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ディアン新人勇者と会う

「理事長、状況を!」


「ディアン=フォーループ!?」


理事長の前には勇者テレーズが。やっぱり来てたか


「……二日ぶりだね?」


「ん、一昨日ぶり。そこ、どいてくれない?」


テレーズは剣を構えて首を少し横に傾ける。ちょっと可愛いじゃないか!


「ディアン=フォーループ。ここは任せて、教員を集めている場所に向かうが良いわ。そこに生徒も纏めておる」


避難してるのか……試合があったからそこにほとんどの生徒がいると思われる。ちっ、取り敢えずツールドさんの所に転移()ぶか


「理事長、死なないでくださいね。テレーズ手加減よろしく!」


「任せておけ。お主ははよう!」


「ん、ディアンまたね」


斬り合いを始めた二人を最後に俺の視界は切り替わる


「ツールドさん!」


「ディアン殿!?マーリナ殿がヤバそうなんだが!?」


えっ、あぁ!乗り物酔いみたいになってる!?


「ゴメンなマーリナ!」


「い、いえ。ちょっと慣れてないので……」


あぁ、顔真っ青だよ!ほんとゴメン!でも急がないといけなかったからさ


「ツールドさん、状況を簡単に」


「あ、あぁ。勇者と名乗る四人が攻めてきた。目的は私達学園生だ。未来の戦力を削るとかなんとか」


未来の戦力を今削るんじゃねぇよ!


「勇者は今どこに」


「取り敢えずここには男一人しかいない。女二人と男一人は学園の別の場所を回っているみたいだ」


分散してるなら今が叩くチャンスだな


「マーリナ。俺は別の勇者を潰してくる。ここの勇者は任せてもいいか?体調が戻らなくて無理そうなら隠れてて。俺が戻ってきたら止めるから」


まだ顔色が優れないマーリナをツールドさんに託しながら俺はそう言う


「お、お任せ下さい……仕留めておきます」


マーリナがそう言うなら帰る頃には終わってるだろう。なら俺は残り三人を止めて帰ってくればいいだけだ


「じゃ、行くわ」


「ご武運を」「い、行ってらっしゃい!」


探知魔法で、人族っぽい気配を探って転移していく。空飛べたら楽なのかな?






見っけたぁぁあ!!!


四回目でそれっぽいシルエットを発見。男の勇者か


「アン?なんだテメェ」


うわ、こんな奴も勇者なのか。見た目ヤンキーだぞ


金髪にピアス。服はなんか金属アクセがジャラジャラついてる


「野郎のガキ一匹か。ま、さっさと殺して女のガキ見っけて犯して殺すか」


マジでこいつ勇者かよ。ま、こんだけアレなら罪悪感は無い。さっさと別の勇者探そ。勇者っぽい気配はもう分かった


「てわけで、死ねェ!」


「テメェが死ねや!」


踏み込んで右拳を俺に突き出す。当たるわけねぇだろ!


スレスレで躱してカウンターで頬を殴る。ついでに頭を掴んで膝蹴り。ちっ、子供の体じゃなきゃもすこしダメ入ってたんだがな


「ってぇなァ!」


腕を振り回して俺を振り払おうとしたので俺は顔面を蹴って距離を取る


「このガキィ、チョーシのんじゃねェよ!」


剣を抜いて切りかかってくる。遅いんだよ!


「抜刀術:界断!」


木刀だが、問題なく切れる!


打ち合った瞬間に相手の剣が切られて飛んでいく。ついでに勇者の首も


「ガハッ……」


殺しても何も感じないな。まぁそれなりに悪だったし、こんなものか。もしかしたら俺は人を殺すのに嫌悪感などは抱かないのかもしれない


勇者の死体は燃やしておく。火葬になるのか分からんが魔獣になられても困るし処理


次だ


俺は二人で行動している女勇者達を止めに行く


◇◆◇◆◇◆


〜マーリナ視点〜


「ツールドさんもう大丈夫です。そろそろ勇者とやらを殺しに行きます」


「えっ、うん」


私は勇者を探す。あの空に浮いているのがそうなのでしょう


「先生、アレが勇者で会ってますか?」


「あ、あぁ。初等部一年主席のマーリナ君か。危ないから下がってなさい」


先生方が全員で結界を張って攻撃を防いでいるようですが、反撃が出来ないので時間稼ぎですね


「理事長が来れない今、時間を稼いでも意味無いでしょう。私が出ます」


「なっ、危険だ!待ちたまえ!」


知りません。聞こえません。私は兄様に頼まれたことをしっかりやるだけです!


