクラスのみんなの前で自己紹介をしてもらいます。その後、午前中の宝探しで荒れた教室などの掃除を行いますが、参加に関しては自由とします」


「その時見つかったカードはどうしますか?」


「今後、カードは発見者に所有権を認めますが、同時に発見した際には各自で公平なジャッジを行ってください。まだまだたくさんあるんですから、カードの一枚二枚で喧嘩をしないように」


「は~い!!」


 素直でよろしい。


 というか、放課後の清掃作業でかなり回収されそうな気はするけどね。


 自主的に掃除をさせるうえで生徒たちにもメリットを提示する。宝探しというイベントとはいえ、教室を荒らしたままなのが良くない事を示しつつそれを自分たちの手で元に戻させるって寸法さ。


「それでは十二時三十分から一時三十分まで昼休憩になります。これは明日以降も同じです。限定メニューはありますが、廊下を走らずに学食迄向かってください」


 学生たちは俺が見てる所ではおとなしく歩いてるみたいだけど、扉を潜った瞬間走り始めた!!


 なるほど、廊下から外れて校庭部分は走るの禁止してないもんな。って、そういう問題か? 今日は初日だし大目に見ておこう。


◇◇◇


「今日は豪華に行くぞ!!」


「試食会に参加したけどどの料理も凄かったんだよ!! デザートが付いてる定食のセットがいいかも」


「肉、野菜、魚、それぞれ定食があるし、この梅、竹、松ってなんだろう?」


 学食は生徒と教師ですでに賑わっていた。……流石に値段が高い方が豪華に決まってるじゃないか。


 事前に説明してあるし生徒手帳にも書いてあったのに少し分かり辛かったかな?


 今日は俺も学食で食べようと思ってるんだよね。生徒や教師の反応をみたいってのもあるけど、学食がちゃんと機能しているのか抜き打ちで見てみないとね。俺が食わないってわかって手を抜くとは思わないけど。


「俺は何にするかな? 数量限定は生徒や教師に譲ってあげたいし、裏メニューもまだ早いだろ」


 券売機の列に並んでるとダリアが隣まで来てた。今のセリフを聞かれたみたいだな。


「この特製日替わり定食って限定って話だけど、どんなメニューなの?」


「日によってはビーフシチューが出る。ただし日替わりでホントに色々出るからギャンブル要素もでかいぞ。」


「それは凄いね。ここの料理だと外れはないだろうけど……。お薦めは?」


「カレー系やパスタ系は安くておいしい筈。アレが売り切れる事は無いだろう。唐揚げもおいしいぞ。俺が漬け込む調味料を作って渡してるからね」


 学食の厨房には俺が特に力を入れたからな、パスタを茹でる寸胴はホントにたくさん用意してある。しかも高火力の魔導コンロを使用してるから、すぐに湯の温度が元に戻るしな。


 短時間で大量の注文に対応できるように魔道コンロやオーブンの数はもちろん、唐揚げなど専用のフライヤー迄用意してある位だしね。牛肉がたっぷり入ったコロッケも大量に揚がってるぞ。 


 大盛や特盛にすると食べ盛りの子供がお腹いっぱいになるボリューム。ただし、特盛以上は一度大盛を食べきらないと注文できないぞ。そしてあまりお残しを繰り返すと学生証にその情報も記録されることになる。残すって事はアレルギーとか何か理由があるかもしれないし、対応しないといけないからね。


「……裏メニューって?」


「まだ秘密。そのうち生徒たちの間で噂が広がるよ」


「ええ~!! すっごく気になるんだけど」


 裏メニュー、といってもカレーと唐揚げとかトンカツをミックスしたりするものが多い。その他にも特定のメニューを一定回数頼むと出て来たり、色々組み合わせで頼んでると出てくるメニューがあるんだよね。


 お遊び要素だけど、強制的にそのメニューを表示させる方法もある。裏コマンド的なものだ。


「今日はおとなしく定食系にしとけ。後ろが閊えるぞ」


 昼飯時の学食は戦争だ。悠長に券売機の前で話なんてできない。


 今日は肉定食にして主食はご飯にした。主食は選べるし間違えても注文口でいえばパンと御飯の交換は対応してもらえることにしてる。……ご飯を選んでるのは俺も含めてホントに少数だけどね。


「よ~し、私はスペシャルパスタセット!!」


「それも割とギャンブルだぞ」


「嘘っ!!」


 スペシャル系のメニューはメインはパスタだとか肉料理なんだけど、付け合わせの方が多いまである。


 特にパスタは主食でメインの料理だから副食の量がすさまじんだよな。肉系だとパスタにチョップリブが数本とか、海鮮系だと蟹クリームコロッケのセットとかが付いてくる。もちろんパスタの量は大盛にしなくてもキッチリ一人前出てくる。


「今日はミートソースパスタみたいだけど、付け合わせは唐揚げっぽいな。俺の方はローストビーフか。牛肉の質が思ったほど上がらなくて割とまだ安いんだよな」


 あれだけ苦労して導入したのに、牛乳やチーズなどの方が重宝されて肉の方は人気が無い。


 食肉用の牛の餌なんかを変えてるからそろそろうまくなってくるはずなんだけどね。今はまだ鳥系の方が美味い。


「私のトレイ、こんなに大きな唐揚げが三つくらい乗ってるんだけど」


「たぶんそれくらいならいけると思うぞ。もしかしたらもっと欲しいとか言うかもしれない」


「流石にそれは無いって」


 十分後、拳大もある唐揚げ三個は何の問題も無くダリアのおなかに納まった。美味しいものってさ、割とお腹に入るんだよね。


「まだまだいけそうだな。パスタもあるから流石に追加はいいだろうけど」


「まさかほんとに食べきれると思ってなかったよ。理事長の料理は今まで何度も食べてるけど、流石に街の料理より数段上だね」


「揚げてるのはここのシェフたちだけどね。揚げる前の段階でかなり完成形に影響するから」


 漬け込む調味料は俺が心血注いで考えたものだし、隠し味に清酒を使ってある。その上で中に味が浸み込む様にいろいろ工夫もさせてるしね。あの唐揚げは男子生徒だと十個位食うぞ。


「明日は唐揚げ定食の大盛だ!! こんなにおいしい料理なんて初めてだよ!!」


「あの量のパスタを食べきっちゃった!! 絶対食べきれないと思ったのに」


「他のメニューもおいしそうだった。明日はなんにしようかな?」


 生徒や教師の反応も上々だ。そりゃ料理の質や味は街のレストランと同じかそれ以上だからね。


 学食のメニューの半分くらいは俺が指導してるし、残った半分はそこまで手がかからないものだ。調味料関係は俺が調合できる物はまとめて渡してあるし、フォン・ド・ヴォーも寸胴で渡してあるのでいろんなメニューに使われている。だからそこらの食堂とはわけが違う。


 今日は購買の方は確認しなかったけど、明日は購買の方も見てみるかな? 昼に売れ残った弁当類は放課後には半額で売られてるし、夜食用として買う生徒もいるかもしれないけど。……五時限目と六時限目の間に買って食べる生徒もいるかもね。食べ盛りだし。




読んでいただきましてありがとうございます。

誤字報告ありがとうございます。とても助かっています。

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