表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
96/114

終章 ーUntil the...ー Last Part

ラルクはセルシウスに向かって突進して行って飛び上がると一回転して剣を振り下ろす

それに対してセルシウスも剣を振る

だが、その時ラルクは気づいた

セルシウスの体から光が昇り彼の体が消え始めていることを

お互いの剣が火花と共にぶつかり合うとラルクはセルシウスの剣を一気に押し切り一閃する

ラルクの着地と同時にセルシウスは崩れ落ちた

「俺の負け…だな……」

既にセルシウスの体は遠巻きから見ても分かる程薄くなり消えかかっていた

「あんた…ッ……強かったな…!」

ラルクも息を切らしながら限界を迎えて膝をつく

「フッ…俺もまだまだということか……褒めてやろう…だが、忘れるな…力を持つ者には……必ず大きな…責任が……あ…る………………」

セルシウスは眠りに落ちていくように言うと彼の体は淡い光となって天へと昇っていった

「…勝ったのか?俺は…」

「勝ったんですよラルク、グレンさんの仇をとったんですよ」

シルヴィアに言われるが全く実感が湧いてこない

「そうか…勝ったのか……」

ラルクはもう一度針金で筋肉を縛り付けられたような体で立ち上がり

剣を顔の前にかざしてセルシウスのいた場所に向かって礼をする

最初はセルシウスに対して、父を殺されたという恨みの感情が強かった

しかし、いざ戦うとなると純粋に戦って勝ちたいという思いも芽生えていたというのも事実であり

ラルク自身もその感情を否定しなかった

「いやぁ、しっかしお前さんもしぶといなぁっ!!」

ライカが後ろからラルクの肩をバシッと叩く

しかし、ラルクはまだ自分が生きているとは信じられないと思いながらセレン達を振り返ると

アルト、メリッサ、セレンから順番に平手打ちを貰った

「ってぇ…何すんだよ?!」

その頬に走る痛みにラルクは自分が確かに今ここに生きているのだと確信した

「本当に死んじゃったと思ったでしょ!?もおっ!!」

「死んだら元も子もないだろう!!」

「ラルクが本当に死んでしまっと思ってとても怖かったです…」

セレンはまだ涙を瞳に浮かべていた

「…悪りぃな…でも、ありがとな、みんな…!シルヴィアもさ」

シルヴィアを見るが彼はその紅の瞳をラルクから逸らした

「…もう、ラルクだけの命ではないんですから……」

ラルクはシルヴィアの頭をくしゃっと撫でた

「そんじゃ、順番逆になっちまったけど行くか!」

残るはアークの城門を開門させるのみ

それで全てがきっと終わるはずだ…


ラルクの応急手当を済ませてアルトの案内で城の地下へと向かう

地下には魔術陣が描かれた鉄の扉がありセレンが手を触れることによって奥に進めることが出来た

奥には薄暗く広い空間があった

「これが例の魔術陣…セレン、僕が手伝いますから指示通りに魔術陣の封印を解いていって下さい

シルヴィアに言われたセレンはグレイドから受けとった魔導書を開いて作業に取り掛かる

ラルクは作業が終わるのを待ちながら警戒も兼ねて部屋を見回していると石造りの壁に刻まれた文字を見つけた

「ん?なんだこれ……


剣をとる戦人よ聞け

争いの中に平和などない

其が生み出すは怒り、悲しみ、そして屍の山だ

何に寄り添い生きていくべきかを考え

自らの正義を疑え

自らに問わぬ者に真の正義は与えられん

我らは剣に依らない平和を願い、戦う


……誰かの落書きか?」

「なぁんかいいもんでもあったか…って、何だこれ?」

ライカがラルクの後ろから壁に刻まれた文字を覗き込む

「さぁな…ただ、これを書いた奴も平和のために戦ってたってことじゃないか?」

ラルクは壁の前から離れていった

「自らの正義を疑え…か」

ライカもふーんと言いながら頭の後ろで手を組んで壁から離れていった

「シルヴィア、終わりそうか?」

アルトがシルヴィアの肩越しに覗き込むと既に魔術陣が発動を始めている


「魔術陣が完全に発動を始めるまで少し時間が掛かります。それが終われば…」

アークの城門が開かれシリウス達がアークの市民を救出出来るということだ

「そうは…させん……お前達は、ここで死ぬのだあぁ…!!」

背後でおどろおどろしい声が聞こえ背中をなぞるように寒気がはしる

「ウソ?!まだ生きてたの…?!」

