キノコ談義
スバシュとカルナが、一触即発の雰囲気になってきたので、ゴパルとカルパナが慌てて間に入って、両者をなだめた。ゴパルがスバシュの肩に手を回して引き離し、カルパナもカルナの肩に手をかけて話しかける。
「カルナさんの所では、キノコ栽培はしているのですか?」
吊り上がった細目から放たれる鋭い光を、スバシュに向けるのを止めたカルナが、カルパナに顔を向けて、穏やかに笑った。
「いいえ。セヌワは寒いですから、どこの農家も失敗していますよ。ジヌーもやっぱり冷えますし。そもそも、稲ワラが無いですから、キノコ栽培するのが難しいですね。でも、外国人観光客向けの需要は大きいと思うんですよね……」
カルナが、じっとキノコの簡易ハウスを見つめた。
その様子を見つめていたカルパナが、ゴパルに視線を向ける。ゴパルは、まだスバシュの文句を聞き続けているのだが、察したようだ。頭をかきながら、固い表情でうなずく。
「そうですね。微生物学研究室にキノコに詳しい博士課程が居ますので、彼に聞いてみます。涼しい所でも栽培できるキノコがあるはずですよ」
しかし、カルナは半信半疑の表情である。大きくため息をついて、大げさな身振りで肩をすくめた。どうやら、ゴパルへの評価はマイナスに近いようだ。
「そうね、まあ、期待しないで待っているわね。キノコだったら、森の中に野生のヤツがたくさん生えているし。探すのが手間だけど」
今度は、カルパナがピクリと反応した。
「野生キノコですか。そういえば、料理長のサビーナさんが欲しがっていましたよ。会員制のレストランで出すので、高値で買い取ってくれるかもしれません」
カルナが、興味深そうにカルパナを見つめた。
「どんな野生キノコが欲しいの? 色々あるわよ。レクまで登って、キャンプしながら採集するキノコもあるし」




