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第128話 全てを俺に

 主人公は、ゲームで仲間にしていた人を見かけ、その様子を確認していたのですが。

 仲間にするタイミングになるイベントが起こる様です。

 大通りから別の通りに向かう抜け道。


 それを力なく歩く女性。


 その前にガラの悪そうな男性が3人ほど向かってくる。


 嫌そうに立ち止まった女性に声を掛ける3人。


 「チェチーリア。

  いい加減諦めて娼婦になったらどうなんだ。

  お前の器量なら稼げるのは保証してやるぜ」


 「……」


 「もう少しで期限がくる。

  まあ、そこまで待ってやるけどな」


 そう言って3人は去って行く。


 悔しそうに俯いていた女性が、気を取り直して前に進もうとした時に、一人の男性と二人の女性と二匹の従魔がその前に走り込んで来た。



 はあ。


 仲間にする時のイベントの会話が、感覚強化で強化されている聴覚で聞こえたよ。


 いや。


 内容は似ているが、もっと返済までの時間に余裕が無い感じだったか。


 でも、今日から長期間にわたりストーカでもしないと、全く同じ会話内容を聞く事は出来ないだろう。


 だから、今、仲間に誘おう。


 そう決断すると訳の分からない恐怖が襲って来る。


 何でだよ。


 仲間に勧誘し、それを断られるのが、そんなに怖いのか。


 仲間への勧誘が失敗になったとしても、最悪、彼女達が救えればいい。


 見殺しになんて、したくないだろう。


 そう自分を奮い立たせ、彼女の前に廻り込んで声を掛ける。


 「俺は冒険者をやっているショウソウ。

  一緒に冒険者をしてくれる仲間を探している。

  仲間になってくれないかな」


 そう言うと睨んでくるチェチーリア。


 ああ。


 ゲームと同じだ。


 もう、家族以外は信用できないって感じになっているんだよね。


 元々は性格の良い明るい娘なのに。


 だから、ゲームだとここからは仲間にする為の会話の内容が変わる。


 「俺が君の願いを叶えたら、俺のモノになってくれ。

  全てを俺に捧げてくれ。

  それで良いか」


 そう言うと、驚いた表情に変わる。


 うん。


 ゲーム通りだ。


 そう思っていると、ゲームではそんな描写無かったのに、お尻に蹴りが入る。


 「パァン」


 「いてっ。痛いよ」


 そう反射的に言ったが、見事な音に対して痛くはない。


 タマーラはキックの天才か。


 ああ。


 体術スキルに教わったのか。


 にしても、見事な才能かも。


 そんな事を思いつつタマーラに視線を向けると「何言っているのよ。初対面の女性に」と怒ってくる。


 「そうだけど、仲間になってくれって言っても全然響いていない様だったから。

  彼女には、そうハッキリ言った方が良いって思ったんだよ」


 そう言うと『へっ』って顔をしてタマーラは彼女の様子を伺っている。


 すると、ゲーム通りにチェチーリアが「家族を助けてください」と口にする。


 ゲームとは違って大粒の涙を流しながら。



 チェチーリアは、16歳の犬人族の女性。


 金髪のショートカットに目が大きい美人。


 ベースとなる犬種は、耳と尻尾の感じだとコリーだろうか。


 スタイルは……。


 ゲームだと痩せているのに出る処が出ているスタイルが良いタイプだった筈なのに、ラーレと同じ様にゲームより痩せすぎ状態なのは、生活に困窮しているからか。


 ゲームでは困窮していた設定でも、スタイルは変わらないからな。


 そのチェチーリアについて行っている俺達3人と2匹。


 「家族を助けるって具体的に何をすればいいの?」と俺が聞くと「病気の治療を」と言われたから。


 「神官に頼んでも、薬屋に頼んでも、治らなくて。もう、どうしようもなくて」とか言っている。


 ホント不親切と言うか、金だけとって治療どころか状況の説明をしない、どうしようもない奴らに助けを求めたみたいだ。


 まあ、実際に確認してみるまでは断言しないけどさ。


 お金に困っているはずなのに、妙に立派な家に辿り着いたが、思わず眉をひそめてしまう。


 ゲームだと家に行って薬とお金を渡すやり取りだけで仲間になったんだけどな。


 そう思いつつ「ここに住んでいるの?」と聞く。


 「そうですけど。……、何か不味いんですか?」とチェチーリアは真剣な表情で聞いてくる。


 「まあ、先ずはそれが原因ぽいかな。

  家族を見るまで断言はしないけど」


 そう言うと「どういう事よ」とタマーラが口を挟んでくる。


 「家の中に漂っている魔力。

  薄いとはいえ瘴気じゃないかな」


 「瘴気って、人に害のある魔力でしょ。なんで、そんなのが」とタマーラは俺に聞いてくるけど。


 「それは、俺には分らないけど。

  推測だと呪いかな。

  聖魔法に聞いたら、直ぐに効果が出る類の呪いじゃなさそうだ。

  とは言っても、聖魔法の状態異常耐性向上と治療魔法の異常無効付与を使ってから、中に入ってみようか」


 そう言って効果を1時間に設定した魔法を全員に付与してから家の中に入ると「あの部屋に母が、あの部屋に弟が、あの部屋に妹が居ます」と言ってくる。


 「スキルに調べてもらうから、見せてもらっていいかな。

  ああ。

  ラーレも聖魔法と治療魔法に。

  タマーラも薬学スキルに確認をお願い」


 そう言って3人を見せてもらう。


 ふう。


 呪いと病気のコンボと言うか、病気を付与する呪いって事らしい。


 しかも、呪いは厄介なタイプ。


 幸い、病気は他人に感染するタイプじゃないそうだけどさ。


 さて、どう説明するか。


 そう思っていると彼女の方から催促された。

 都市の中に瘴気が薄っすらと漂う家が。

 どういうことなのでしょう。


追加点。

 恐怖が襲って来る描写を追加。

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