案件107.逆転のSSR
話は昨夜に遡り、ボンゴラたちは黒火手団事務所の応接間で、あらゆるケースを想定しながらセイブレス救出作戦を練っていた。
ホワイトボードには、セイブレスの拉致に関わった悪堕者の顔写真と、作戦の内容を記した文書がたくさん貼られていた。
「老甲斐闇異:轟々翁、属性は災暴。過去の事件で多数の異救者を返り討ちにした強敵、実力は堕悪トリオ以上だと思われる」
「我茶本闇異:ガチャダマン、属性は冥塞。自己修復機能をもつ結界を張って異救者たちを妨害し、セイブレスの拉致に大きく貢献した」
「映蝿闇異:バズフライ、属性は妖翅。過去の事件の目撃例が少なく、能力は不明」
「おそらく明日の取引の肝となるのは、ガチャダマンだな」
「奴が結界を展開すれば、僕たちは手も足も出せないからね」
「バズフライも油断できません、それに新手の闇異が出現する可能性もあります」
「そこで提案だが、俺の新技『黒真似師』で奴等を欺くというのはどうだ?」
「アゼル、一体どんな技なの?」
「俺のオーラと画像データを内蔵したメモリーチップを、対象に貼り付けることで擬態させる黒な技だ」
アゼルがメモリーチップをボンゴラに貼り付けると、ボンゴラの身体が漆黒のオーラに覆われアゼルへと姿を変えた。
「アゼルくんが二人になったッス!」
「闇異の力と機械を組み合わせるなんて・・・!」
「その技をどう活かすのかな?」
「ガチャダマンが結界を展開しても、外でセイブレスが入ったヒトリバコと聖女を見せれば、すり替えられたと思い込み解除する筈だ。その隙を狙って奇襲し、本物のセイブレスと聖女を奪還する」
「頑丈で自己修復する結界があるのに、奴らを騙せるのかい?」
「人一人入れる程の穴を開けられれば、俺が瞬時に出入りしたと思わせられる。問題はあの結界を、どうやって破るかだ・・・」
その時、リンドーがシュバっと手を挙げた。
「アタシが結界を撃ち破る。浄化の力を凝縮した御札なら、穴ぐらいは開けられるはずだ」
「なるほど!名案ッスね!」
矛貫隊の新人隊員の一人玉善リンドー は、御札を発射する特殊な銃の使い手だ。さらに放たれた御札は標的を追尾する!
「ならばこの盾男が、練習相手になろう!」
「よろしくお願いします!」
「僕たちは引き続き、いくつものプランを考えておこう―」
話は現在に戻り、ボンゴラが仲間たちの協力を経てガチャダマンの結界を解き、マナキが入った聖女トリバコを守りつつ、セイブレスが入ったヒトリバコを奪い取ることに成功した。
「ハァ・・・ハァ・・・やってくれたなボンゴラ・・・!」
ボンゴラの浄化で倒れたサエラが起き上がろうとするが、目の前に数枚の盾が現れ手下の悪堕者諸共、身動き取れなくなってしまった。
「さあここからは、異救者きっての盾男の出番だ!」
そう言って黒皇の隣にいた偽マナキが、ツドウことエスクディアンの姿に戻った。
「「聖女様!!」」
「イザベロさん、クレイアさん、聖女様とセイブレスたちをお願いします!」
ボンゴラがマナキの護衛二人に、ヒトリバコと聖女トリバコを渡そうとしたその時、足元で丸いカプセルが転がっていることに気づいた。
そしてカプセルがパカっと開くと、パンパカパーンという音と紙吹雪と共に、SSRという文字が浮かび上がった。
「これは・・・?」
「SSRがキタ!逆転のガチャ運を見せてやる!!」
ガチャダマンがそう叫ぶと、なんとさっきまで晴れていた空が突然雷雲に覆われ、雷が異救者たちに直撃した。
「うわあっ!」
「こっこれは・・・ただの雷じゃない・・・!」
雷雲はすぐに消えたが、異救者たちが痺れている間に悪堕者は盾を払い除けた。
ボンゴラと護衛二人は雷をギリギリ避けられたが、落雷の衝撃でセイブレスが入ったヒトリバコを手放してしまった。
「しまった!」
さらに悪いことに、ヒトリバコが落ちたのは轟々翁の足元だった。すると轟々翁はヒトリバコを拾い上げ、ゴクンと丸呑みにしてしまった。
「最早小細工は要らん!貴様らまとめて捻り潰してくれるわ!!」
「・・・!イザベロさんとクレイアさんは、聖女様を連れて先に行って下さい!」
「そうはさせないぜ」
サエラが合図すると、ボンゴラたちを囲むように多数の異空間が開き、悪堕者の増援が姿を現した。
「くっ!ハコが開かない!」
「聖女様には指一本触れさせん!」
「この手で救ってみせる!!」
こうして取引は決裂し、聖女とセイブレスを巡る異救者と悪堕者の戦いが始まった!!
ボンゴラはリチャウターに変異し、黒皇と合流して轟々翁に挑む中、イザベロとクレイアはメタリックなボディをもつ、女性型アンドロイドのような姿に変異した。
聖女トリバコを狙い悪堕者たちが襲いかかるも、イザベロとクレイアは連携して頑丈なバリアを張りながら反撃し、手も足も出せずにいた。
「さすが聖衛異救者、セイントガード01そしてセイントガード02。おれも盾男として、負けてはいられないな」
エスクディアンは落雷のダメージを負いながらも、上空を漂う悪堕者たちの一斉攻撃を盾で防ぎながら余裕そうにしていた。
「撃て撃て撃ちまくれ!特級を落とすチャンスだぞ!!」
「ゴールドランクに上がるのはオレ様だ!!」
悪堕者たちが勢いづいていたその時、彼らの周りに無数の盾が突然現れ、攻撃も移動も阻まれてしまった。
「サドンシールド!からの―」
その隙にエスクディアンは高く跳躍し、なんと宙に浮く盾から盾へ飛び移って悪堕者の懐に入った。
「ハァ!?」
「バッシャーシールド!!」
エスクディアンはトゲつきの盾で敵を殴り、ダムの後ろにある貯水池に叩き落とした。
他の悪堕者が反撃するも、エスクディアンは近くで浮いていた盾を引き寄せてガードした上、その盾をぶん投げて返り討ちにした。
「こんなの盾の使い方じゃねえ!」
「いいや!これも盾活さ!!」
その時地上でミサイルランチャーを構えた悪堕者が、空中にいるエスクディアンを狙い撃とうとしていた。
「こいつで盾ごと吹っ飛ばしてやるぜ・・・!」
「そんな危ない物は『追放』だ!!」
何者かの叫び声と同時に、ミサイルランチャーが突然消えてしまった。
「何っ!?」
悪堕者が武器を失い困惑していると、上空にハンググライダーのような翼を生やした闇異が現れた。
彼の名は追放異救者:ラッシルバ、遠里ダニュアルが変異した姿である。
「そしてお前も『追放』だ!!」
ラッシルバが悪堕者に指を差し追放を宣言すると、悪堕者は一瞬で姿を消しここから数十km先にある異救者の事務所へ転送された。
「助かったよダニュアルくん!」
「微力ながら、お力添えします!」
To be next case




