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ーUntil the Daybreakー  作者: Lauro
序章 ーin the Duskー
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第14章 ーthe Decisionー

謀反軍の後を追って4日後

ノモス山を下山したルシア=ガルシア連合軍は王都アークに向かう謀反軍を追撃し何度か小競り合いを繰り返したが

いずれも決定打には至らず遂に謀反軍をアークに入ることを許してしまい籠城までさせてしまった

「なぁシリウスよぉ、やっぱ強行突破しか手はねぇんじゃねぇか?」

ゲルダが苛立った様子で卓上の地図を挟んだシリウスを見る

「落ち着けゲルダ、確かに俺達ガルシア軍と黒獅子の牙の力なら難しいことではない。しかし…」

オルドネスはゲルダをなだめながら言葉を濁す

「申しわけありませんガルシア王。先程のフィルス公からの声明によりますと、謀反軍はアーク城壁内の市民を人質にとっていると…」

シリウスが苦渋の表情を浮かべる

「下手に動けば罪のない血を流すことになる…」

グレイドもシリウスと同じような表情を浮かべる

「それもわかなくはねぇがこのままだとただ時間を無駄に使うだけじゃねぇか?」

ゲルダの言うことは最もだが

だからといって何も考えずに動いてしまえばこの国を救うという本来の目的からズレてしまう

「相手側の要求は何ですか?こういう時には付き物でしょう?」

シルヴィアが淡々とシリウスに質問する

「まずひとつ目は私達が降伏すること。そして、もうひとつはセレン様の王位継承権をフィルス公に譲渡し、セレン様を国外追放すること。もし要求を飲まなければアークの市民を皆殺しにすると…」

シリウスの眼が鋭くなる

自分の主君を排しようとする上に一般市民の命を奪おうとするのだから当然の反応だろう

「ッ…!外道が…!!」

ゲルダが舌を打つ

もちろんガルシア人というのもこういった卑劣なやり口や背徳行為には全力で嫌悪を主張する

「何か他に手立てはないでしょうか…?」

クラウディアが言うとその場にいた全員が黙り込む

「俺はセルシウスと決着をつけたい。アークにいるんだろ?」

沈黙を破りラルクはそうはっきり言い放った

「ラルク!?今はそんなことを言っていられる状況じゃないだろう!」

横にいたアルトが制止しようとするが

「しょうがねぇな〜そんじゃ俺もついてってやるよ」

ライカがニッと笑いラルクの肩に手を回す

「それなら当然僕も一緒に」

シルヴィアもあたかも当然かのように加わる

「だったら、ラルク達がケガした時はアタシが必要だよねっ!」

メリッサも元気良く手を挙げる

「おいお前達…」

アルトはラルク達とグレイド達の間で視線を行ったり来たりさせる

「私も…行きます!」

セレンも力強く言って一歩前に進み出る

「セレンっ!?」

「セレン様っ?!」

グレイドを始めとする臣下達がうろたえる

「セレン様いけません!王位継承者であるセレン様の身にもしものことがあったら…!?」

当然アルトもその例外でなく

セレンを必死に諭そうとするがセレンの眼差しは変わらない

「私、ラルク達と旅をして色んなものを見て来ました。確かに全てがいいものばかりじゃありませんでした…こんな現実見たくなかったって何度もおもいました…でも、もしもみんなに合わなかったら真実を知らないまま生きていました!自分の眼で見て考えないと本当のことはわからないんですね…だから、直接フィルス公と会ってこの国の真実と向き合いたいんです!」

そうはっきりと言い放ったセレンの眼差しはラルクが彼女と出会ってまだ見たことがない決意に満ちた眼だった

「セレン様…しばらくお眼にかからない内に随分とご立派になられましたね…」

エルシアは娘の成長を実感する母親のような眼でセレンを満足そうに見る

「グレイド様、彼らをフィルス公の元へ送るならアレがよろしいのではないでしょうか?」

「アレか…しかしな……」

グレイドは口籠った

「アレ…とは何ですかお父様?」

「そうか、セレンはまだ知らなかったな…実は王都アークの王宮には王族と宰相しか知らない隠し通路があるのだ」

グレイドは躊躇うように話し出す

「僕達がセレンと共にそこを行くとなると都合が悪いわけですね?」

シルヴィアが言うとグレイドは小さく頷いた

「それに加えて、その通路には王都の防衛のためにアークの城壁全てを自由に操れる魔術陣があるのだ…」

グレイドは言い終えるとしばらく低い声で唸り考えた後再び口を開いた

「いや…!今は迷うべき時ではないな…君達の可能性を信じよう…!信託の剣諸君並びに王女親衛隊隊長アルト、ガルシア王国軍特別師団長ライカ殿、同軍衛生師団所属メリッサ殿、以上5名をルシア王女の護衛及びルシア王城に潜入し謀反の首謀者フィルス公爵より王都奪還と生還を命じる!」

「信託の名の下に…」

ラルクとシルヴィアがグレイドに首を垂れ

アルト、ライカ、メリッサは敬礼をする

「シリウス、クラウディア、君達には城門が開くと同時に市民の安全の確保を優先してもらいたい」

「仰せのままに…」

2人は静かに首を垂れた

「オルドネス、ゲルダ…協力してくれるか?」

グレイドはガルシアの2人を振り返る

「何を今さら…」

「当然だろ?」

2人もグレイドに笑顔を向けた


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