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両手をすり合わせながら廃屋のダンジョンに戻ってみると、満足そうに痙攣してるエスタを、ヤッドが愛おしそうに撫ぜていた。
しかしきれいだなー。
腰巻一つなんで骨格がわかってしまうのが残念だが、緩い服を想像すれば、美少女が寝ている友達にユリユリしてる絵画。
クワンはちょっとへたばっている。
こっちの姿は寝取られ男か、従者だな。
俺「どうだい?」
ヤッド「ねえさん俺たちと相性いいみたいだぜ」
そうかな。君の手の動きと反応がずれてると思うが。むしろこっちの手と連動している。ほらほら。
エスタ「ひぐっ、ん、ふぅ。
あ、おかえり… マショルカ、慣れてきたな今みたいな感じで」
ヤッド「なんだよ。今のは俺!」
ジーネ「寝ぼけてるんだよ。さあご飯にしましょ。そこテーブルにして、座れるように草の布団つくろうか」
そういってエスタをどかし、石のベンチにパンやら竹皮に包んだ炒め物、漬物、俺の出して包んでおいた唐揚げなんかをずらりと並べる。
ヤッド「え、うわっ、いい匂い」
クワン「ほんとに奢ってもらえるんですか?」
クワンも元気を取り戻した。二人してナイフを抜いて草を刈り集める。
エスタ「でもやっぱり口の中のがいいぜ…いろいろ…」
俺「戦闘時は諦めろ」
ジーネ「ウヒョウもこっち来てー」
エスタ「そこはもっとオラオラ口調で『うるせぇ黙ってろ!』とかさぁ…」
ウヒョウ「喧嘩はよせ」
廃屋の壁に寄り掛かっていたウヒョウも来て参加する。
俺「喧嘩というかさ、」単にエスタがドM根性見せてるだけだぞ。
ジーネ「食べよう食べよう、唐揚げは素手でつまめるよう先に出してもらったんだよね。箸持ってくればよかった。ほら君らも」
ヤッド「何これうまそう! うわっ、うめ!」
クワン「これは何ですか? 見たことない」
ヤッド「いいからお前も喰ってみろよ!」
この二人がいたので事前に唐揚げを出しておいたのである。
知ってる奴は知っているが、あまり能力をひけらかすのは良くない。
エスタ「これ食ったらひと眠りすっか」
俺「働けや。こっちはまた神殿戻るんだから」
エスタ「それで取れたの? 戦士」
ジーネ「今度は狩人だった。斥候に近いらしいよ」
ヤッド「お前いくつ仕事加えるんだよ」
クワン「ちょっと、大先輩だぞ」
ジーネ「いいよ別に」
むしろ『大』つけて機嫌悪くなったぞ。
ウヒョウ「お前らこのあと、ここに連れてきた二人のところに金貰いに行く気か?」
クワン「そのつもりです。囮の役は果たしたんで、貰う権利はあると思います」
各自パンを割って好みのものを挟んでいく。やはり唐揚げは人気だ。
クワンは唐揚げの数を数えて、指でヤッドに数を示してる。食べていい数を教えてるようだ。
エスタ「それはそうだが、見捨てた側が逆切れすることもあるから気を付けるんだぞ」
ウヒョウ「その通りだな。できれば双方の知り合いを連れて行った方がいいんだが」
クワン「大した額じゃないんで、そこから謝礼出すとキツくって」
俺「お前ら2時間労働で腹減ってんだろ。もっと唐揚げ食っていいぞ。ジーネは悲し気な顔やめろ」
クワン「これ頂けるだけで十分ですよ」ヤッド「…これでも限度はわきまえてるぜ」
俺「いいから気にすんな。というのは街で仕事拾ってきたんだが、その話を聞かせるわけにはいかないんだ。座を外してもらわなきゃいけないから、好きなだけ持って行ってくれ。あとジーネ泣くなや」
エスタ「これ全部持ってけよ。次あったらまた足揉んでくれや」
クワン「えーっと、いいんですよね」
エスタ「さっきうちの戒律話したろ。ダメなもんはダメ。ただ無理やりされちゃったら仕方ないんだよ。ほかの女にはするなよ」
ウヒョウ「うーむ…」
ヤッド「そこまで言われたら貰ってくぜ。この一飯の恩義も、俺たちが強くなったら必ず返す!
