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「お前も災難な奴だな。でも逆にラッキーかもな。死なずに済んだんだからよ!」
「……――」
話を掛けられているにも拘らず、不機嫌な顔で歩いているルイス。
その理由は、何故だかティナーまでの移動は、徒歩で行く。と言われたことにあった。
車で行けば日付が変わる前に辿り着けるのだが……日がオレンジに染まり出した頃に出発したものだから、確実にそれも無理となった。
リッドグリードの根城から徒歩でティナーへ行くとなると、ウィズ地区を迂回して行かなければならない。
そうなると余計に時間がかかるのだ。
「君達が一緒なんだから、ウィズ地区を突き抜ければ良い話なんじゃないかい?」
根城から正規の道へ出るために獣道を歩いているルイスが愚痴を零す。
ティナーまでの移動が〝徒歩〟ということに納得できずにいたのが一番の理由だったが、他にもこんな道と言えない道を歩かされることも気に食わなかったし、殺しの専門家が二人も付いていて態々、ウィズ地区を迂回して時間を無駄にすることも気に食わなかった。
「しょうがないだろ。俺だってそう出来るものなら、そうしたいさ。だが、ボスがお前の安全が第一だ。と言うんだから逆らう訳にはいかない――」
「随分と優しい心遣いだ。痛み入るよ」
自分の命を最優先に考えてくれたことに感謝の意を述べるが、それは、誰が聞いても本心ではない。と思わせるような、ふてぶてしい言い方だった。
「お前――性格悪いな。素直に〝感謝〟だけ、しておけばいいんだよ」
「ボスは、本当に優しいお方ですから心配なさらないで下さい」
話せば話す程、組織の人間よりもひん曲がったルイスの性格が浮き彫りになって行った。
それが良いことなのか悪いことなのかは、置いておいて――
「よし。此処から北上しながら西に向かう。途中、一度宿をとるからな」
獣道を抜け正規の道までは、出て来られた。
しかし、これからが本筋だというのに足場の悪い道を歩いた所為で結構、息が切れた。と言ってもグランデが生え切った草等を切り開き歩きやすくしてくれていたのだが……
道無き道を出た先には、一面何もない草原。
これでは、逃げたくても方角は分からないし、何処に居ても姿が丸見えで行き場もない。
大人しく一緒にティナーまでの道を行くしかなかった。
その間、敵と慣れ合う気はなかったが、これからの長い道のり一言も言葉を交わさないで歩くのも苦痛すぎた。
ずっと口をヘの字にしていたルイスは、横を歩いていたミラに対して、
「君達は、何故。組織に居るんだい?」
苦痛すぎるからと思って話し掛けたのはいいが、その内容は一番口にしては、いけないものだったにも関わらずルイスは、初めに口にした。




