脱出
今日も読んで頂きありがとうございます。
最近、よく思う。
……俺、このままでいいのか?
朝起きて、仕事に行く。
怒鳴られて、走り回って、頭を下げる。
帰れば、家事。
飯の準備。
兄弟姉妹の世話。
気づけば、夜。
そしてまた朝。
同じことの繰り返し。
何年も。
何も変わっていない。
ふと、母のことを思い出した。
あんなに元気だったのに、
気づいたらいなくなっていた。
みゆきに毒をとられたかのように。
人って、こんなにあっさり終わるのか。
じゃあ俺は?
このまま、何もせずに終わるのか。
たぬきの言いなりで。
みゆきの言いなりで。
一生、使用人のまま。
……いや、今もう奴隷か。
昇格してるじゃねーか。
全然嬉しくない。
その時だった。
前に言われた言葉が、頭に浮かぶ。
「お前、まだ奴隷なのか?」
メゾン建設の総一郎さん。
あの一言が、ずっと引っかかっていた。
俺は、まだ動ける。
体もある。
経験もある。
資格もある。
あと一応、社長でもある。
席ないけど。
給料三万だけど。
社長ってなんだっけ。
なのに、何でここに縛られてる?
怖いからか。
失敗するのが怖い。
金がないのが怖い。
でも——
このままの方が、よっぽど怖い。
気づいたら、歳だけ取って、
何も残らない。
それだけは、嫌だった。
俺は、ゆっくり立ち上がった。
……いや、正確には腰が痛くてゆっくりしか立てなかった。
この体で逃げれるのか少し不安になった。
でも、それでもいい。
俺は、決めた。
もう——
ここから出る。
新たな生活を手に入れるため動き始めました。




