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1000回振られても君が好き  作者: 千子


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中学卒業と新しい恋

「好きです!」

「ごめんなさい」

このやりとりは、俺が中学3年間ずっと行われていた。

ずっと好きで、ずっと告白して、ずっと振られ続けていた。

俺はそれでも諦めきれずに告白し続けた。

最初の頃はキモい、ストーカーとか他の人に言われ続けていたけれど、気付けば賭けの対象にされて応援されるまでになっていた。

彼女には迷惑だっただろう。

だから俺は、中学までの間と決めて告白を続けた。

彼女はこんな俺の告白に毎回律儀に付き合ってくれて、律儀に断る。

彼女はいつも困ったように眉を下げて、それでも俺の目をちゃんと見てくれる。

逃げずに断るその誠実さが、俺にはたまらなく好きだった。

真面目なところも美点だと感じる。

運動はあまり得意ではない。

そんなところも可愛い。

彼女の好きなところをあげるとキリがないので、好きという感情だけを告げていた。

中学3年間。俺の青春は全部、彼女への告白に費やされた。

部活も、受験も、ほとんど覚えてない。

でも、それでも後悔はない。

中学の卒業式、最後の告白。

「好きです!」

「ごめんなさい」

ぺこりと頭を下げられて、上げられた顔はどこかいつもと違っていた。

俺はそれに違和感を抱きつつも、彼女にお礼を言った。

「三年間、俺の告白に付き合ってくれてありがとう」

「うん……」

そうして、俺の中学は終わった。

「お、最後の告白終わったのか」

「榊」

「最後まで勝たせ続けてくれてありがとな!」

「お前も賭けの対象にしてたのかよ」

こうして、軽口を叩ける友人がいるからなんとか折れずにこれた。

好きだった。

過去形で、もういいじゃないか。


春になり、高校一年生。

俺は彼女とは違う女の子と付き合っていた。

彼女の影を引きずっている自覚があったけれど、俺が彼女にずっと告白していて気になっていたそうで、最後の告白の後に告白された。

見知らぬ女子だし、最初は断っていたけれど、高校進学までの間ほとんど毎日会って遊んでいたら、彼女に対してとは違う好きと言う感情が芽生えた。

恋というにはまだ幼い。

それを正直に言うとこの子、新井里子は涙を流しながら喜んだ。

今まで断られ続けた告白を、こんな曖昧な形で返して泣くほど喜ばれるなんて俺には想像がつかなくて、俺は新井を守りたいという気持ちになっていった。

「こんな俺だけど、付き合ってくれるか?」

「もちろんじゃん。ずっと待ってた」

泣きながら笑う新井が印象的で、俺、飯田慎太郎は初めての彼女を抱き締めた。

柔らかくて、どこかいい匂いがして、彼女とは触れ合えなかったから分からない感触。

やがて泣き止んだ新井は、ニカッと笑って言った。

「これからよろしくね!」

「もちろん!よろしく!」

そう言って、初めて手を繋いで一緒に帰った。

新井の家まで送る途中、ずっとこの心臓の音が聞こえないように願っていた。

だって恥ずかしいじゃないか。

でも新井は違った。

「ね、私さ、今すごくドキドキしている」

「……俺も」

素直な新井に引き摺られて俺も素直になってしまう。

恋ってこんなものなんだろうか。

二人で赤くなっているのは夕焼けのせいじゃない。

新井の家までつくと、名残惜し気に手が離された。

「じゃあ、明日高校でね」

「ああ」

そう。俺達は同じ高校に通うことになっている。

俺は彼女を追って、新井は俺を追って、三人同じ高校に入学が決まっている。

新井の目が不安に揺れるのを見逃さなかった。

俺がまた、彼女に恋をするんじゃないかって思っているんだろう。

「俺の恋人は新井だけだから」

そう言うと、新井はまた満面の笑みで抱きついてきた。

頭を撫でると顔を上げた潤んだ瞳の新井と目が合った。

吸い寄せられるようにキスをして、俺はなんだ、ファーストキスってレモン味じゃないのかなんて、見当違いな事を思っていた。


それでもやっぱり、あの子の笑顔が頭から離れない。

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