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第38話 不穏な影

祝100,000字突破!


やっとここまで来れました!読者の皆様のお陰です!


それでは第38話どうぞ!

「あちゃー、あいつらやり過ぎだろう。修理費要求されたりしないよな?」


俺は壊れた結界と会場の壁を見ながら思わず額に手を当てて現実から目を背けてしまった。


というか、俺の仲間たちは全員が加減や手抜きが出来ないのか?わざとやってるのか?敵に手の内を晒してどうするんだと言ってやりたい。


まあ、個人戦の決勝トーナメントに出るような奴らはこの戦いには殆どの奴が出てこないらしいからこそ、この結果だったのかもしれないが。


シロとハクは大道芸のようにトリッキーな動きで攻撃、防御、回避、カウンターとやってのけ、勇者を踏み台にするし


アンチは水蒸気爆発なんてモノを起こした後に全属性波動(エレメンタルバースト)を使って会場を一部吹き飛ばして、勇者も吹き飛ばすし


アンデット組は集団戦闘が半端じゃないレベルで完成されてて、人を投げて勇者にぶつけるし


グレイとクリアは純粋な身体能力だけで味方ごと弾き飛ばし、レウスも巻き込んで勇者に弾き飛ばすし


みんな馬鹿をやり過ぎだろう。あれ?そういえば勇者、被害に遭いすぎじゃね?まあ、俺は見てて面白かったから良いけど。


レウスは後でしっかりと労ってやろう。あいつは流石に可哀想すぎる。土産は酒と飯で良いかな?


「「マスター‼︎」」


「おっ、おかえり」


「無事終了致しました。マスター」


そうこうしている内に俺の従魔かぞくたちが戻ってきた。全員がやり切った感を出していて、心なしか顔がツヤツヤしている気がする。


あ、吸血鬼と死骸人たち全員が見たことないくらい楽しそうだぞ。なんかイラッときた。まあ、とりあえず俺が最初にやることは1つだけ


「お前ら全員そこに正座しろ」


「「えっ?」」


「…………?」


「「「「「ほえ?」」」」」


「せ、い、ざ、し、ろ」


「「「「「「「「……………はい」」」」」」」」


俺は調子に乗ってやり過ぎた従魔かぞくたちに小一時間ほど説教を続けたのだった。






「レウス、悪いな。まあ、災害みたいなものだと思って忘れてくれよ」


「何なんだ……何なんだよあいつら………⁉︎強い奴ら多過ぎだろう…⁉︎」


「まあまあ落ち着け」


「いくら総力戦用に装備とか力を抑えてたと言ってもあれはないだろう⁉︎」


「あいつらは全力でやったんだよ。馬鹿だと思うけどな。まあ、個人でお前の全力は見せてくれよ」


「分かった、次こそ負けねえぞテツヤ!」


「何故に俺に負けたことにする⁉︎」


今の時刻は午後10時くらいだろうか、外は完全に暗闇に包まれ僅かな街灯が灯りを灯すだけで暗い。


あ、月は綺麗だなあ。


俺は1日目の闘技大会が終わった後に王城にあるレウスの部屋に来ていた。何となく謝ったほうが良い気がししたのだ。


あの後の個人戦予選では特に問題もなく進み、順調に決勝トーナメントに進む選手が決まった。


明日はチーム戦の予選と決勝トーナメントだ。レウスは出ないらしいが、俺は出る。俺は用事を済ませると酒と飯を置いてレウスの部屋から出てそのまま王城からも出て宿に向かう。


俺が宿に着くとアンチ以外は既に眠っていた。試合での肉体的な疲れと俺の説教の精神的な疲れのダブルパンチが効いたのだろう。


「どうしたアンチ?」


「マスター、魔力の補充をお願い致します」


「ああ、そういうことか。分かった背中むけろ」


俺がそう言うとアンチは服をはだけて背中を俺に向ける。俺はその白い背中に直接触れて魔力を流し込んだ。


「んっ……」


「これで終わりだ。足りない分は魔石を舐めとけ」


「わかりました。ありがとうございます、マスター。お休みなさいませ」


「おやすみ」


俺は7割ほどの魔力をアンチに注ぎ込んだ。足りない分は魔石を飴玉のように舐めていればアンチなら回復する。そこら辺が魔力が自然回復する人間と自動人形(オートマタ)の違うところだ。


