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アンナプルナ小鳩  作者: あかあかや
肥料も色々あるよね編
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ネワール族

 ネワール族には仏教徒とヒンズー教徒が居て、独自の言語と文化を持つ。生き神様のクマリや、山車だしを用いた首都の祭祀も、多くはネワール文化に基づくものだ。

 水牛の肉もモモ等にして食べる。首都で、ネパール料理を食べる場合、米の蒸留酒を選ぶ事ができるような店は、まず間違いなくネワール料理である。肉料理が充実していて、一般のネパール料理より、遥かに美味しい。

 ただ、酒の飲み過ぎには注意する事だ。米の蒸留酒のアルコール度数は、四十度以上に達する。


 余談だが、バフン階級が食べる本当のネパール料理が、実は最も不味い。食事のタブーが多すぎるためだ。そのため、北インド料理をアレンジした料理に、席巻されてしまっているのだが。

 日本で食べるネパール料理も、実は、この改造北インド料理である場合が圧倒的に多い。唐辛子を使った料理が、大体ソレである。タンドール窯を使った料理も、イスラム系統の北インド料理だ。ココナツミルクも使わない。


 さて、ネワール族が信仰する仏教は、ネワール仏教と呼ばれ、日本の大乗仏教諸派や、タイ等の小乗仏教、チベット仏教とも異なる。

 サンスクリット語を駆使する密教系の大乗仏教で、ヒンズー教の影響も強く受けている。ネワールという単語もネパール語で、ネワール語では、ネワーである。


 ヒンズー教のようなカースト制度も、厳格に守られている。グバジュと呼ばれる僧侶になれるのは、最上位カーストである、バジュラチャラ姓の氏族だけである。

 そのために、シュレスタ姓であるレカの家系では、僧侶になる事は不可能だ。しかも、シュレスタ姓は、どちらかといえばヒンズー教系の氏族という、複雑さがあったりする。

 ネワール族版のヒンズー教司祭パンディットになれるのも、最上位カーストのジャ、バッタ、ラズ・ウパダヤの三氏族だけである。


 司祭や僧侶カーストの下には、金銀細工師カーストのバレ階級、ヒンズー教の商人や役人カーストのシュレスタ階級(シュレスタ姓とは別)、仏教の商人や職人カーストのウレ階級、そして一番下に、農民カーストのジャプ階級がある。

 その下に、昔は不可触民カースト群があった。しかし現在では、法律上では廃止されている。

 ちなみに、このカーストは首都のものであって、地方のネワール族社会では異なっている。


 ネワール仏教は、文殊菩薩や鬼子母神等を信仰する大乗仏教なのだが、世界で唯一、サンスクリット語の原典の般若経や、法華経等を伝承している。他の宗派では、漢訳やチベット語訳、日本語訳の経典である。

 密教系なので、結界の中で護摩焚ごまたきを行い、その多くを、他人に見せてはいけない決まりがある。教義に関しても、秘儀に属する内容が多い。従って、ここでは書かない。


 しかし、赤土に、牛糞と聖水である雌牛の尿等を練り合わせた泥を使って、地面に結界を描く所は、ヒンズー教の祈祷方法と共通する。

 さらに、仏教儀式にヒンズー教の司祭を招いたり、ヒンズー教の寺院に詣でたりする点や、その逆も日常的に行われている。

 なので、密教系なのだが、結構緩い。僧侶も飲酒、肉食、妻帯に、髪を伸ばす事すらも自由だ。ちなみに、日本でいう七五三のような、土着宗教の系統の行事もある。

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