英雄の帰還
ディストールが目を凝らすと崩れ落ちる神人の体を抱き留める神那の姿が見えた。
「お父さん、やっと取り戻せた・・・!」
血の気が引いたようにディストールの顔が青ざめる。
「我は希望神人の体から弾き出されたのか・・・?」
「そう、その通り」
はっ、とその声にディストールが目をやると刀を携え歩み寄ってくる真朝の姿が見えた。
「き、希望真朝・・・」
「抜魂撃は他者の肉体に取り憑いた悪しき魂を肉体から分離させ更に可視化する希望家の正当な血筋の者だけが使える技、お父さんの肉体を使っていたのにその情報は得ていなかったようね」
「わ、我の姿が見えている・・・だと?く、くはは!だが我は魂だけの存在、見えていたとてどうする事もできまい!」
ディストールは狼狽しながらも真朝を威圧する。
「・・・そう思う?でもあるんだよね希望一刀流には、魂を斬る技が」
「!!!」
「やっと終わらせられるよ、10年前にできなかったあなたの討伐」
「や、やめろ!やめろぉぉぉ!!!」
「希望一刀流・魂魄葬送!!!」
真朝の一撃が魂だけのディストールを斬り裂く。
「がぁぁぁぁ!!!そ、そんな・・・わ、我がこんな所でぇぇぇぇ!!!」
斬り裂かれたディストールは怨嗟の声をあげながら消滅した。
その様子を遠目で観察するバイアスが呟いた。
「ふむ、ディストールが希望神人の体で起こしたいくつかの奇行、魂はやはり肉体に引っ張られるか、なかなか面白い実験結果であった楽しませてもらったぞ、さらばだディストール」
邪悪な笑みを浮かべバイアスは姿を消す。
神那に抱えられ目を閉じたままの神人、仲間達が神那のまわりに集まってくる。
「目を覚ますの・・・?」
刹那が不安そうに問う。
「神人くんはきっと目を覚ますよ、私達の神人くんだもん!」
愛梨が皆を鼓舞する。
「・・・」
神梨は遠くで見守る。
「お父さん・・・」
神那は神人の顔を優しく撫でる。
すると神人の指が僅かに動きやがて神人の目が開いていく。
目を開いた神人は神那を見て言葉を紡ぐ。
「君は・・・誰だ・・・?」
神那は神人に抱き付き涙を流しながら言葉を紡ぐ。
「初めましてお父さん、私神那だよ!お父さんの娘の神那だよ!」
そしてその場にいる全員が安堵し歓声をあげるのだった。




