表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
427/1133

リンゴの雑談

 その後は、インド産のボケボケなリンゴへの文句の話題になり、国産のリンゴの話題に移った。

 カルパナが書き送ってくるチャットによると、サビーナがリンゴの品質について怒っているという事だった。

 ゴパルが話題のインド産リンゴをかじりながら、チャットに書き込む。リンゴの大きさは、ゴパルの手の平の四分の一ほどしかないので、片手で楽に持って食べる事ができる。

「今、まさに、そのダメなリンゴを食べているところですよ、と」


 インド産のリンゴは、主に北西部にあるインドの州で栽培されている。陸路で輸送されてネパールへ入っているので、どうしても時間がかかってしまうのだ。

 なお、空路で輸送すると、今度はコストが高くなって売れなくなる。高級マンゴですら、陸路を使っている現状だ。

 そのため、インドで栽培されているリンゴは、輸送に耐えるように品種改良が施されていた。

 具体的には、皮が固くなり、果実が小さくなる改良だ。その一方で果皮は赤い。

 しかし、そこまでしても、ポカラや首都へ到着する頃には、賞味期限を過ぎている。結局、ボケボケになった歯応えに劣化している結末だ。近年では熱波被害が重なっているので、収穫量も減少傾向らしい。


 すぐにカルパナから返事が来た。それを読んで、クスリと笑うゴパルである。

「ははは。『インド産なんか食べるのが悪いのよ』か。サビーナさんらしい回答だなあ。あ、そういえば、ポカラは国産リンゴの産地に近かったはず。ちょっと聞いてみようかな」


 今度は、カルパナ本人から返事が来た。それを読んで、頭をかくゴパルだ。

「へえ……未熟果が多いのか。あ、そういえば、首都で売っている国産リンゴが、固くて酸っぱいと、かあさんがグチをこぼしていたっけ」


 ポカラへ出荷されるリンゴの産地は、アンナプルナ連峰の北側に集中している。チベット系住民が住んでいる地域で、ジョムソンやツクチェ、それにマナンやチャーメといった町や集落が有名だ。

 昔は、車道が開通していなかったので、リンゴがポカラへ届く機会は、それほどなかった。

 今は、土道ではあるが車道が整備されているので、こうしてリンゴがポカラまで出荷されるようになっている。首都にも出荷されている。

 しかし、土道なのでデコボコが多く、熟したリンゴでは衝撃に耐えきれずに傷がついてしまう。

 ジョムソンやツクチェからであれば、ポカラまで車で一日の距離だが、マナンやチャーメとなると、二日間の陸送行程になる。

 そのため、まだ青い未熟な段階で収穫し、それをポカラや首都へ届けている状況だ。

 特に今は、ダサイン大祭の果物需要が大きいので、熟す前に出荷する農家が多い。早生わせ品種であれば、西暦太陽暦の九月中旬から出荷できるのだが、今年は大雨のせいで遅れていた。


 サビーナとカルパナからの、グチめいたチャットの書き込み文章を読みながら、ゴパルがインド産リンゴを全部食べた。もちろん、芯は残しているが。

「まあ、確かに、酸っぱくて固いリンゴだとね……いくら国産でも文句を言いたくなるよね。このインド産は酸っぱくないけれど、甘くもないし」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