第26話 外で
今回も短めです。
これからもよろしくお願いします。
「おい、この街を早く出ていくぞ」
「「はーい」」
俺はシロとハクを連れ、入ってきた時と同じ門に向かう。しばらく歩くと見覚えのある門が見えてきた。
「止まれ」
「あ?」
門に近ずくと衛兵に止められた。俺は今イラついているので威圧を出したまま返事をする。
「ひっ⁉︎」
「出るぞ、じゃあな」
俺は門の外に出た瞬間、モンスターハウスからグレイとクリアを呼び出して俺はグレイ、シロとハクはクリアにそれぞれ乗る。
そのまま、俺たちはアーネを離れていった。
その日は、一日中移動を続けた。途中、出てきた魔物を狩り飯を食った。その間、俺たちに会話は殆ど無かった。
「マスター?」
「どうしたシロ?」
「夜営の準備しなくていいの?」
「ああ…そうだな、忘れてた。今日はいい。ありがとな」
「うん!」
「あ、シロだけズルい!」
「ああ、ハクもありがとな」
「えへへ」
俺が2人の頭をポンポンと軽く叩いてやると2人は気持ちよさそうに顔を崩した。俺たちは、街道から少し離れたところで止まり、グレイとクリアから降りた。
2匹はなにも言わずに俺の事を見ている。俺は地面に手をついて久しぶりに魔法を使う。
「影の家」
俺たちは地面に出来た黒い穴に入っていった。中は前に来た時と変わらず真っ黒な家そのものだった。
夜営を学ぶためと、興味から使わなかったがこれからはずっとここで過ごせばいいだろう。中にいる間は魔力を消費し続けるが、回復量の方が多いから問題はない。
シロとハクはソファにゴロゴロと寝転がって楽しそうにしていた。
グレイとクリアは庭で寝転がっていたので取り敢えず「おやすみ」と声をかけた。
シロとハクにも声をかけて俺は1人、部屋に入り鍵をかけた。
「はぁ」
俺は部屋の中にあるベットに寝転がると自然とため息が出た。今日はイラつく事ばかりでストレスが溜まったみたいだ。
「はははっ、ご主人、随分と怒ってたね〜」
「怠惰か」
「ワタシもいますよ、ご主人」
「強欲もか、で?どうしたんだお前ら」
「「ご主人を慰めようと思って」」
「いらん、寝る」
俺は二柱の悪魔を無視して布団にくるまった。だが、2人は布団に入ってくる。
「……おい、暑い。退け」
「うーん、ご主人あったかいねえ」
「そうですねぇ」
「頭、蛆沸いてんのかお前ら。いいからさっさと退け」
「「え〜」」
「えー、じゃねえ!さっさと退け!邪魔だ!」
「わかったよ、仕方ないなあ」
「わかりました、仕方ありませんね」
「余計疲れた。じゃあ俺は寝るぞ」
「「おやすみなさい」」
俺は2人のせいで余計に疲れたが、代わりにイライラやストレスがなくなっている事に気がつかないまま、眠りについたのだった。
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朝、目が覚めた俺が部屋を出ると既にシロとハクは起きていた。
「おはよう」
「「おはようございます!」」
「朝飯は何がいい?」
「「お肉!」」
「わかった」
2人の要望に応えてブルボアの肉を出して焼く。塩と胡椒を振って軽く味付けしたあと、タレをつけて再度焼く。
肉を焼いている間にサラダとパン、スープを取り出して器に移す。ちょうど移し終わるのと同時に肉が焼けた。いい匂いだ。
「出来たぞ、座れ」
「「はいっ!」」
「いただきます」
「「いただきます!」」
もぐもぐもぐごふもぐ
「……慌てなくてもなくならんからゆっくり食え」
「「はい…」」
そうして食事を終えた俺たちは家から出て、そしてグレイとクリアを連れて影の家から外へ出た。
「あ?」
「ん?」
「「………うおっ⁉︎」」
外に出るとそこには薄汚い盗賊の格好をした男どもが十数人集まっていた。
「ちっ、お前らやっちまえ!」
「おおおおっ!」
盗賊の頭らしき男がそう叫ぶと俺に向かって他の盗賊が武器をそれぞれ構えて向かってくる。
長剣、斧、槍、棍などの様々な武器が俺に迫るが全て簡単に避ける。シロとハクも余裕で躱している。グレイとクリアは外に出ると同時にモンスターハウスに戻らせたので居ない。
俺は腰の妖刀を抜かずにアイテムボックスから2本のククリナイフを取り出す。それを使い、武器を払い流しつつ切りつける。
それから1分も経たないうちにそこには盗賊の頭と俺たち以外は全員地に這いつくばっていた。
「ひっ⁉︎く、くるな!」
「黙れ、この害悪が」
俺がナイフを投げて頭の両足に刺す。頭は悲鳴を上げたが無視する。
「で?朝っぱらからなんでこんなところにいた?」
「それは…」
「なに?」
そいつから聞き出した情報は、無視するには大きすぎる問題だった。俺はその盗賊にポーションを飲ませて回復させたあと、アーネへと足を向けた。
余談だが、俺が討伐した盗賊団の名前は「モブ盗賊団」といい、頭の名はモブらしい。
これを聞いた俺が噴き出したのは必然だっただろう。
感想等、お待ちしてます!




