イチャイチャするのが仕事です。
『むかしむかしあるところに、機織り職人と牛飼いがいた。
二人はもともとは勤勉な人間だったのに、結婚した途端一日中いちゃいちゃして仕事をしなくなった。
んで、神様の怒りを買って、一年に一度しか会えなくなった。
りあじゅうばくはつしろ。
はい、ホットサンド3種盛りあがったよー。』
クードは台に皿を置くと、カイラにウィンクした。
駐留軍ボーイズが皿を持っていくと、カイラはため息をついた。
休憩に出たレイリークが戻ってこないのだ。
おおかたオリバーといちゃついているに違いなかった。
カイラはぐっとかかとをあげて背伸びした。
『久しぶりにきいたわね。
そのフレーズ。
でもいいの。
オリバー様はここに人柱として居るのが仕事、
レイリークはいざというときにオリバー様を始末するのが仕事。
オリバー様の側に居るのが仕事でいいのよ。』
カイラの発言にクードもため息をついた。
『そうだったな。』
『まあ』
カイラは難しい顔で続けた。
『今はオリバー様がどうにかなったら、リクが正気でいるとは思えないのよね。
あの人、ちょっと思い詰める方だから。』
『そのときのために、カイラちゃんがここにいるんだろう。
いざというときには、俺はカイラちゃんの味方するよ?』
『ムリムリムリ。
たしかに、私がここでは三番手だけど、
そもそも、力に差がありすぎるのよ。
オリバー様の魔力ばっかり注目されるけど、リクだって充分人間離れしてるんだから。』
『まあつまり、誰から見てもお似合いの二人だったわけだ。』
『ほんとに。
上の人たちは、いざとなれば、オリバー様とレイリークが潰し合えばいいと思っていたんだろうけど。』
『愛しあっちまったからなぁ…』
二人はもう一度深くため息をついた。
『ほんと、想定外だわよ。
……こうなったら、末長くお幸せに暮らしていただくしかないわ。』
『世界のために。』
ここまで読んでくださってありがとうございます。
もう少しオリバーに付き合ってもよいと思われましたら、『オリバーと風の精霊』もご覧ください。