ただし! ねえさんに関しては譲る気はないからな!
来年俺たちが力をつけるまでの間、ちゃんとアンタが守るんだぞ!」
え? なぜ俺が恋敵のように思われるのだ。 最中に俺の名を何度か呼んだ? それはお尻の穴内側から押したときか。俺のせいだな。
俺「そのへんはどうでもいいから、さっさと帰れ」
ヤッド「おう、あばよ!」
クワン「ゴチになりました」
エスタ「じゃあなー」
ウヒョウ「達者でな」
ジーネ「うう… さよなら…」
そのさよならは唐揚げに対してか?
俺「なんで泣く。いくらでも出せるの知ってるだろ」
俺は二人の姿が丘を下ったあたりで、竹皮の上にぼろぼろ落としながら、ジーネに呆れた声を向けた。
ジーネ「お腹に入ると思ったものが持っていかれるのはつらいの。悲しくて」
エスタ「いいから食え。食ったら2秒で泣き止むんだから」
ジーネ「にしても彼、エスタ俺のもん宣言してたよね」
エスタ「おうよ。ちょっと気分良かったぜ」
エスタが幾分紅い顔しながらドヤって見せる。
そしてまじジーネ一口で回復してるし。
ウヒョウ「それより話したいこととは何だ?」
エスタ「あるんか?」ジーネ「なに?」
俺「なんでジーネも訊いてくるかな?」
◇ ◇ ◇
ウヒョウ「つまり野豚街での事件を大金出して探ってるものがいると」
俺「向こうの実家なんだろうが、どこまで裏を取ってるかわからない。
下手に出かけた日付をずらす口裏合わせするよりも、中で一切出会わなかったと言い張る方がいいと思う」
エスタ「なんだよー。ほんとに問題起きてたんか」
ジーネ「そうだねー。あっちの方が強くて装備もよかったんだから、まさかこっちにノー被害で争いが終わったなんて思わないだろうし」
この娘、パンにいろいろ詰め込みながら、同時にひょいぱく唐揚げを口に入れてる。
ウヒョウ「 …では俺が一緒にいるのはまずいのではないか?」
俺「ウヒョウのパーティはお前さん以外全滅だものな。
とはいえ急に離脱してもらうというのも、いいとは思えないなあ」
ジーネ「ウヒョウは別パーティに裏切られたところまでは正直に話していいでしょ。相手のメンバーについては、『立派そうな装備していたが、よく覚えてない。知らない人物だったしリーダーが対応していた』でいいんじゃない?
あー、やっぱり唐揚げ美味しーなあ。毎日食べられて幸せ」
ウヒョウ「嘘は付けない。
とはいえ、知らない人物だったのは確かだな。
名乗ったはずだが、ビルトソークが言っていた名とは違ったと思う」
俺「そりゃあ偽名を使ったろうし。
『気を失って俺たちに助けられた。そのあとは俺たちの狩りを手伝い、ともに帰った』なら、嘘はないんじゃないか。それ以上質問受けたら『リーダーに聞け』の一点張りで」
ウヒョウ「まあそれなら…」
俺「ところでなんでエスタ不機嫌そうなんだ?」
ジーネ「エスタはマショルカが焼もち焼いて二人を追い出す口実作ったと思ったんだよ。取り合いにされて浮かれてたら、そうでもなかったの」
エスタ「ぅおいっ! そういう分析口にすんなよっ。恥ずかしいだろ!」
ジーネ「きゃー」
◇ ◇ ◇