メリッサの驚愕の視線の先には先の戦いでラルクとセルシウスの一騎討ちの邪魔をし

その報復を受けて死んだと思われたフィルスが血みどろの姿で立っていた

だが、その眼は紅く充血し呼吸は荒く乱れ服はボロボロに破けて眼の焦点は定まっていない

「きっとセルシウスが仕留め損ねたんでしょう」

シルヴィアが睨む先にはフィルスが先程セレンがラルクを蘇生させるために使用した禁書をその手に持っていた

「ごれがあるがぎり…私は…死なん……ヒャハハハハハッ!!」

フィルスが高笑いを始めると彼の背後から焔のようなうごめく影が彼を覆う

「意識が混濁している…禁書の代償か?!」

アルトの言うとおりフィルスの表情はこの世の者とは思えないものになっている

「ヒャヒャヒャヒャッ!!しねぇっ!!」

フィルスはその彼を覆う影から波動を発してラルク達を吹き飛ばす

「おい流石にアレはヤベェぞ!?」

ライカが痛みに顔を歪めながら叫んだ

「これでは近づくのも無理そうだな…」

アルトはセレンを助け起こす

「何か方法ないの?!」

メリッサは望みをシルヴィアに託すように見る

「方法…なら、賭けになりますがあります。セレン、その王族の魔導書の魔術を無効化する術を詠唱して下さい!」

「あんなバケモン相手にそんなの効くのか?!」

ラルクはライカと共にフィルスの注意を自分達に向けながら言う

「私、攻撃系の魔術は使えませんよ?!」

セレンの言う通り相手は禁書の代償によって暴走している

禁書という未知の力によって強大化したフィルスに効果を望むのは難しい

「ですが、もし先程の様にその腕輪が力を発揮してくれるのなら可能かもしれません」

シルヴィアはフィルスに様々な属性の魔術を打ち込みながら言う

「シルヴィアの魔術が効いてねぇっ…?!」

ライカが二、三歩後ずさる

確かにシルヴィアの物凄い迫力の魔術は直撃し爆発するような音を立てるが全てあの影に護られてフィルスの体には傷ひとつ着いていない

「確かに攻撃系魔術を使えないセレン1人が魔術を使っても効きません。だから、僕が全員の力を集める回路を形成するのでみんな集まって下さい」

シルヴィアが皆に促すとラルク達はセレンを囲うようにして集まった

「みんな、力を貸して下さい…!」

セレンが詠唱を始めるとシルヴィアは全員とセレンをひとつに繋ぐ回路を形成し始める

だが、発動までには少し時間がかかるためにフィルスはどんどんと距離を縮めてくる

「どうしよう来ちゃうよ!?」

メリッサは焦りを見せる

「大丈夫だメリッサ、セレンとシルヴィアに任せようぜ」

ライカは落ち着いた様子でメリッサの肩に手を置く

「これで終わりにしよう…この戦いを!」

アルトもセレンの肩に手を置いて勇気を与える

「また創ってけばいい、俺達で平和を…」

ラルクもセレンとシルヴィアの肩に優しく手を置く

既にラルク達の周りは輝きを放つ魔術陣の円形で囲まれそれぞれが光の線で繋がっている

「終わりだぁ…!!しねえええぇぇ…!!」

ラルク達の前にフィルスが迫り背後の影が一斉に襲い掛かってくる

「セレン!今です!!」

シルヴィアが叫ぶとラルク達を囲む魔術陣からさらに眩い光が溢れ出す

「くらえぇぇっ!!!」

全員が声を揃えると魔術陣から光が爆発しフィルスの影を飲み込んでいく

「ぐああぁぁぁっっ!!!!」

フィルスが悶えてあとずさったその時フィルスを覆い、守っていた影が消えた

「終わりだあぁっ…!!!」

ラルクは光が薄れていく魔術陣の中から一気に飛び出し渾身の力でフィルスに剣を振り下ろす

「ぐはあぁっ!?」

フィルスは今度こそ倒れた

「わ…わたしの…やぼゔが……こんな…げ…みんどもに………」

ラルク達が悶えながら這いつくばるフィルスを見下ろしていると

地の底から影が現れ彼を深淵へと飲み込んでいった

これもきっと禁書の、彼の罪の報いなのだろう

「終わったん…ですね……」

セレンが静かにそう言ってラルク達を見ると

ラルク達はそれに深く頷いた


おかえり、セレン


その後、無事に魔術陣が発動し

アークに入った連合軍は混乱する謀反軍を相手に市民を救出し

指揮官を失った謀反軍は敗走する一部の兵を除いて降伏した


こうして、ルシア王国に巻き起こった謀反は終焉を迎えたのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