見ていてください兄様!このマーリナ、兄様の為なら人族をも殺し尽くして見せましょう!


でもまずは、この勇者(ゴミ)からですね


「極大氷魔法:コキュートスエッジ」


触れたもの全てを死に至らしめる氷の刃。その数は五十


「殺せ」


手を振り下ろすと、その刃は勇者目掛けて飛んでいく


「ん?…なっ!」


勇者が気づいた時には既に死の刃はそこまで来ていた


ふふ、兄様に対抗できるように作った魔法です。お披露目はもっと先のはずで、兄様に最初に見てもらいたかったですがまぁいいでしょう。この際こだわりは捨てます


「極大火魔法:コロナブラスター!」


熱光線が氷の刃を消していく


むむ、もう少しで届いたのですが


私はこちらに向かって移動し始めた熱光線を止めるために魔法を使う


「極大氷魔法:アブソリュート」


全てを凍らせる魔法。それは極大火魔法であっても例外ではない


そこには大きな氷柱が出来ていた


「凄いね。魔族に勇者と対抗できる存在がいたとは。でもまぁ、本気じゃなかったしここからかな」


ふん、メガネの優男ですか。イケメン、というやつなのでしょう。整った顔立ちです。生憎私は兄様しか見ていないですけど


「極大雷魔法:アームズブロンテース」


父が作ったという雷乃泉と同じような魔法だが、こちらは太い腕が何本も出ている。その手には雷でできた様々な武器が


「何だい、その魔法」


「教える必要があるのですか?」


いちいち言葉を交わす必要も無いが、まぁいいでしょう


「やれ、アームズブロンテース」


「っ!」


本気じゃなかったと言うのは嘘ではなかったようですね。投げる武器全て躱されています。まぁ、余波でいくらか傷を負っているようですが


「飛びます、アームズブロンテース」


翼のように形を変えて空を飛ぶ。相手ばかり飛んでいるのはこちらが不利です


「なんて言うか、魔族なら普通に飛ぼうよ」


できないことは無いですけど、誰もやりませんよそんなこと。体力無駄に使うし、動きにくい。攻撃できるこちらの方が便利なんです。教えませんけど


「そろそろ死んでいただけないでしょうか?兄様をお待たせするわけにも行きませんので」




「へぇ、兄がいるの。じゃあその兄の前で犯してあげるよ!君可愛いからね。魔族ってのが残念なくらい」




「あぁ?何言ってんですかこの底辺陰険メガネ勇者。お前に抱かれるくらいなら自ら命を絶ちますよ。そうなる前に殺しますけど。えぇ、今すぐに!」


頭が真っ白になった。コイツを殺す、それ以外考えられない。会話した私が馬鹿だった。言葉だけで汚された気分だ。いや、汚された


「シッ!」


私は隠していた槍を取り出して突き出す


「危ないなぁ!」


剣で受け止められる。本当にさっさと死ねばいいのに


「槍術:連牙」


高速で突きを繰り出す技。割と対応はしやすいですが、手数が多く対応に回りすぎてしまう人も多いので使ってみました


「くっ、おおおお!!!」


粘りますね。スキルでは対応出来ないのか、自分の腕だけで防いでいます。まぁそれでも防ぎきれずに傷を増やしていますけど


拮抗したのも少しの時間。勇者は後ろに距離を大きく取りました


「剣術:飛竜!」


飛ぶ斬撃が竜のように形を作り私を追ってきます。この程度ですか


「アームズブロンテース」


翼から羽を飛ばします。勿論雷で出来ているので威力はそれなりにある


斬撃を消し飛ばして飛んでいく羽


「クソ!こんな馬鹿なことがあるかっ!勇者が魔族に負けるなんて!」


はぁ?何言ってんでしょうかこの勇者。昔は殺し合うのは当たり前だったというのに。ま、そろそろ死んでいただきます


「アームズブロンテース:槍付与」


