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せっかく授かったラッキースケベが思ってたのと違う〜授かった瞬間に裏切られた〜  作者: 那須 儒一
二章 新居編

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屋敷探索?

アグリアスは躊躇いもなく、木造校舎もとい、

俺たちの屋敷に足を踏み入れる。


続いて俺も屋敷へ入った瞬間――

床の板が不自然に軋んだ。

「なんだ、この床…妙に軋むな」


「あっ…待て、そこ――腐って……」


アグリアスの忠告も虚しく、

バキッという嫌な音と共に、俺は床板を踏み抜いた。


「うわぁぁっ!」

そのまま体が床下へと吸い込まれていく。


ボフッと、何か柔らかいものの上に落ちた。

期待させて悪いが、女性的なモノではない。

積み上げられた藁の山だ。


「いてて……思ったより深いな。ここ、地下室か?」

顔を上げて周囲を見渡す。

薄暗く、カビ臭い石レンガの室内。

錆びた鉄格子が扉代わりの小部屋。


広さは六畳一間。 

藁のベッド、傷んだ木の机と――

牢獄に近いが、妙に生活感がある。


……なんで、屋敷にこんな不穏な部屋があるんだよ。嫌な予感しかしない。


観察していると、

正面の階段からカツ、カツ、と小気味よい足音が響いた。

「ここは大昔、騎士団の宿舎だったのだよ」


階段上からアグリアスが姿を現す。

「そして、ここは懲罰房。

規律違反者が閉じ込められていた場所だ……貴様の部屋に相応しいな」


「まったく……なんでこんな屋敷にしたんだよ」


「なにお! 

貴様にはここのロマンが分からぬか!」


アグリアスは胸を張り、恍惚とした表情を浮かべる。

「歴史を感じる建造物、むさ苦しい騎士の臭い……堪らぬではないか」

――騎士の臭いってなんだよ。


そういえば、こいつは元々ゴミ屋敷に住んでたんだ。今さら、この程度のボロ屋敷なんて気にも留めないのだろう。


「まあいい。それより俺の部屋はどこだ?

先に荷物を置いておきたいんだけど」


「あぁ……それがだな……」

アグリアスは急に歯切れが悪くなり、モジモジし始める。


「……ん? どうした」


「すまない。居室の確認をし忘れていてな……

客間を含めても、部屋が六つしか無かった」

申し訳なさそうに頭を下げるアグリアス。


「六部屋あれば十分だろ!

俺、アグリアス、カサンドラ、デュナン、ミザリア、リザリー。ほら六人!」


「ネコショウを忘れてるぞ!」

少し怒ったような口調で返される。


「今まで通りでいいだろ。俺と同じ部屋で」

  

「な、何を言っている!」

アグリアスは声を荒げた。


「猫のつもりで扱っていたのは分かるが、ネコショウが少女と分かった以上、貴様と同じ部屋にさせるわけにはいかない!」


「今までだって一緒に寝てたろ。問題ねぇよ」


「問題大アリだ!

貴様のことだ、女性と分かった途端、

あんな事やこんな事をするに決まっている!」


「……俺の信用、地に落ちすぎだろ」

さすがに肩を落とす。


ただ、ネコショウが安心して暮らせるなら、それでいい。



結局、俺の部屋は懲罰房に決定した。

ひどすぎる仕打ちだ。前科のせいか、庇ってくれたのはネコショウだけだった。


ここにきて、ラッキースケベのツケが回ってきたらしい。


その後、全員で部屋を確認しつつ、

長年積もった埃の掃除を始める。


玄関ホールには螺旋階段。

二階に居室が六部屋と、開けたバルコニー。

一階は厨房と食堂、談話室、大浴場に更衣室、それから倉庫。

地下は……俺の部屋(懲罰房)のみ。


この世界の価値観は分からないが、

この屋敷が一億G(グエン)するのは、どう考えても高い。



掃除が一通り終わる頃、

裏手のガルザス剣山に反射した西日が屋敷を茜色に染めていた。


「お風呂が沸いたから、男どもから入りな〜」

ミザリアの掛け声に、デュナンが真っ先に反応する。


「さぁ、リョウカくん。入ろうか……」

なぜか頬を赤らめている。


「嫌だ……」

露骨に下心を感じる。


「なんでよ! 入りなさいよ!」

ミザリアは腰に手を当て、母親のような口調で叱る。


「さぁ行こう。めくるめく男の園へ……」

デュナンが強引に俺の足を引っ張った。


「ぎゃー! やめろー!」

その瞬間、ラッキースケベのスキルが発動。


俺は一切の抵抗もできず、

デュナンと共に熱い湯船へと誘われる。


大浴場はかなり広い。

四方に並ぶドラゴンの石像の口から、大量のお湯が噴き出している。


「……大浴場だけ、無駄に凝ってるよな」


アグリアスの話では、どうやら昔の騎士団は、

風呂にだけは異様な情熱を注いでいたらしい。


「リョウカくん……」

突然、デュナンが寄りかかり、首元に息を吹きかけてくる。


「ぎゃー! 離れろ!」

デュナンの赤く染まった頬、湿ったミント色の髪、泣きぼくろ。なんだ、こいつ…やたらと色気がある。


ダメだ。

このまま見つめられたら、違う扉が開いてしまう。

既にラッキースケベの効力はフル稼働だ。


「僕、もう……」

そう呟いたデュナンは、その場で意識を失った。


どうやら完全にのぼせたらしい。


「なにやってんだよ、まったく」


慌てて湯船から引きずり出し、

いろんな意味で事なきを得た。

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