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案件105.セイブレス救出チーム

 黒火手団(くろびてだん)を辞めてでもセイブレスを助けに行くという、ボンゴラの覚悟にアゼルとカネリは驚きを隠せなかった。


「ボンゴラ・・・!」

「・・・・・!」

「その話、ちょっと待ったぁ!!」


 なんと3人の前に、特級異救者(イレギュリスト)のツドウと聖女マナキが現れた!


「ツドウさんとマナキちゃん!?どうしてここに!?」

「決まってるだろ、セイブレスを助けるためさ!」

黒火手団(くろびてだん)が今回のことで、きっとケンカになると思ったの」

(こいつら、毎回(ブラック)なタイミングで現れるな・・・)


 アゼルがそう考えていると、カネリが二人に食ってかかってきた。


「アンタらもセイブレスに味方すんのかよ!」

「カネリ、セイブレスにもいい人はいる。救世会(きゅうせいかい)の方針に賛同し、加盟国の永住権を得た人は少なからずいるんだ」

「そんなワケ・・・!」


 ツドウがカネリを諭していると、マナキがボンゴラに話しかけてきた。


「はいボンゴラくん、深呼吸しましょう!」

「え!?」

「いいから深呼吸だよ!スゥ~~、ハァ~~」


 マナキが深呼吸を始めたため、ボンゴラも思わず大きく息を吸って吐いた。


「ちょっと落ち着いた?」

「・・・多分」


「ボンゴラくん、助けなきゃって気持ちが強くなり過ぎて、周りがちゃんと見えてないと思うよ?こういう時こそ、一人で抱え込まないで色んな人に相談しようよ」

「・・・ごめん、みんなに迷惑かかると思って」


「迷惑なわけないだろ、おれたちは助け合って人助けする『仲間』なんだぜ」

「ツドウさん・・・すみません・・・」


「それにもしハズミがいたら、寧ろ自己都合で勝手に脱退される方が大変迷惑です。無責任な発言と行動は慎んで下さいって言うと思うよ」

「うっ、気をつけます・・・」


 ツドウがハズミの真似をして眼鏡を掛け直す素振りを見せると、ようやくボンゴラは落ち着きを取り戻した。


「とにかく、細かいことはおれたちに任せてくれ。たとえ見返りがなくても、セイブレスを助けるために手を貸してくれるかい?」

「もちろんです!この手で救いましょう!」

(聖女と特級のお墨付きか・・・)


