第97話 不幸自慢
主人公は、タマーラを生産者職でLV10MAX、レベル上限にする事が出来ました。
それで、信頼も多少得たようです。
「そっか。よろしくね。私の事は呼び捨てでいいから」
そうタマーラが言ってきたので「ああ。よろしく、タマーラ」と呼び捨てで返事をしておく。
すると、色々な感情が渦巻いていた感じのタマーラが、気持ちを切り替えた感じで聞いてくる。
「それで、どの職業に就けばいいとか、あるのかな?」
「いや。何が選択できるの?」
「そりゃそうか。
……、戦士、魔法使い、匠だけど」
「匠もあるんだ。
生産系じゃなくて、戦闘系の人かと思ったんだけど」
「そう言えばそうね。
で、貴方から見たら何が良いの?」
「これからもレベリングが続くことを考えると、先ずは魔法使いかな。
攻撃力は高いし、接近しなくても倒せるし、防御の力も、探知の力も得られるし」
「そうだよね。
私もそう思っていた」
「戦士だと、近接戦闘系のスキルは得られるけど、ステータスが生産者と大して違わないから格上の魔物でレベリングするのに役立つかと言うとね、難しいだろうから」
「ええ。魔法使いに転職したわ。
得たスキルは、魔力操作、火魔法、水魔法、土魔法、風魔法、生活魔法、杖技だから、全部えられたのかしら」
ゲームではそうだったと「ああ。その筈だね」と返答しておく。
「後はLV3でレベルが上がるか、LV6で上がるか上がらないか、か」と才能が高いか普通か低いかが分かる基準を言っている。
「まあ、俺が解析鑑定しても良いなら、それで分かるけど、そんな暇があれば魔物を倒した方が良いかな。
ちなみに、四元素魔法中、一つでも才能高いがあれば、あっという間に強くなれるよ」
そう言いつつ思い出すと、彼女は火魔法と風魔法の才能が高だった筈。
なら、本当にあっと言う間だろう。
「とりあえず、LV6になるのに職業経験値が3100だったか。
その辺のスライムを狩っても10~20匹で到達するだろうから、それをしてから一旦町に戻ろう」
そう言って感知した魔物の上に水矢を待機させたり、ポポとチモに魔物の目の前に行ってもらったりで、彼女に魔物の位置を教える事を再開した。
その辺に居るレッサースライム、ビッググラスホッパー、スライムを槍で倒してもらう。
それで魔法使いでLV3になり、ゲーム同様火魔法と風魔法が才能高いと分かった。
「はあ。最初から魔法使いになっていれば」とタマーラは後悔しているが。
「まあ、都市の中では稼げないし、俺とは出会えなかっただろうけどね」
「……、そうなんだけどさ。
火魔法と風魔法が才能高いだなんて」
とタマーラは悔しそうだ。
今までの苦労を返せって感じなんだろう。
そう思いつつ、更に良い方の予想を言っておく。
まあ、予想じゃなくて、ゲームを通じて知っている事なんだけどね。
「となると、火魔法と風魔法スキルのハイスキルである焔魔法も使えそうだ」
「そっか。殺傷力全然違うんだよね」とタマーラは嬉しそう。
「今の処、火槍でも十分だけど、更に強いのと戦う事を考えるとね」
「貴方の四元素魔法の才能は、どうなのよ」とゲームで仲間になった後の様な軽い感じで聞いてくる。
「火は才能が高いで、他は普通」
「私の方が上なのか」と少し誇らしそう。
「単純にそう言い切れないのが面倒なんだけどね。
例えば、魔力操作スキルはどう?」
「あっ。普通だ」
「それでも十分だけど、俺は才能高いなんだよね」
「……、魔力節減、魔素利用と言った消費MPの削減能力だけでなく、威力や射程の最大値を伸ばせるんだっけ?」
「そう。まあ、魔法を覚えるスピードと言う意味だと、才能高いと普通じゃ全然違うから、タマーラの方が上なんだろうね。