俺は身体を綺麗にした後着替えて部屋のベットに横になり、すぐに意識を手放した。













同時刻〜とある一室〜


「今日、見たあの男……あの武器は………」


周囲の明かりを全て消し、黒だけが主張する暗闇の中で()はベットに腰掛け、俯いてブツブツとつぶやいていた。


「やはり……あ…子は、もう。………さない、取り戻す、必ず」


彼は次第に頭を掻き毟り髪を振り乱し、はたから見たら異常者だと即判断されるような容姿となっていた。


だが、その動きは突然ピタッと止まった。そして顔を上げた彼の目は


「【ローズ】、君の(かたき)は必ずこの僕が取ってみせる。必ずだ……!」


世界を呪うような澱んだモノを含み、何もない空間を睨みつけていた。


あかく、あかく、あかく光る眼光を伴って。

















翌日、早朝


「「「おはよう、ご主人?」」」


「……………………死ね」


「「「酷(いよ⁉︎)(いです⁉︎)(くね⁉︎)」」」


「…黙れ。もう少し寝かせろ妖刀ども」


「「「え〜⁉︎」」」


「マスター、起床のお時間です」


「分かった。起きる」


「「「何この差⁉︎」」」


俺はクソうるさい妖刀どもの声で起きた。そのあとにアンチが改めて起こしに来たお陰で少しイライラは治まった。


全くこいつらは俺を怒らせる事を的確にやるな。狙ってやってるとしか正直なところ思えない。


「ちっ、まあいい。さっさと朝飯を食べたら会場に行くぞ。俺たちは決勝トーナメントからだが、予選から見ておけば相手も分かるしな」


「そうですね。ではマスター、早速食事を済ませましょう。既にシロとハクは下の食堂に行っています」


「わかった。お前ら、刀に戻れ」


「「「は〜い」」」


俺たちはその後さっさと食事を済ませると会場へ向かった。昨日と違って今日は簡単な挨拶だけで試合が始まる。


予選と言っても、見ていて面白い試合は多かった。決勝トーナメントに出てくる奴は分かったし、俺たちの最初の相手も確認した。


俺たちの試合は後の方なので暫くそのまま試合を観戦していた。ときおり、飲食物を売りに来る商人から軽食を買って従魔かぞくたちとつまみながら過ごしていると係員に呼ばれた。


「テツヤさん、そろそろ控え室までお願いします」


「わかった、すぐに行く。それじゃあ俺たちは先に行くがお前たちも頑張れよ?」


「「「はいっ!」」」


「……………」ジャッ!


『もちろんだ。負けるつもりはない』


上から吸血鬼組、ヴィア、クリアだ。ヴィアは話すことが出来ないからナチスドイツ式の敬礼をしてみせた。


……………どこであんな事覚えたんだ?


俺は俺の従魔かぞくたちの事が少し心配になったが部屋を出て行く。そのまま係員の先導に従って控え室に入るとその部屋の中には誰もいなかった。


「おい、控え室は普通他に誰もいないのか?もっと他の奴らもいるものだと考えていたんだが」


「予選はそうですが、決勝トーナメントは選手たちの状態に万全を期すために個別の部屋となっています」


「そうか、分かった」


「それではまた時間が来ましたら呼びに来させていただきます」


そう言うと係員は部屋から出て行った。俺たちは控え室ないのベンチに腰掛けた。そうだ


「シロ、ハク。お前たちはいつも通り戦えばいいからな。フォローは俺たちでする。恐らくそれが一番効率が良いはずだ」


「「はい、マスター!」」


本当は俺が1人で突っ込むのが一番効率がいいんだが、俺には個人戦もあるしな。俺に勝てる奴はいないと思うが手の内を晒すのは得策ではないだろう。


「アンチ、お前はフォローに徹しろ。遊撃は俺とグレイでやる。無理そうなら俺とグレイもフォローにまわる」


「了解しました」


『分かった、主よ。……む?時間のようだな』


グレイが鼻をピクピクと鳴らした10秒後、先ほどの係員が来た。


「時間になりました。会場にどうぞ」


「わかった。行くぞ、お前ら!」


「「おおー!」」


「はい」


『うむ』


俺たちは会場に出た。目の前には敵のチームがいる。この闘技大会のチーム戦の最大人数である10人全員がいるようだ。


司会の声と共に試合が始まる。


『それでは第24試合!Aランク冒険者トーンズ久いるチーム【地龍の甲殻】とSランク冒険者テツヤ久いるチーム【濡鴉(ヌレガラス)】の試合を開始します!それでは………開始ぃい!!』


…………………………濡鴉?


あっ、そう言えばチーム名を何にするのか聞かれた時に腹減ってたから適当に思いついたのを答えたんだっけ。


ヤバい、なんか恥ずかしい。


そうして俺たちの第1試合は締まらない空気で始まったのだった。

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