 アゼルは少し考えた後、ボンゴラにある提案をした。


「ボンゴラ、俺も手を貸してやる。ただし、報酬3万点だ」


 なんとアゼルは、協力する見返りとしてボンゴラに巨額のスコアを要求した。


「わかった。ただし一人亡くなるごとに、1000点ずつ減点だ」

「いいだろう、取引成立だ」


「カネリさんも助けに行く?」

「オレは・・・オレはいくらスコアを出されても、絶対ぇセイブレスなんか助けねえ!!勝手にしやがれ!!」


 気分を悪くしたカネリは、ドタドタと足音を立てながら自室へ戻って行った。


「カネリ・・・」

「奴は放っておいて、準備に取り掛かるぞ」

「まずは協力してくれる異救者(イレギュリスト)が、他にいないか聞いて回ろうか」




 一方セイブレスを拉致した悪堕者(シニステッド)たちは、アジトで口論になっていた。


「バッカモーーーン!!!セイブレスを人質にしてどうすんじゃあ!!これだから若いモンは!!」

「ボケてんじゃねえぞクソジジイ!パトカーに囲まれてるバスの乗客を人質にすれば、聖女と取引できるっつったのはアンタじゃねえか!!」


 言い争っているのは、逆立つ白髪のようなオーラを放つ老人型の闇異(ネガモーフ)と、頭部が丸いカプセルに覆われガシャポン自販機に似た闇異(ネガモーフ)だ。


「だれがクソジジイじゃあ!自分の失敗を人のせいにしおって!この老甲斐闇異(ろうがいネガモーフ)轟々爺(ごうごうや)が、貴様の根性叩き直してくれるわぁ!!」

我茶本闇異(がちゃぽんネガモーフ):ガチャダマンをナメるなよ!SSRスーパースペシャルレアが出れば、アンタなんか一瞬であの世行きだ!!」


 そしてその傍らで、檻に閉じ込められ怯えるセイブレスたちを監視しているのは、ハエのような姿をした闇異(ネガモーフ)だった。


「残念だブ~ン、聖女との人質交換が上手く行けば、映蝿闇異(ばえばえネガモーフ):バズフライがバズること間違いなしだったのに・・・ブ~ン」


「いっそコイツらを血祭りに上がる様子を、SNSに投稿しようかな?ブ~ン」


 バズフライの発言でセイブレスたちが震え上がった時、彼らの前にサエラが現れた。


「まあ待て。特級異救者(イレギュリスト)盾守(たてもり)ツドウが、取引に応じると連絡があった」


「なんじゃと!?」

「それは本当なのか!?」


「奴は特級の中でも筋金入りのお人好しだ。こいつらの処分は、約束の時刻を過ぎた後でも遅くはない。最低最悪の闇深案件にしようぜ―」




 その後、カネリは気がつくと自室のベッドで横になっていた。


「ふあ~あ、・・・ってもうこんな時間かよ!?」


 時刻は夜の8時、カネリはセイブレス救出作戦を辞退した後、いつの間にか不貞寝していたのだ。


「ゲキアツハラ減ったなあ、メシどうすっか・・・」


 カネリが階段を降りると、応接間から人々の話し声が聞こえた。


 気になって覗き込むと、そこにいたのはアゼルとボンゴラ、ツドウとマナキ、マナキの護衛イザベロとクレイアに加え、矛貫隊(ほこぬきたい)のモズロウ、トゥエバ、リンドーの3人と、ボンゴラの旧友ダニュアルが集まっていた。


「いや~声をかけてみるもんだねえ!ハズミは別件で参加できなかったけど」

矛貫隊(ほこぬきたい)のみんなにダニュアルさんまで・・・来てくれてありがとうございます!」


「ボンゴラ君には借りがあるからね」

「デス・シンテージから助けてくれた恩、必ず返すッス!」

「隊長の命令で悪堕者(シニステッド)を取り締まるだけだ」


「アイツらも助けに行くのかよ・・・!」


 カネリはボンゴラたちのことが気になり、応接間の前で聞き耳を立てていた。


「ダニュアルさん、ひょっとして・・・」

「ボンゴラ君、今まで隠しててごめん。僕の生まれはセイブレスなんだ」

「謝ることはありません、ダニュアルさんはダニュアルさんです」


「不法入国したのは、悪意ある者たちだけじゃない。内戦や圧政から逃れようと亡命を求めても、敵性国家出身などの理由で拒否され、やむを得ず不法入国する人も少なからずいる。僕は運良く受け入れられた分、彼らの助けになりたい」

「ダニュアルさん・・・」


「でもまさか聖女様も、この案件に参加されるとは思いもしませんでした」

「だってわたし、聖女ですから」


「貴様等護衛も、よく聖女の参加を承認したな」

「確かに異論を唱えましたが、聖女様の御意向を理解し納得を得ました」

「我々は聖女様の全力で御守り致します」


「聖女様ためにもこの末甲(まっこう)トゥエバ、必ず作戦を成功させるッス!」

「みんながんばろうね!」


 異救者(イレギュリスト)たちが救出作戦に意気込む中、リンドーがボンゴラに問いかけた。


「ところで、激熱(げきあつ)カネリは本当に参加しないのか?」

「カネリはバズレイダのことがあるから・・・」

「そうだよな・・・アイツなら、それでも行くと思ったんだが・・・」


 リンドーは闇異(ネガモーフ)異救者(イレギュリスト)の戦いで、姉の人生を奪われた。カネリがセイブレスを恨む気持ちは理解できるが、少し残念な思いを抱いていた。


「・・・・・!」


 カネリはその場に居辛くなり、黙って玄関に行くとマナキに呼び止められた。


「カネリさん、本当に行かなくていいの?」

「・・・メシ食いに行ってくる」


 カネリは振り返ることなく、黒火手団(くろびてだん)事務所から出て行った。




 そして翌日の昼12時、奥玉ダムにてセイブレス30名と聖女の身柄交換が始まった!


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