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第二十二章:亀裂の入った家

最初の離反者たちが夜明けに現れた。旅塵にまみれた鎧をまとい、旗は裂け、顔には険しい影。二十騎の列の先頭には、マルカス・ブライトウォーター卿が馬上で進んでいた。エレナの報告で名高い高貴騎士団の指揮官、その人である。


「ロデリック卿は喜ばないでしょうね」エレナが城壁の上から静かに呟く。


「ロデリック卿など知るか!」マルカス卿が声を張り上げる。「俺たちは本当の戦いに加わりに来た!」


ゴンドは集落の中央で彼らを迎えた。ソレクとシルヴィアナを従え、その姿はロデリック卿の使者たちとは対照的だった。新たに来た騎士たちは、まるで地獄をくぐり抜けてきたような有様で、鎧は凹み、血の跡が残る。


「何があった?」ゴンドが問う。


マルカス卿は重々しく馬を降りた。疲労の極みに追い詰められた男の動き。拳には新しい傷が十字に走り、左のこめかみから顎にかけて治りかけの切り傷──かつて兄弟と呼んだ者たちとの戦いの痕だ。「内戦だ。高貴騎士団は分裂した。半分は中から体制を変えられると信じている。だが、もう半分は……」打ちひしがれた仲間たちを示す。「俺たちはもう、たくさんだ」


「何を見た?」


「真実だ──三日前、ウェストマーチ郊外の農園を襲った。畑で子供たちを見つけた。八つそこそこの子もいた。解放を求めると、監督官はロデリック卿自ら署名した契約書を突きつけてきた」


その言葉は殴打のようにゴンドを打った。肋骨の奥で熱が燃え、溶けた金属のような衝動が胸に広がる。指先が痺れ、空気が一瞬陽炎のように揺らめいた。


「ロデリックは両方に顔を出していた」マルカス卿が続ける。「名誉や改革を語りながら、家は児童奴隷で利益を得ていた。問い詰めた時……」額の包帯に触れる。「あとは、察してくれ」


「それで出てきたのか?」


「追放された。騎士団の裏切り者、王冠の敵として烙印を押された」マルカス卿の笑いは荒々しい。「だが、やつらの言う通りだ。俺たちは裏切り者だ──燃やすべき体制へのな」


ソレクが前に出て、職業的な目で騎士たちを見回す。「お前たちのような者は、あとどれくらいいる?」


「三十人ほど、三つの王国に散っている。残りは古い道を信じる者か、恐れて動けぬ者だ」マルカス卿はゴンドを見据える。「俺たちがしてきたことは、もう戻せない。だが、せめて償いたい」


「俺たちに何を求める?」


「死ぬ価値のある何かのために戦う機会を」


◇  ◇  ◇


高貴騎士団の離反者たちを迎え入れるのは、ゴンドの想像以上に骨が折れた。避難者や元奴隷と違い、彼らは正義や神聖な使命に対する根深い信念を抱えたままやってきたのだ。その思い込みは、慎重に解きほぐす必要があった。


「納得できません」最初の評議会でガレット・ブラックウッド卿が声を上げる。「我々は奴隷制を終わらせ、虐げられた者に正義をもたらすためにここに来た。トゥリンの槌は神の怒りのごとく、奴隷商人どもに振り下ろされるべきです」その言葉に、何人かは彼の瞳に銀の光が閃いた気がし、遠雷のような音を幻聴した者もいた。彼の信念は熱すぎるほどだった。「なぜ慈悲や癒しの話になるのです?」


輪の中で静かに座っていたシムが、穏やかで揺るぎない声を発した。「慈悲なき正義は復讐となり、復讐はさらなる苦しみしか生みません」


「司祭は賢いことを言うな」ソレクが唸る。戦士の本能は明らかに槌の道を好んでいるが、「だが両方に役割がある。鎖を断つトゥリンの力、壊れたものを癒すアラニィの手」


ガレット卿は眉をひそめる。「アラニィ?だが彼女の神殿は廃墟だ。司祭たちも散り散りか死んでいる。トゥリンの騎士団が支配するのは、彼の力こそが世界に必要だからだろう」


「本当にそうでしょうか?」ゴンドが静かに返す。「周りを見てください、ガレット卿。何が見えます?」


騎士の視線が集いを見渡す。ドワーフの鍛冶師と肩を並べて働く元奴隷、人間の戦略家と知恵を分かち合うエルフの顧問、かつて束縛しか知らなかった子供たちが今は読み書きや戦いを学んでいる。