それに、魔力操作は関連する職業が多いから、才能普通でもLV10MAXになれるとかもあるし」
「……」
「まあ、俺は魔法戦士系も賢者系も、今の処就けないから、多分タマーラの方が、四元素魔法を含む、攻撃魔法では上になると思うよ」
そう明るい材料を言ったんだけどタマーラは「別に、そんなフォローを求めていたわけじゃないけど」と言って来る。
「ん。何が気になるの?」
「魔法使いの上位の魔導士に就けなかったら、今みたいな話は意味ないでしょ。
貴方は既に魔導士、その複合上位の忍びを極め、上忍なのに」
「あ~。まあ、タマーラは大丈夫だと思うけどね」
「ただの勘でしょ」
そう不安そうに言われたので、ゲームではそんな会話もあったな、と思い出した事を言っておく。
「なんだけどね。
まあ、最悪勘が外れても、俺の女になってくれれば食わせて行こうって思えそうな人に声を掛けたって言えば、多少は安心出来る」
そう言って思い出したのは、恋人になった描写は無かった事か。
でも、それが安心だったんだよな。
あれ。
なんで、安心なんだろう。
そう思っていると、タマーラが少し怒った感じで言ってくる。
「どこが、安心なのよ。
女になれば食べさせてくれるって言ったって、そんなの貴方次第でしょ」
「いや。俺の方は選択済みだから、後はタマーラの気持ち次第って話なんだけど」とゲーム通りの発言をしておく。
そして、その後は現実に即して俺の考えを言っておく。
「それに、別に俺の女にならなくても、パーティの都市での生活の補助をしてもらう仕事だってあるだろうし。
まあ、それは置いておいたとしても、魔法使いになり攻撃魔法に才能高いがあると分かった時点で、他のパーティに入れそうでしょ。
だから、俺の女になる以外の選択肢だって自分で選べると言う意味では安心でしょ」
そうゲームにはなかったフォロー発言をキッチリしておく。
するとゲームでは無かったやり取り続く様で「冒険者仲間としては、最低3級職を基準にしているんだよね」とタマーラが更に質問してくるので、慎重に会話を続ける。
「そうだけど、1級職や2級職でも職業の才能が開花しないか、しばらく様子は見ると思うけど」
「あ~。職業の才能の開花もあるのか」
「俺がそうだったからね。
一気に馬鹿みたいに開花しやがって」
そう怒りを込めて言うと「私達、似ていたんだ」とタマーラは何故か少しホッとした感じの笑いをしながら言ってくる。
「どうかね。俺は無能者だったから」
「私だって、最低の生産者よ」
「でも、戦士や魔法使いに就けるって希望はあったんでしょ」
「そこまでが大変なのよ。と言うか、そう言う経験していないんだ」
「ああ。無能者から転職できる様になった時点で神官、動物使い、魔法使い、生産者と斥候職が選べて、最初に斥候職に就いて感覚強化と感知が才能高いだったから。
おかげで魔物を探す苦労はしなかったもんな。
魔物を狩っている途中の安全確保も、まあ、色々あったけど生きているしね」
「はあ。ノービスから転職できずに苦労したのと、してから苦労したと言う違いか」
「農業すらスキルが無いから出来ないんだから、本当に。
周りからは見下され、無視され、身内や優しい人には哀れまれて」
「そっか。貴方の方が悲惨だったのか」
「その辺は、断言できないかな。
斥候で感知と感覚強化スキルの才能が低いか無いだった場合、どうだったか想像すると、ゾッとするし」
そう想像しながら言うと「……。不幸自慢してもしょうがないか」とタマーラが結論を言ってくれる。
「そうだね。そろそろ魔法を」
そう言った処で補佐さんがこう発言しろと指示して来た。
補佐さんは、何を言ってきたのでしょう。




