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第百三十九話 今はまだいいかもしれないけど、本格的に夏になったらシャルは涼しい方がいんじゃないか? 猫も暑いのは苦手だよな

連続更新中。

楽しんでいただければ幸いです。




 月が替わって五月に入り本格的に暖かくなってきた。というか暑い!! 正直俺としては暖房器具をもう仕舞いたいんだが、ヴィルナとシャルが結託して邪魔するんだよな……。


 シャルはスイッチの入っていない暖房器具の前で悲しそうな顔をするし、それを見てスイッチを入れるヴィルナの小芝居は何度も目にした。


 邪魔にならないからそのまま置いてるけど、そろそろ冷房に切り替える時期だからね。


「冷房じゃと? わざわざ寒くする魔道具など必要なのか?」


「にゃぁぁぁぁっ」


「今はまだいいかもしれないけど、本格的に夏になったらシャルは涼しい方がいんじゃないか? 猫も暑いのは苦手だよな」


「……にゃ?」


 そうかシャルはまだ夏の暑さを体験してないから……。


 ヴィルナも猛暑になったら少しは涼しい方がいいはずだ。クーラー病には気を付けなきゃいけない可能性は高いが。


【冷気が特定の場所に留まらない様な冷房システムもあります】


 あるのか!! というか、あるよな……。作らない訳ないもん。


 夏になったらとりあえず導入するから、二十台くらい生産しといて。


【了解しました】


 最低でも俺の部屋には欲しいしな。


 居間はシャル次第だが。


「もう少ししたらね、シャルには暑すぎるようになるんだ。寒いというよりは涼しいって感じなのさ。また夏になったら考えような」


「うなぁ~♪」


「うなぁ~じゃないのじゃ!! シャルはわらわの味方ではないのか? わらわたちはこの暖房用の魔道具を死守していつまでも快適に暮らすのじゃ」


「流石にそろそろ暑くなるよな? 別にヴィルナの部屋に冷房装置をつけようって話じゃないし、居間とか一部の部屋だけだよ」


 といっても冷房器具はヴィルナが反対しても寝室には付けるけどな。熱帯夜なんて寝苦しくて仕方ないし。というか、この辺りって割と南の方だよな?


 大体去年のあの頃は白うさぎ亭で冷房完備の快適な生活してただろう。


「確かに暑すぎるのは問題なのじゃ。あまり寒くするのでないならばやぶさかではないかの」


「去年は白うさぎ亭に寝泊まりしてたから、夏でも割と快適だっただろ? あそこも冷房がついてたし、ヴィルナもその事に文句を言ってなかった気がするんだけど」


「そういえばそうじゃったな。しかしこの辺りの者は割と暑いのは平気なのじゃ。普通の家には冷暖房の魔道具など存在すらしておらんしの」


 ……服を何着も用意できない場合、そこまで薄着は作らないからか? 長年そんな生活でこの環境に慣れたという事?


 今のこの町の経済状況からすれば、今年はこの町の人も夏用の服を仕立てる可能性は高いけどね。流石に冷暖房用の魔道具に関してはかなり安くならないと一般家庭には普及しないと思うが。


「冷暖房の話はこの位にして、そろそろヴィオーラ教会に行くぞ。もう来週は本番なんだし」


「そうじゃな。流石にこのくらい暖かくなればわらわも平気なのじゃ」


 暖かいという基準が今一つ分からない。外気温は既に二十度超えてるよな? 俺、前のスーツだと結構きついんだけどね。


【今は割と快適な筈ですが】


 うん。その辺りは凄いなって思うよ。今着てるスーツだけじゃなくて、結婚式の白スーツもすっごい着やすかったし。安くはないんだろうけど。


【ダジャレを考えないといけない何かが?】


 なんとなく? ほら、ダジャレって心を豊かにしてくれるでしょ?