「協力が……見えます」ガレット卿は渋々認めた。


「癒しが見えるのです」ゴンドが訂正する。「慈悲が正義を和らげ、力が支配ではなく思いやりに仕える時、何が起こるかを見ているのです」


新たな来訪者たちの間でも、正義への渇望が単なる報復を超えた目的に仕えると気づく者もいれば、神の意志や正義の戦いについて教え込まれたすべてに疑問を抱き始める者もいた。集落のあちこちで、同じような対話が繰り返されていた。


◇  ◇  ◇


夕刻の評議会は、かつてないほど多くの派閥代表で埋め尽くされていた。ドワーフの戦争司祭がエルフの魔法使いの隣に座り、改革派の貴族が元奴隷と戦略を語り合い、アラニィの生き残り司祭たちは嵐の夜の蝋燭のように寄り添っている。


「北からの報告は厄介です」マエラが急送文書を広げる。「新たに三つの神殿が我々の大義を宣言しましたが、期待したような壮麗なトゥリンの聖域ではありません。どれもアラニィの忘れられた祠で、廃墟や辺境の村に隠れている。司祭たちは隠れ家から出てきましたが、数は少なく、怯えています」


「何を恐れている?」マルカス卿が問う。


「見つかることを」シムが静かに答える。「二百年もの間、アラニィの信仰は……抑圧されてきました。完全に禁じられたわけではないが、疎外され、忘れられ、衰えさせられた。トゥリンの神殿が栄華を極める間、彼女の神殿は廃墟となったのです」


シルヴィアナは手元の木目を指でなぞり、やがて顔を上げると、目の端に涙が光った──エルフの静けさに初めて生じたひび割れ。「エルフは、かつて彼女の光がどの神にも劣らず輝いていた時代を覚えています。癒しと喜びが、力や正義と同じほど尊ばれていた頃を」


「何が変わった?」新参の騎士が尋ねる。


「ゴルラッチだ」ソレクが吐き捨てる。「我々が戦ってきた腐敗は、今に始まったものじゃない。何世紀もかけて育ち、力は残酷さに、正義は抑圧に変わった。希望で人を導くより、恐怖で支配する方が手っ取り早いからな」


ゴンドの内で、馴染み深い神聖な力が動き出す──だが今回は、より深く、より重い。彼は集まった顔ぶれを見渡し、空気が帯電し、嵐の前触れのような緊張が満ちていくのを感じた。


「我々が戦っているのは、奴隷商人だけじゃない」ゴンドの声が議場に響く。「文明そのものの魂のためだ。失われた均衡を取り戻すために」


話すほどに、ゴンドの確信は高まり、内なる何かが膨らんでいく。癒しの力が全身を満たし、声には新たな響きが宿る。言葉は聴く者の心の奥底にまで届いた。


「あまりに長く、力は独り歩き、思いやりに和らげられることもなく。正義は復讐へ、秩序は抑圧へと変わった。慈悲の光は、かろうじて揺らめくほどに細った」


最初はわずかな変化──声の深み、言葉の重み。だが次の瞬間、異変が起こる。ゴンドの目が見開かれ、まるで自分の口から出る言葉を初めて聞くかのように、別の声が彼を通して語り始めた。


「我が子らよ」その声はゴンドの喉を借りて響くが、背後には古く、限りなく慈悲深い神の気配があった。「どれほど長く闇をさまよい、力だけが道を照らすと信じてきたのか?」


シルヴィアナは息を呑み、エルフの感覚で神聖な存在を即座に察知した。手が胸に飛び、何かが破裂しそうな鼓動を抑える。シムは膝をつき、涙が刻まれた顔を伝い、両手を床に広げて深く平伏した。ドワーフたちは一斉に身を乗り出し、髭が逆立ち、何人かは本能的に喉元の聖印に手を伸ばす。歴戦の騎士たちも心の奥で何かが揺らぎ、マルカス卿の傷だらけの手はテーブルの端を握りしめて震えた。元奴隷たちは公然と泣き始め、その恩寵に顔が変わった。


「我は見捨ててはおらぬ」アラニィの声がゴンドを通して響く。「たとえ神殿が廃墟に沈み、司祭が影に隠れ、世界が癒しと喜びを忘れても──我は常に在る。すべての慈悲、すべての思いやり、癒しを選ぶその瞬間に──我はそこにおる」


