生ゴミボカシの確認 その一
調理場の鍋の監視は、カルパナの家の使用人に頼んで、家で仕込んでいる生ゴミボカシの状態を見に行く事にするゴパルとカルパナ、サビーナであった。
レカはスマホを片手に、プラプラと手を振って見送った。
「いってら~。鍋の番は、まかせろ~」
調理場の外にある小屋には、新たにコンクリートを流して床が設けられていた。その床の上に大きなバケツが七個、鎮座してある。
ゴパルがバケツのフタを開けて、重しと中フタを取り、発酵中の生ゴミを見た。手でつかんで臭いもかいでいたが、満足そうな笑みを浮かべてカルパナに顔を向けた。
「発酵は順調に進んでいますね。水分も良い具合に抜けています」
確かに、周囲には米ぬかが発酵して生じる、ぬか床のような臭いが漂っている。これは、米ぬか嫌気ボカシによる臭いだろう。
ほっとしているカルパナに、ゴパルがさらに奥の方へ手を突っ込んで、底の方の生ゴミを取り出した。
これもビショビショに濡れてはおらず、ちょうど米ぬか嫌気ボカシ並みの水分量だ。発酵による変色が始まっていて、本当に生ゴミが、ぬか漬けのような状態になっている。
カルパナがスマホでメモアプリを呼び出して、いつ開始したのかを確認した。
「水を入れた袋を重しにするという案は、無しにしました。袋が破けると大変ですので。ええと、ジェシカさんが来た時ですから……西洋の太陽暦で九月の第二週ですね」
今は十月初週なので、おおよそ三週間が経過した事になる。当初は、この生ゴミバケツが一杯になってから、三から四週間ほど熟成させる計画であった。
バケツは、一週間ごとのローテーションを組んでいるので、このバケツは九月の三週目から熟成を開始したという事になる。熟成完了までは、予定ではあと一週間から二週間の時間がかかる。
ゴパルが手を洗ってから、腕組みをして少し考えている。
「底の方の細かい生ゴミは、十分に発酵しています。そうですね、ちょっと試験をしてみましょうか、カルパナさん」




