お昼の時間
歩いてパメのカルパナ種苗店へ戻り、バイクに二人乗りでレイクサイドへ向かう事にした、カルパナとゴパルであった。
スバシュも誘ったのだが、彼は弁当持参という事であった。銀色のスチール製の弁当箱を、ゴパルとカルパナに見せてくれた。
これは、日本の弁当箱とは構造が異なり、基本的に三段重ねの塔型である。一番下にダル、その上に白ご飯、一番上にオカズという組み合わせだ。
なお、カルパナが隠者や修験者に毎日届けている弁当とは、中身がかなり異なっている。肉や卵、香辛料やニンニクと玉ネギが、ふんだんに使われている現代風だ。
カルパナが少し残念そうに微笑んだ。
「仕方がありませんね。奥様のサムザナさんの料理は、美味しいですからね。たまには、食事をしながら話を伺いたかったのですが。では、何かお土産を買ってきますね」
まず最初に、カルパナとゴパルは、インドネパール料理屋へ向かったのだが、この時間は本当に満席だった。立ち食いをしている客すら居る。生分解性プラスチック製のランチボックスに料理を詰めて、テイクアウトをする客もかなり多い。
今日のヒンズー教徒向けのランチバッフェでは、鶏の腿肉や手羽先の香辛料煮込みが、日替わりメニューとして出されていた。他には鯉の香辛料煮込みや、各種野菜の香辛料炒めと煮込みがズラリと並んでいる。
後部荷台にゴパルを乗せたまま、百二十五CCのバイクを一時停車し、店の様子を見つめていたカルパナであったが、あきらめたようだ。肩が少し落ちている。
「隼人ウリの煮込みがあったのですが、席が空いていませんね。残念です。天気が良ければ、テイクアウトして公園で食べても良かったのですが……」
ゴパルが後部荷台で鼻をクンクンさせながら、名残惜しそうにうなずいた。二人とも、フルフェイス型では無いヘルメットを被っているので、顔の表情がよく分かる。
「仕方がありませんね。では、ピザ屋に行きましょうか」