神聖な光がゴンドを包み、額の色あせた烙印は、内なる輝きで燃える二つの銀の輪へと変わる。


「均衡は回復されねばならぬ。トゥリンの力は必要なり──抑圧の鎖を断つ槌、無実を守る剣。だが慈悲なき力は専制となり、思いやりなき正義は残酷となる。世界は長き苦しみの果てに、この真理を学んだのじゃ」


マルカス卿は涙を隠さず、圧倒的な神聖の愛と悲しみの前で誇りが崩れた。


「立て、我が忠実なる者たちよ」アラニィの声が優しく命じる。「失われしものを取り戻し、壊れしものを再び築け。我が栄光のためでなく、この傷ついた世界の癒しのために。慈悲が正義を和らげ、思いやりが力を導き、恐怖しか知らぬ心に喜びを戻せ」


存在は薄れつつも、声は柔らかく深く響き続けた。「これからの道は困難なり、我が子らよ。闇に巣食う者どもに立ち向かうだろう。だが汝らは独りではない。解放されたすべての魂、癒されたすべての傷、絶望の中に灯る希望──そこに我は共にある」


やがて神聖な気配が退き、ゴンドはわずかによろめきながら自分自身に戻った。議場には静かな嗚咽と、畏敬の息遣いだけが残る。


「本当に……起こったのか?」ガレット卿が呟く。


「アラニィが語られた」シムが涙声で答えた。「長い沈黙の後、ついに……」


ゴンドは周囲の変わった顔ぶれを見渡し、今起きたことの重みを感じていた。神聖な力はまだ体内に残響していたが、次に口を開いた時は、彼自身の声だった。


「今、分かったはずだ」静かに言う。「これは征服や正義のためだけじゃない。回復のためだ。失われた均衡を取り戻すための戦いだ」


◇  ◇  ◇


続く沈黙の中、ゴンドの胸にはこれまでにないほど明確な目的意識が宿っていた。女神の言葉が彼を通して流れ、その響きが皆の使命の本質を照らし出していた。


「シム」まだ膝をついたままの優しい司祭に、ゴンドは静かに声をかけた。「立て、友よ。アラニィはお前に託すことがある」


シムはゆっくりと立ち上がり、涙に濡れた目を輝かせた。「何をすればよいのでしょう?」


「彼女の復活を導いてくれ」ゴンドは簡潔に言う。「力や強制ではなく、模範によってだ。我々が土地を解放し、人々を束縛から救うとき、アラニィの崇拝が再び息を吹き返す場を築いてほしい。廃墟となった神殿を再建し、新たな司祭を育ててくれ。ただし忘れるな──我々は希望を示すだけだ。信仰を強いることはしない」


「私には…そのような大役は重すぎます」シムは戸惑いを隠せない。


「誰もがふさわしいわけじゃない」ゴンドはわずかに微笑む。「だが、ふさわしさより意志が大事だ。やるか?」


シムは背筋を伸ばし、初めて指導者の面持ちを見せた。「お仕えします」


シルヴィアナが静かに席を立ち、古の知恵を湛えた瞳が柔らかく輝いた。「もし許されるなら」その声は議場に澄んで響く。「エルフは忘れ去られた多くのことを覚えております。古き儀式、聖なる歌、物質を超えた癒しの術。アラニィの復活のため、私の知識をお役立てください」


「人間の司祭を助けるのか?」マルカス卿が驚きを隠さず尋ねる。


「世界を癒すためです」シルヴィアナは静かに答えた。「神聖な真理は種族の壁を越えます。アラニィの光が再び輝くなら、集めうるすべての知恵が必要となりましょう」


ゴンドは、すべての断片が一つに収まる感覚を覚えた。「ならば道は見えた。三つの軍は進むが、勝利だけが目的ではない。アラニィの神殿が再び立つ土地を取り戻し、ゴルラッチの腐敗が残した傷を癒し、正義と慈悲の均衡を取り戻すために戦う」


「奴隷都市は?」エレナが問う。「現実的な問題は?」


「もちろん重要だ」ゴンドはうなずく。「だが今や理由が明確になった。閉じる奴隷市場、焼き払う競売場、断ち切る鎖──それは解放であり、浄化でもある。長きにわたる精神の毒を土地から祓うのだ」


