表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
284/1133

カトマンズ空港

 バクタプール大学には、その後、備品の登録変更手続きや、ラメシュが担当しているキノコ種菌の手配等で、数日間滞在するゴパルであった。

 クシュ教授は、確かに、自身で手続きをしておくと言ったはずだったのだが。

 とにかくも、それらが済んで、再びポカラへ向かう事になった。今は国内便の出発ロビー内で、搭乗案内を待ちながら、スマホで電話をしている。

 やはり現在も節電が続いていて、電光掲示板や搭乗手続き関連の機器は、全て電源が落とされたままだった。

 ゴパルが手にしている航空チケットも、手作業で搭乗手続きを終えている。搭乗券の席番号も、ボールペンの手書きで殴り書きされていた。その数字を眺める。

「外国人には判読できそうにもない、数字と記号だよね」

 英数字では無く、ネパール数字で書かれている。ネパール語では数字も独自の文字を使い、特にネパール数字の一と、英数字の九の文字とがよく似ていたりする。

 ゴパルがスマホのテレビ電話機能を使って話しているのは、珍しくサビーナだった。ちょうど休憩時間だったらしい。


 ゴパルがチケットをサビーナに見せて、手書きの数字の話をすると、彼女がハハハと笑った。

「あたしも経験したわよ、ソレ。二十四時間営業のインドネパール料理屋でも、その問題があるのよね。百ルピーの料金を九百ルピーだと勘違いして、欧米人や中国人の観光客が大騒ぎするのよ。そんな高い料理なんか、食えるかってね」

 続いて、ゴパルが首都の市場で買ったトマトの話をした。さらに、トマトソースを自作して、まずまず好評だった事も伝える。

「やはり、雨続きで赤く熟したトマトが少なかったですね。半キロしか買えませんでした」

 サビーナが背伸びをしてから答えた。彼女が居るのは調理場のようで、背後では数名の調理助手達が、忙しく行き来し始めている。

 そろそろ、休憩時間も終了のようだ。

「首都は標高が高いものね。でも、雨期明けからは、反対に甘みと酸味が強くなるわよ。トマトソースを作る時にも影響するから、砂糖を加えたりして風味を調節しなさい」

 そして、後ろを見て、フランス語で何か指示を下した。すぐにゴパルに振り返って、軽くウインクする。

「じゃ、そろそろ切るわね。後でまたポカラで会いましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