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永遠ではない時間

空を彩る美しい花火を見ながら

シッキムはアスランに話しにくい話を

するべきかしないべきか…悩んでいた。


シッキムとの旅を終えて黒の森に帰るとき、きっとアスランはいくつかの新しいことを知っているだろう。


星の読み方や、火の起こし方

風の呼び方や、いくつかの地域の挨拶の言葉

翼の使い方や、上昇気流に乗って鳥とともに山を超える方法

いくつかの森の精霊と交渉するための合言葉や、海の奥底にある水の精霊の館への道順

行く先ざきで、シッキムはアスランをその土地の精霊に会わせるつもりだ。

人に見える動物と、人には見えない幻獣も教えなくては。


人として生きることを離れるときによすがとなるものを、与えたかった。

今、アスランが大切に思う人間たちは、たった百年後にはもういない。

人間は瞬く間にその一生を駆け抜けてしまうのだ。

また新たに、親しくなっても、またその人間たちは100年後にはいなくなってしまう。 

何一つ変わらない、自分を残して。



「ねぇ。じーじ」


「うん?」

 

気がつけば、アスランがシッキムを見上げていた。


「おうちに帰りたい。」


「さみしく、なっちゃった?」


「ううん。

寂しくはないんだけど、すかちゃんが心配なの。」


「すかちゃん…スカーレットが?」


「すかちゃんはお友達だから、アスラが助けてあげないといけないの。」


シッキムは、そうだ、と思った。

この子にはまだ、おうちがあるのだ。

助けたいと思う友がいるのだ。


「帰ろうか。」


シッキムは空を見上げた。

いつの間にか、空は静かになり

それでも満天の星が輝いていた。
















 

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