ソレクはウォーハンマーを掲げ、表情は戦士らしい厳しさの中に思慮深さを滲ませた。「鉄の盟約は二百年、トゥリンの真の教えを守ってきた。力は征服でなく守護のためにこそある。我らの槌は鎖を砕くが、お前たちの癒しが壊れたものを繕うだろう」


「古き道に忠実な高貴騎士団は?」マルカス卿が尋ねる。


「彼らは選ぶしかない」ゴンドは静かに答えた。「仕えてきた腐敗に留まるか、来たる復活を受け入れるか。何人かはお前のように真実を見る。他の者は…」肩をすくめる。「トゥリンの正義がいずれ裁くだろう」


◇  ◇  ◇


その後の数日は、嵐のような準備に明け暮れた。しかし今や、すべての行動に新たな意味が宿っていた。仮設の神殿では、シムとシルヴィアナが並び、古の儀式で武器を聖別する。祝福の油を塗られた剣は淡い銀光を帯び、攻城兵器さえも井戸の聖水で清められた。地図は戦術だけでなく、再建すべき神殿の廃墟を探すためにも広げられる。伝令は同盟軍を駆け巡り、今や神聖な使命の言葉を運んだ。


集落の変化は目を見張るものだった。正義を求めて来た高貴騎士団の離反者たちは、今や復活と癒しを語る改宗者の熱に包まれていた。自由のために戦った元奴隷たちも、自分たちがより大きなもの──希望そのものの帰還──の一部であると知った。


「新しい宗教の誕生を見ている気分だな」ペルが、シムが人間もドワーフもエルフも混じった集団を夕べの祈りに導く様子を眺めて呟く。「まあ、実際そうなんだろうが」


「新しいのではない。再生だ」ゴンドが訂正する。「アラニィの崇拝は王国よりも古い。無から何かを作るのではなく、決して絶えなかったものを育てているだけだ」


「で、お前はどうなんだ?」ペルが尋ねる。「預言者ってのはどんな気分だ?」


ゴンドはしばし沈黙し、多様な人々が集う場を見渡した。「怖いさ」素直に認める。


「今や大陸全体の精神的な重荷を背負ってる?」


「そんなところだ」ゴンドの微笑みには苦味が混じる。「だが、一人で背負ってるわけじゃない」


実際、重荷は分かち合われていた。シムは新たな役割に身を投じ、シルヴィアナと共に夜遅くまで蝋燭の灯りで古文書を写し、見出した目的に肩を張った。彼の手は羊皮紙の上を丁寧に動き、書くのが苦手な者には一文字ずつ根気よく教えた。時にシルヴィアナが古語を声に出し、シムは目を閉じて耳を傾け、書よりも記憶に頼った──彼の信仰は常に心の中にあった。エルフの伝承守は貴重だった。彼女の記憶には人間が忘れた歌や儀式が息づいていた。


軍の準備も続く。エレナはエルフ軍と連携し、奴隷貿易を断つだけでなく、神殿再建の地を確保する攻撃を計画した。ソレクは鉄の盟約の仲間と協力し、要塞への攻撃が破壊だけでなく癒しと再生の余地を残すよう配慮した。


マエラの情報網も新たな意味を持った。彼女の連絡員は軍事情報だけでなく、アラニィの信仰を密かに守る集団や、再生の約束に動かされる潜在的な同盟者を探し出していた。


◇  ◇  ◇


作戦前、最後の評議会は集落最大のホールで開かれた。今や同盟の全派閥が顔を揃え、会場は人で溢れている。だが、かつての緊張や重苦しさは消え、どこか喜びに近い空気が漂っていた。


「北の軍、準備万端です」エルフ部隊を率いるリラレイ隊長が報告する。「五百の戦士、魔法使いと斥候が支援します。ソーンウッドの補給路を断ち、星光の祠の廃墟も確保するつもりです。我ら伝承守は、その再建が叶うと信じております」


「鉄の盟約も抜かりはない」ソレクが力強く宣言した。「中央都市へ二千の槌を揃えた。どんな壁も打ち砕く覚悟だ。だが壁を壊すだけじゃない──倒した後は、奴隷檻の跡に神殿を、競売場の跡に癒しの場を築く」


「沿岸の攻撃は?」エレナが問う。


ゴンドが立ち上がる。神聖な使命の重みが、マントのように肩にのしかかる。「千五百の戦士、そして新たな同盟者たち。我々は三つの都市──ソルトメア、ブラックウォーター、ポート・ソローを連続して急襲する。だが首を刎ねるだけじゃない。土地そのものを浄める」