 ……返事が無くなった。


 それじゃあ、ヴィオーラ教会に向かうとするかな。


◇◇◇


 歩いてきたから少しかかるな。魔導車を使わない場合は当日は結構早めに出ないといけないぞ。


「ここがヴィオラート教会か。確かに大きな教会じゃな」


「ヴィルナは今まで教会とかに来た事は無かったのか?」


「神様を信仰しておらねば、ここに来る者の目的は結婚式だけなのじゃ。それ以外では教会の奇跡に縋る時じゃが、この辺りじゃと四肢の再生クラスの奇跡を使える者はおらんじゃろう。ゆえに結婚式以外では用がない訳じゃな」


「なるほど」


 元の世界の神舎仏閣のような扱いじゃないんだな。新年になったらお参りしてお賽銭入れて願い事って訳じゃないのか。


 こっちの世界の方が本当に神様もいるし、元の世界よりお賽銭をあげただけの効果はありそうな気がする。


【初めから神頼みもどうかと思いますよ】


 その通りなんだけどね。最後の一押しというか、自分ではどうにもならない状況だと神にすがるしかない時もあるじゃないか。


 この世界の神様だったら、その辺りはちゃんと見てくれてるだろうし。


【実際に神様がいますからね。女神ヴィオーラが今もこの世界を見守っているかどうかは知りませんが】


 この世界の管理はフローラって神様だっけ? でも、信じてれば思いは届くよ。


 さて、それよりも結婚式の流れをヴィルナと最終確認しないとね。


「お待ちしておりました。本日は当日とほぼ同じ飾り付けをしております。違う点といえば祭壇に当日は女神ヴィオーラの神像が飾られている位ですね」


「ありがとうございます。当日の控えの部屋といいますか、着替える場所はどちらですか?」


「こちらになります。お二人ともちゃんと別の部屋を用意しておりますのでご安心ください」


 控室に案内されたけど、部屋は隣同士でそれぞれの部屋が割と広めだな。


 これだったら着替えるのに問題はないだろう。俺もヴィルナもアイテムボックス持ちだし、荷物の搬入は楽だけどね。


「ドレス姿を見せるのは先程の場所が初めてにしたいからそれがいいのじゃ」


 俺もヴィルナのウエディングドレス姿を見るのは楽しみにしてるけどね。


 その瞬間まで楽しみにしておこうじゃないか。


「当日はそれぞれが着替えた後に教会後方のドアから入場、そのまま祭壇前まで歩いてきてそこで祝福という流れになります」


「相手に渡す贈り物なんですが」


「すでに双翼の指輪を贈っている場合ですと、その指輪を祭壇の前で重ねるのが一般的ですね。もし贈られていない時ですと他の指輪を用意するか、その時に双翼の指輪を指にはめたりするんですよ。滅多にそんな方は居ませんが」


 なるほど、そんな風習もあるんだな。


 双翼の指輪は流石に高いだろうしね。物凄い勢いで人口が増えてる上にいろいろ特需が発生してるみたいだし、みんなある程度懐が温かくなって今後は贈る人が増えるかもしれないけど。


「他に必要な物はありますか?」


「いえ、何も問題ありませんよ。先ほどの説明の続きですが、祝福の後にもう一度通路をドアまで歩きます。今回は別棟で披露宴がありますのでそこまで移動していただくことになりますね」


 外からぐるっと回って披露宴の会場に向かい、先に新郎新婦が席に座って待ってる形らしい。


 新郎新婦の席と他の席がカーテンで仕切られていて、全員揃ったらそのカーテンが開く仕組みか。


「大体流れは分かったのじゃ。後は当日を待つばかりじゃな」


「そうだね。当日は色々大変かもしれないけど」


 食事に関してはあのくらい食べ慣れてる人も多そうだし、あまり騒がれたりはないだろう。


 問題があるとすればドレスかな?


 流石に異次元レベルの逸品だろうし、ダリアとか男爵クラスでも驚きそうな気はする。


「それでは、また当日にお世話になると思いますがよろしくお願いします」


「はい。こちらもクライド様にはいろいろお世話になりましたし、今後もよろしくお願いします」


 現金もそうだけど他にもいろいろ寄付したからね。


 この教会だけに寄付をする訳じゃない。ちゃんとシルキー教会やフローラ教会にも寄付はしておこう。この町にフローラ教の教会はないけどね。





読んでいただきましてありがとうございます。

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