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第49話 出立

「…………っ!………っ⁉︎」


「〜〜〜〜〜♪」


ここはアメシア帝国第4連隊のキャンプ地。その中の高位士官用のテントの1つ。そこでは現在2名の人物が寝泊まりをしていた。


さて、そんな場所は今2人ではきかない数の人間がいた。


そう、文字通りいる(・・)のだ。


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」


「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」


「腕ぇ…俺の、俺の腕がぁっ!返してくれ、返してくれ、返してくれぇ」


「目が、目がー!」


地面を這い蹲り壊れたような反応しか返さない10人ほどの男たちの前には2人の男女が立っていた。


1人は長めの金髪をうっとおしそうに払い、眼下の男たちをゴミを見るような目で見ている赤いローブ姿の人間の男。


もう1人はショートカットの茶髪と頭から生えたウサギ耳(・・・・)が特徴的な快活そうな、それでいて今は冷酷な笑みを浮かべている獣人の少女。


この2人こそ、SS級冒険者の一角である『煉獄』と『首狩り兎(ヴォーパルバニー)』だった。


なぜ2人のテントに男たちがいるのかというと


「ねえ、私略奪は禁止だって言ったよね?」


「あっ、あがぁっ!」


少女はナイフを男に刺しながら言う。


「まあね、私にそういう視線を向けるのは良いよ?私、獣人だから慣れてるしね」


ポーションをかけて傷を回復させてまたナイフを取り出した少女は続ける。


「だからと言って進行途中の女を凌辱しようとするのは駄目だよ。私が戦争に参加する条件の中に『直接生命に関係しない略奪等の一切の禁止』っていうのがあるんだよ?」


「あぎゃぁっ!」


「ねえ、ねえねえねえ。聞いてる?ねえ?」


「そこまでにしておけ『首狩り』」


ナイフを突き立て続ける少女に男からストップがかかる。少女はそれに不満気な表情を浮かべながらも渋々とやめた。


「はいはい、分かったよ『煉獄』。やめればいいんでしょ?」


「ああ、分かればいい。明日も早い。こいつらを外に捨てたら寝るぞ」


「はーい。了解了解」


少女が軽く手を振るとそれに応えたように男たちは全員の体が浮かび上がりテントの入口から外へ放り出される。


それに鼻息荒く息をつくと少女はテントに設置されているベットに横になる。


「おい『首狩り』。そっちのベットは俺の何だが」


「レディに譲ることをお覚えなさい『煉獄』」


「何だそれは…っておい」


男…『煉獄』が少女を見ると既に静かな息を吐き、眠りについていた。


『煉獄』は頭を掻き、ため息をついてから少女が前まで使っていたベットに横になる。少女特有の甘い香りを嗅いだ『煉獄』は顔をしかめた後にまた1つため息をついてから眠りについた。













「てめえら準備は良いかぁ‼︎」


『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』


「はははっ、相変わらずお前のカリスマは凄えなレウス」


俺はすぐそばで走竜(ランナードラコ)という亜竜種に騎乗した完全装備のレウスを見て言う。

レウスはそれに照れくさそうに返した。


「まあ、昔からまとめ役は得意だからな」


「流石は金貨騎士団の団長様だな」


「それは関係ねえ!というか何で俺がこんな事をやらなきゃいけねえんだよ!」


「王様からの命令だ。がんばれよ」


そう、今回レウスは王から冒険者や傭兵、そして特殊な経歴を持つ騎士や兵士を寄せ集めた臨時の騎士団の長を任せられていた。


金で動き金で死ぬ人間ばかりが集まったから『金貨騎士団』。装備もバラバラで実力もバラバラだが彼らはレウスのカリスマによって1つにまとめあげられていた。


「さて、レウス。準備は良いか?」


「誰に言ってんだお前。当たり前だろう?」


身につけたフルプレートアーマーの胸を叩きながら良い笑顔でレウスは言う。


「俺も強くなった。お前だけが戦えるわけじゃねえ」


「まあ、だろうな」


俺はレウスのステータスを見て笑う。





名前 レウス ロベルト

種族 人間

性別 男

年齢 35

職業 【大剣使い】【凶戦士(クルセイダー)

レベル104


装備

主武器:【地竜剣アード】

副武器:【黒鋼の大剣】×2

頭装備:【烈風のイヤリング】【真銀の兜(ミスリルヘルム)

胴装備:【地竜皮の服】【真銀の鎧(ミスリルアーマー)

腕装備:【覚悟の腕輪】【真銀の手甲(ミスリルガントレット)

足装備:【地竜皮のズボン】【真銀の脚甲(ミスリルグリーグ)



スキル

大剣術Lv7

双大剣術Lv5

身体強化Lv5

直感Lv6

気合いLv8

風魔法Lv3

魔力強化Lv3


特殊スキル

身体凶化

焙烙崩落(未覚醒)



称号

諦めぬ者

進む者

希望を知った者

竜殺し

英雄の素質






完全に普通の人間ではありえないステータスだ。地味にこいつが勇者よりも主人公なんじゃないかと思えてきた。


「んじゃ行くか、騎士団長殿?」


「その呼び方をするな『鎖鴉』」


「お前も俺をそう呼ぶんじゃねえ!」


そう、俺にもいつの間にか2つ名が付いていたらしい。


何でもSS級は全員の2つ名があるらしいのだが、何故こうなった。


レウスに聞いたところ


「鎖を使って戦闘する黒い装束の冒険者だったからそうなったらしいぞ。あと、チーム名も『濡鴉』で鴉ってついてたからってのもあるな」


「いや、俺のメインは刀なんだが?」


と言えば


「剣速が早すぎて普通のやつらには見えないから。お前の周りにあった鎖なら見えたんだろ」


らしい。


「行くぞ、金貨騎士団出立!城門を開け!」


ゴゴゴゴゴゴゴッ


そんな事を考えているうちに王都の城門が開いていく。


「準備は良いか?」


俺が聞くといつも通り家族たちの声が返ってきた。


『主よ、いつでも問題はない』


『ああ、主。何も問題はない』


俺が乗ったグレイが答え、クリアも続く。


「私も問題ありません」


「「問題ないよー」」


アンチとシロ、ハクも言う。


「いつでも」


「同じく」


「「「今度こそはお役に立ちます」」」


「…………」


レイ、ゼロ、アイン、ツヴァイ、ドライ、ヴィアの全員が更に答える。

いや、ヴィアは喋れないけど雰囲気でわかる。


「行くぜ!」


『おおおおー!』


レウスは俺たちに並んで門をくぐる。


目指すは砦。目標は帝国軍。


そして俺らに訪れる結末はただ1つ。


「「勝利を掴むぜ!!」」


俺とレウスの声が重なり


『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!』


歓声が響く。


今、王国の最大戦力は投下された。


地味に初めてレウスのステータスを書いたことに気がつきました。

お気に入り&リアルの知り合い間の人気キャラなのに何ということでしょう。


感想等お待ちしています。

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