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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
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質問その一

 サビーナがディーパク助手の話を聞きながら、おもむろに質問してきた。視線がいったん厨房で働いているシェフと助手達に向けられたが、すぐにディーパク助手に戻す。

「話は変わるけれど、電動シャープナーで、良いメーカーの物を知ってるかしら。包丁に傷が付きやすいし、刃がノコギリみたいにギザギザになってしまうのよね。欧米のメーカーで良い物ってありそうかしら」

 いきなり話が変わったなあ、と思うゴパルであったが、特にコメントはしなかった。

 ディーパク助手も、表情を特に変えずに、耐火レンガの積み上げ作業を続けながら答えてくれた。

「そうですねえ……プロ仕様の物は、水冷式の人工ダイヤモンド砥石ですね。ステンレス製やセラミック製、それに普通の砥石では研げない硬質合金製の包丁でしたら、それを使うと便利だと思います」

 口調が少し砕けた感じになった。

「ですが、私個人の感想では、砥石を使って地味に研いだ方が、良く切れると思いますよ」


 シャープナーというのは、機械式で刃物を研ぐ道具を指す。洋包丁には両刃が多いので、回転する二つの人工砥石の間に包丁を差し込んで研ぐ、この方法が欧米では一般的だ。電動式の方が回転数を一定にできるので、研ぎ上りが良好になる。

 ただ、サビーナが指摘したように、刃に傷が付きやすいという欠点がある。

 サビーナが小さくため息をついて、ディーパク助手の答えに礼を述べた。

「そう、ありがとう。やっぱり、シャープナーじゃ無理か。面倒だけど、砥石を使わせるしかないかなあ」

 カルパナもサビーナに同意した。

「それが良いと思う。鍛冶屋さんに研ぎに出していた私の鎌も、電動シャープナーを使ったみたいでね。結局、私が研ぎ直す事になっちゃったのよ、サビちゃん」


 サビーナが苦笑した。

「バフン階級も、今じゃ鍛冶屋の仕事をする時代かあ……まあ、鍛冶屋の連中には、その内、きっちりと文句を言わないといけないわね」

 法制上廃止されたカーストでは、鍛冶屋は不可触民カーストに分類される。その昔は、鍛冶屋に触れたバフン階級の者は、すぐに行水をして身を清めなくてはならなかった。現在では、その必要は無い。

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