表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げ足道場 番外編 ~ウチの女当主が怖過ぎる件について~  作者: 真宵 駆
◆◆第二十章◆◆ 華やかな時代の終焉と新たな宣伝材料の模索について

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

641/641

◆641◆

 目的の為なら手段を選ばぬ女首領と面白ければ何でもアリな魔女による不穏な悪だくみ、もといシェルシェとコルティナにとってはいつもの平穏な茶飲み話から約一ヶ月後、ユールズモン宝飾店は同店のイメージキャラを務めるミノン・マントノンが、契約途中で急遽降板する事を公表した。


 その記者会見が首都エディロにある高級ホテルの広間で行われ、こぞって押し寄せた報道陣の前で、


「次の大会に向けて剣術一本に専念したい、という個人的なわがままです。この様なわがままを快く許してくださったユールズモンさんには本当に感謝しかありません」


 真剣な表情で降板の理由を告げ、深々と頭を下げるミノン。その姿は己の信念を懸けた決闘に赴くサムライの様であり、あるいは高い山の頂から巨大な岩石が崩れて転がり落ちる瞬間をとらえた衝撃映像の様にも見えた。


 続いて後任のイメージキャラのお披露目の段となり、純白のタキシードに身を包んだ男装の麗人が花束を手に颯爽と登場。頼れる男前風なミノンとはまた違った中性的な色気がある外ハネ黒髪ショートの美形で、規格外に巨大なミノン程ではないが背もそこそこ高く、筋肉と縁遠いすらりとした容姿も相まって、一目でそれと分かる正統派王子様キャラであった。


「この度、ミノンさんの後任を務めさせて頂く事になりました。マシーナ・ラヴェです。どうぞよろしくお願いします」


 報道陣に向かって挨拶をした後、ミノンの隣に来て、


「ミノンさん、今までお疲れ様でした。次の大会でのご活躍を心から願っています」


 そう言って優美な笑顔と共に花束を渡すマシーナ。その姿は出陣する騎士を激励する王子様といった態。


 この女性受けしそうなツーショットを逃すなとばかりに撮影フラッシュの嵐が焚かれ、それが止んだ頃合いを見計らって、今度はユールズモン宝飾店の社長自ら、大きな台車を押して広間の後方から登場。台車の上には白い布の覆いが被せられた高さ2m程のかなり大きな物が載っており、


「今まで我がユールズモン宝飾店に多大な貢献をして下さった事への感謝と、本職の剣術家として益々のご活躍を祈願する贈り物です。どうぞ、覆いを取ってください!」


 言われるままにミノンが覆いを取ると、中から現れたのは、過去のユールズモンのCMに出演した「怪獣の着ぐるみ姿のミノン」の等身大フィギュアだった。首の所から顔を出すタイプなので、ミノン本人の身長より頭一つ高く、存在感がハンパない。


 さらに加えてこの等身大フィギュア、全身が本物の金箔に覆われてキンキラキンに光り輝いており、その神々しさたるや、フィギュアと言うより最早神像と呼ぶ方が相応しい域に達していた。


 こうなるともうミノンの降板もマシーナのお披露目も、このキンキラキンの神像の強大なインパクトの前に風の前のチリの様に吹き飛んでしまい、その後の報道陣との質疑応答では、


「この黄金の等身大フィギュアは、今年の全国大会の会場で一般展示される予定です!」


 と告知された瞬間が最高に盛り上がるという、本来の目的を見失った記者会見と成り果てた。


 これについて後日、シェルシェは電話で、


「あの黄金像のおかげで、ミノンの降板でユールズモンの株価が下がる事もなく、逆に急騰したそうですね。あなたに一任して大正解でした」


 記者会見をお膳立てしたコルティナに感謝の意を伝え、


「まー、それだけのお金と手間はかかったけどねー。あの等身大フィギュアの製作費で都心のマンションが、ポン、と買えちゃうくらいだからー」


 金銭感覚がおかし過ぎるにも程がある桁違いの裏事情をしれっと語るコルティナ。


「ユールズモンも、よくそれだけの出費を快諾してくれたものですね」


「『このアイデアはシェルシェの意向を反映したものです』って言ったら一発OKだったよー。恐怖こそ最高のプレゼンテーションだねー」


「それはプレゼンテーションではなくただの恐喝です」


 魔女の軽口に苦笑いする女首領。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