エピローグ2 動乱の始まり
遅れました。リアルでかなり忙しかったので、急いで書きました。
それと、この物語はここで一応の完結とさせていただきます。
書きたいことは色々あるが、よくよく考えたらそれは別に文章にせず、脳内で先を想像するだけでも良い気がしました。
少ないながらもここまで見てくれた方、今までありがとうございます。
小説を書くことを諦めてはいません。新しいジャンルでまずは中編小説で文章力を上げたあと、また長編に挑もうかと思います
それではエピローグをどうぞ
上位種の殆どが戦線に食い止められていたとはいえ、それはあくまでも『殆ど』でしかなかった
上位種が薄い防衛線にまで届く、それが意味するは都市内での戦闘であり、一般市民の被害でもある
南の防衛線に届いた魔物はリーダー格3、準リーダー格52、それ以下総数六千弱
準リーダー格が部下を引き連れて戦線を広く、満遍なく展開する事によって牽制する。そのスキにリーダー格がそれぞれ一点突破する。群れの殆どを捨て駒にしてリーダー格の進化を目論む魔物達のその戦術はほぼ成功した
大軍で牽制を行う事でリーダー格が防衛線を突破したあと、両翼の戦力を強めて周りからの応援を阻止しながら中央の戦力でそこにある守備軍を殲滅した魔物はそのまま円陣を組んで都市内へ移動し、自ら包囲されていった
だがミドルブルー側は戦力を分けていられるほどの余裕を持たず、またリーダー格と合わせて全部で四箇所も対応しなければならない事によって進軍を止められず、包囲とはいいながなも半径25キロという空間を与えたままであった
それに対して都内でいざを備え、居残っている冒険者たちが出撃。幸いにもミドルブルー南の区画はダンジョン方面であるが故に冒険者が多く住んでおり、参戦拒否した者たちも巻き込まれて闘うほかなく、準リーダー格率いる第四集団はすぐに進軍を食い止められる
直径一キロある円陣が三キロも進み、その後激戦する事によって被害を受け面積はミドルブルー全体の1パーセント弱
居住区画であったことやランクの低い住民区が多い外周であることも相まって実際にはミドルブルー5%もの住民が住むところを失う結果となる
300万以上の者がこんな狭いところに住んでると聞けば現代人でも想像がつかないだろうが、魔法で100層ぐらいのビルをポンポン建てる事ができるファンタジー都市建設ならではの結果だ
貧民窟の住民すら数十平方メートルの家を擁する彼らは住環境だけを見れば現代人も真っ青だ
そしてだからこそ、その広い家を失う事が彼らにとって現代人以上の意味を持つーー勿論、悪い意味で
もう一度言うが、この国では貧民窟の住民すら数十平方メートルの家を擁する
ならそれすら持たない者たちはどうなのだろうか?
宿屋に住むのか?
確かに本来ならそれも出来た
だが資源の殆どがダンジョンから取るこの世界故の特徴として資源不足の時、およそ全ての商品が激しいインフレを起こしてしまう
家があれば自分でダンジョンへ行って食料を取ればいい。だが家がないと食料は得られても住むところは得られないーー何せ宿屋とかも当然値上げするし、何なら家を失った人が多いから需求が直接増えてインフレが他よりも激しいというオマケ付きだ
故に貯金があったとしても意味をなさない、ダンジョンに居るわけでもないのに道上で野営する他ないという惨めな結果が彼らを迎える
そしてすぐに追い打ちのようにやって来るのがゴードン保険商会の破産だ
身を売る者達が奴隷商会の前で溢れかえ、引取拒否されるのは、この襲撃からたった一週間後のことだった
ではリーダー格三匹は?さては忘れたな?
そう疑問に思う事無かれ、なぜならこの三匹は大した損害を与える事なく討たれたからだ
西の魔法学園を目指した一匹は学園の教師達が協力して放った大魔法で瞬殺
南から中央を目指した一匹は冒険者ギルドミドルブルー本部と正面衝突、留守番にボッコボコされる
東西方面から回り込んでコアタワーを目指した一匹はベルダに『実験の邪魔だ』という理由で超兵器の的に
この三匹が出せた損害は進路上の建物87と死者500人ぐらい、影響を受けた者はざっと五千人程度だ、大したものでは……うん、他に比べたら大したものではない
500人の死者数を一言で済ませるだけの被害が他にあった、それが残酷な現実である
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災害が起きた時、人々は自然と捌け口を探すーー外敵と英雄である
不満を外敵へぶつけることによってストレスから逃れる。さすれば絶望を怒りに変換し、エネルギーとなる
希望を英雄から得て、それを中心に未来への構想を行う。自分では出来ない事を他人に、だからこそ自分の出来る事から取り掛かる様になる
外敵を作れないと英雄に八つ当たりし、逆恨みしか湧かない
英雄を持たないと外敵に無力感を感じ、気力を失い堕落する
そして今回、そもそもの話としてミドルブルーの戦力不足こそ、スタンピードに対応出来なかった根本的な原因である
戦が身近にあるこの世界でそれを理解出来ない冒険者たちではない
たとえそれを理解出来ないバカがいたとしても、冒険者のコミュニティーで自然とそれが伝わる
曰く、国がミドルブルーの軍の力を抑えたせいでこうなった
曰く、国が上位の騎士たちを勇者とやらの護衛のために引き抜いたせいでこうなった
曰く、国がミドルブルーよりも勇者を取った
曰く、七年前あんなに大きな犠牲を出して作った勇者が実は同い年の勇者でもない少女に劣っている
曰く……曰く……曰く……
であればその恨みによって定められる『外敵』とは何なのか?事の発端こそエルフではあれど、それでも恨みはより近い者へ向く
例えば一緒懸命魔王を倒し、しかし重症を負った勇者を王が『彼が強すぎた、危険だ』という理由で治療セず、それどころかトドメを刺したとする。勇者が恨むのは自分に重傷を与え、既に亡き魔王だろうか?否、そんな筈もない。勇者は自分を裏切った人間にこそ絶望し、恨み呪う
故にミドルブルーの民が恨みを抱く対象は帝国、自分らの祖国でありながら自分らを守ってくれなかった帝国である
明日は我が身、ミドルブルーの悲劇はそのまま全国範囲の民の国に対する不信感を増やし、中央の力と対抗する巨大勢力、後々【自由派】の雛形となる
そんな対抗勢力の中心となるべく『英雄』として祭り上げられるは二人の少年少女ーールナリーナ・マキナとルーペルト
勇者と対抗する象徴に必要な『若さ』
勇者と対を為す飛び抜けた『才能』
そして勇者の上を征くと表すために要る『実績』
それらを持つ二人は自由派にとって都合のいい人材である
斯くしてルナリーナ・マキナという少女の英雄譚が幕を開ける
争乱の時代はやがてカルデア全土を巻き込む事だろう
だがそれはまた、別の話だ
ルナたちのこの先がどうなるのか、色々な事が起きるでしょう
伏線とかも回収しなかったし、色々ごめんなさい
気になる方はどうぞ、想像してもいいと思います
一応オチは付けたが、もしかしたら後々でまた続きを書く気になるかもです。なので宜しければ感想を~
因みに批判も受け付けます。特に文章のどこが悪いのかとかについてどんどん言ってくださると嬉しいです
とはいえ、ランキングに乗っている空っぽの文章を見るとなんだか文章力とか以前に運とかタイミングとか読者層とかそういう問題な気もしなくもないですがね~私の好きな作品は半分ぐらい、総合評価1000帯だし、ね~
それでは、また次の作品で逢える事を祈り、バイバイ




