サラダ用の簡単なドレッシング作り
サビーナがボウルに、すりおろしたタマネギ一個分と、白ワイン酢を百ミリリットル、マスタードとレモン汁をそれぞれ大さじ二杯を入れて混ぜ始めた。
混ぜていく途中で、塩コショウも加えていく。
「塩をワイン酢で溶かすという感じかな。白ワイン酢は、多めにしても構わないわよ。この白ワイン酢は、ゴパル君が指導しているバクタプール酒造のヤツ。ワインの醸造失敗が多いから、砂糖を足して酢にしてるのよね、ゴパル君」
ぐうの音も出せないゴパルであった。
バクタプール酒造では、ゴパルの微生物学研究室で純粋培養した種菌を使っているのだが、時々失敗していた。
ブドウの品質がまだ安定していないせいもあるのだが、売り物にならないワインは酢にしている。今回サビーナが使っているのは白ワインの失敗作だ。
ニヤニヤしているサビーナが、カルパナのスマホにカメラ目線を送った。
「視聴者のみんなは、腐れワインじゃなくて、ちゃんとした酢を買いなさいね。ワイン専用酵母は、まだまだ改善の余地アリよね。白ワイン酢が無ければ、リンゴ酢でも良いわよ」
サビーナがボウルに、オリーブ油を少しずつ垂らしながら混ぜ合わせていく。オイル量は四百ミリリットルほどだ。
オイルの量は、好みに応じて変化させると良い。一般的には、酢とオイルの比率は、1対3~5になる。
オイルもオリーブ油の他に、ヘーゼルナッツ油やピーナッツ油、それにグレープシード油等がよく使われる。
酢についても、赤ワイン酢やシェリー酒酢、バルサミコ酢等を工夫してみると楽しめるだろう。
「少しずつ加えて混ぜ合わせる事。でないと、油が分離して失敗するわよ。で、最後に味見して、物足りなかったら塩コショウを振って完成。簡単でしょ」
早速、サラダを大きめのボウルに入れて、それにドレッシングを加えた。木べらを使って、しっかりと混ぜ、サラダにドレッシングを絡ませていく。それを小皿に三等分した。
「さ、食べた食べた」
言われるままに、サラダをスプーンとフォークで口へ運ぶゴパル。その顔が意外そうな表情に変わった。
「ん? 口当たりが、さっきのサラダとは別ですね」
サビーナがサラダをパクパク食べながら、当然という表情でうなずいた。
「このサラダは、ドレッシングを絡めて食べるように作ったからね。油膜が強いと、ドレッシングが弾かれて、上手く絡まないのよ。水気も多少あった方が、食べやすいしね」
カルパナも食べながら同意している。
「うん、そうだねサビちゃん。私もこっちの方が好きかな」
サビーナが、あっという間に食べ終えた。すぐに小皿を流し台で洗い始める。
「このドレッシングは、冷蔵庫で一ヶ月くらい持つわよ。応用としては、溶き卵を少しずつ加えて混ぜ合わせたり、トマトピュレを加えたり、アンチョビなんかを加えたりもできるかな。後は好みで、香辛料や塩を加えなさい」
洗い終えた小皿を、食器乾燥棚に入れた。
「それじゃ次は、お待ちかねのシイタケ入りの鶏挽肉ソースのパスタね」
カルパナも食べ終えて、流し台で洗い始めた。
「待ってました」
ゴパルも食べ終えて、皿洗いの順番待ちに加わった。




