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俺に懐いていた日焼けボーイッシュな後輩が、健気でしおらしい義理の妹になってしまった  作者: ゆめいげつ
第三章 たどたどしい義兄の決断

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第39話 「せんぱい、襲いに来たっス……!!」

「鷹臣くん大丈夫ぅ? 顔、すっごい疲れてるよぉ?」

「あはは……ちょっと部活で頑張り過ぎちゃって……」


 夜、リビングで食器を片付け終えた義母さんが心配そうに俺を覗きこむ。

 それもこれも食事を終えた俺が部屋に戻らず、ボーっとテレビを見ていたのが原因だろう。


「頑張るのは良い事だけどぉ、無理は駄目だよぉ。頑張り過ぎるとぉ、私みたいになっちゃうからねぇ?」

「ありがとうございます……」


 目の下にある大きなクマを指差しながら義母さんが優しく笑う。

 連日仕事で大忙しの義母さんと、部活で部長にしごかれながら小夏への想いを爆発させていた俺とではそもそもベクトルが違うとはとてもじゃないが言えない。


 ただただ、母親の優しさが身に染みるのだ。


「……美春さんも、無理はしないでくださいね?」

「大丈夫大丈夫ぅ。小夏と鷹臣くんの為って思うといつもより身体が軽いしぃ、月末は飛鷹さんと……家族みんなで旅行だもん、すごく頑張れるよぉ」


 ふぅ……と、大きな溜息をついて義母さんが対面に座る。

 大きく肩を落として瞳を閉じる様子は、とても疲れている様子だった。


「……小夏と鷹臣くんが幸せならねぇ、お母さんは無敵になれるんだぁ。それは飛鷹さんも同じだからぁ、今は頑張り時なのです。鷹臣くんだってぇ、負けられない勝負ってあるでしょお?」

「…………はい」


 心配が顔に出てしまっていたのか、義母さんは俺を気遣って笑みをこぼす。

 確かに今日も、そして昔も……何度だって負けられない勝負を経験してきた。 

 それこそ俺が小夏に助けられ、惚れてしまった話もそこに関わってくるのである。


 だから、俺は義母さんに何も言えなくなってしまうんだ。


「お母さんとお父さんは正に今がその時なんだよぉ。家族になる為の、ううん、家族になって初めての旅行だもん。楽しまなきゃ、ね?」

「……そうですね。ありがとうございます、美春さん」

「いえいえぇ。そろそろ小夏もお風呂から上がると思うからぁ、鷹臣くんもゆっくり入ってねぇ……あ、覗いちゃ駄目だよぉ?」

「の、覗きませんよっ!?」


 じ~んと胸にその言葉が響いたと思ったら、急に義母さんがぶっこんで来た。

 覗きなんてする筈が無いと言うかむしろ小夏が突撃してくる側なんですが!?


 ……なんて義母さんには、口が裂けても言えなかったんだ。


  ◆


 ――コン、コン。


「……ん? 小夏か? どうした?」


 そんな夕食後のやり取りから、約二時間後ぐらいの事である。

 いつもより長めの入浴を終えた俺が寝る準備をしていると、部屋の扉が控えめにノックされた。

 風呂から上がった時には既に義母さんは寝ているみたいだったし、この時間帯に俺の部屋に来るのはもう小夏しかいない。


 だから消去法で決めつけて俺が扉を開くと、案の定小夏だったんだけど……。


「……せんぱい」

「……こ、小夏?」


 そこには、ユニフォーム姿の小夏がいたんだ。

 もうすぐ日付が変わるのに部活のユニフォームを着てカチューシャを外した、後輩モードの小夏が俺を見上げて――。


「ふしゃーっ!!」

「なっ!?」


 ――抱きつくというか、タックルをされた。

 まるでアメフトかラグビー、いや相撲のように俺の身体が部屋に押し戻されいく。


「襲いに来たっス!!」

「は、はぁっ!?」


 そしてそのまま、俺はベッドに背中から押し倒されてしまったんだ。

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