壁に掛けられた大地図の前に進み、印を指し示す。「どの都市にもアラニィの神殿の廃墟がある。奴隷市場や計算所の下に埋もれている。そこを奪い返し、貪欲の記念碑を壊し、癒しの聖域を建て直す」


「危険は計り知れません」マエラが警告する。「どれか一つでも攻撃が失敗すれば、戦全体が瓦解します」


「だが、何もしない危険の方が大きい」ゴンドが応じる。「我々が手をこまねく間にも、ゴルラッチの影響で魂が腐っていく。遅れれば遅れるほど、毒は深く広がる」


ホールを見渡す。あらゆる種族、階級、背景の顔が並ぶ。今や彼らは、ただの闘争ではなく、傷ついた世界を癒すという聖なる目的で結ばれていた。


「これが我々の時だ」ゴンドは続ける。アラニィの顕現以来、内に芽生えた新たな権威が声に宿る。「三つの軍、三つの目標、ただ一つの聖なる使命──慈悲を忘れた世界に均衡を取り戻す」


「その後は?」マルカス卿が問う。「戦が終わったら、何が残る?」


ゴンドは集まった顔ぶれを見渡し、戦士や民だけでなく、前例のない何か──力が思いやりに仕え、正義が慈悲で和らげられる社会の礎を見ていた。


「後は、我々が築く」簡潔に言う。「国だけじゃない。新しい生き方を。アラニィの神殿がトゥリンのホールの隣に立ち、癒しが力と同じ価値を持つ。強き者が弱きを守るのは義務ではなく、選び取った誇りとなる」


「美しい夢だな」誰かが叫ぶ。「だが本当に大規模に機能するのか?」


「周りを見てくれ」ゴンドが応じる。「一年余り前、この集落は影も形もなかった。ほとんどの者は他人か敵か、あるいは奴隷だった。今や我々は家族だ。血や法より強いもの──自分たちより大きな何かに仕える意志で結ばれている」


ホールは歓声に包まれる。だがそれは、かつての戦の雄叫びとは違う。喜び、希望、戦う価値のある大義、そして生きる価値のある未来を見出した者たちの声だった。


その熱気に包まれながら、ゴンドは内に再び神聖な気配を感じる。アラニィの圧倒的な顕現ではなく、静かな承認と祝福の温もり。


◇  ◇  ◇


その夜、集落が聖戦の準備に包まれる中、ゴンドは最後にもう一度、民の間を歩いた。明日、多くが戦場へ向かい、戻らぬ者もいるだろう。だが今宵は、静かな決意と共に結ばれた絆だけがそこにあった。


攻城兵器の最終調整に余念のないグリムジョーの作業場で足を止める。巨躯のドワーフはランプの灯りに金歯を光らせ、手を止めて顔を上げた。


「明日の覚悟はできてるか、若造?」


「こんなことに、誰が本当に備えられるものか」


「そうだな。神聖な使命ってのは、誰も本当の意味で準備できやしない。必要な時に、ただ起こるだけだ」


ゴンドはうなずき、ドワーフの熟練の手さばきを見つめた。「後悔はないか?昔の人生を捨てたこと」


グリムジョーの笑いは遠雷のように響く。「昔の俺は、鎖につながれた奴隷のために武器を作る王の下で働いてた。だが今作ってるのは──」奴隷都市の壁を打ち砕く兵器を指差す。「これは解放のための道具だ。抑圧のためじゃない」


ゴンドが巡回を続けると、どこでも同じ思いが見て取れた。復活に生きがいを見出した元奴隷。大きなものへの奉仕で誇りを得た元貴族。人の政治でなく神意に仕えることで信仰を取り戻した司祭たち。


古き秩序の家は確かに割れていた。腐敗にしがみつく者と、再生を選ぶ者。その裂け目から、新たなものが芽吹いていた──国家だけでなく、文明の在り方そのものの新しい形が。


明日は最大の試練となる。三つの軍は、数でも武器でも勝る敵に挑む。可能性は薄く、危険は計り知れない。


だがゴンドが集落を見下ろすとき──作業場、訓練場、評議会の間、治癒所、そしてシムが人間もドワーフもエルフも集めて祈りを捧げる小さな祠──彼の胸に疑いはなかった。


彼らは、もう準備ができていた。


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