翼から少しずつ槍に雷が移っていく。その色は黒い


「穿ち喰らえ、グラ・キュクロープス」


私は全力で槍を投げる。凄まじい速さで飛んでいく槍は周りに衝撃を与えながら進んでいく


「そんな細い槍で何が出来る!斬り捨ててくれる、剣術:破断!」


そんな技で切れるわけがないでしょう。勝負つきました


「ぐ、うぉぉおおおおお!!!」


数秒耐えた剣も砕け散って槍は勇者の胸を貫いて止まる


「そん、な。クソ、この僕が……」


そこで落ちた。地面に激突しぐちゃぐちゃになってます。汚い……


残った黒雷がその全て焼き尽くした。槍も無くなってしまったが仕方がない


「マーリナ殿!大丈夫!?」


地上に戻るとツールドさんが駆け寄ってきた。後ろにはマリアさんとアレンさんも


「えぇ、問題ありませんよ。それより兄様はまだですよね?間に合ってますよね?」


「うぇ!?う、うんまだ来てないよ!肩揺すらないでぇ!」


ほっ、良かった。間に合ってなかったら兄様に顔向けできないですからね!


ただ、こうして間に合ったので早く帰ってきて褒めて欲しいです。あぁ!兄様ぁ!


◇◆◇◆◇◆


ん、勇者の気配が一つ消えた。マーリナが倒したんだろうな。流石だ


俺は今女勇者二人組の後ろにいる。なんか見覚えある背中してんだよなぁ


「ね、ねぇ。あの子達を殺すの?」


「……ふぅぅ、よし殺るわ!」


「殺されるのは困る。お前達抵抗はするな。切るぞ」


なんか覚悟を決めていたっぽいが止まっているなら的だ。声だけかけておいて、さっきのやつみたいに悪人なら殺す。そうじゃないなら、取り敢えず説得してみる


「えっ、いつの間に後ろに!」


「癒奈私の後ろへ!」


急いで振り返る二人を見て、俺はつい呟いてしまった


「水無月と神凪……?召喚されたのって、お前らだったのか」


元クラスメイトで、割と仲が良かった二人の女子


「えっ」「なんで苗字……」


ヤバッ、今の俺はディアンで見た目も前世とは違うんだ。わかるわけが無い


「あーーー、抵抗はするな。お前達はもう射程内だ。出来れば殺したくはない。大人しく捕まれー」


「「………囷巴(君)みたい」」


なんでバレかけたんだよ!!!


おかしくね?見た目違う、年違う、世界違う、種族違う、性格は一緒だけどさ、普通気づくわけないじゃん!?


い、いやまだバレてない!


「な、んの事だ?俺はディアン=フォーループ。その、囷巴なんてやつは知らない」


「癒奈、どう思う?」


「んー、捕まっていいならどうにかなるかも」


「いいよ。正直魔族を殺すのがこんなに辛いとは思わなかった。盗賊と違って普通に暮らしているだけなんだもの」


聞こえてるんですけど


「あの、素直に捕まるので幾つか質問していいですか?」


神凪がそう言いだした


「それでいいならいいが」


「白髪や銀髪好きですか?」


「あぁ」


「眼は赤がいい?」


「うん」


「妹とかロリの方が好きかもしれない?」


「そうかもしれない」


「えぇー、白髪赤眼のロリとか無いですねー」


「んだとコラァ!神凪お前そんなこと言うやつじゃなかっただろ!」


「やっぱ囷巴じゃんか!!」


「囷巴君何でそんなちっちゃくなっちゃったんです!?」


やべぇぇええ!!!自分で名乗ったようなもんじゃんこれ!


い、いやでもさ。好きなキャラとか否定されるとムカつくじゃん?いい所上げてきたくなるじゃん?


「囷巴とか知らない。誰それ」


「もう騙されないんだかんね!囷巴、なんで魔族になってるの!」


水無月が肩を掴んで揺すってくる


「落ち着け!ちょっと転移()ぶぞ!」


俺は二人の手を掴んで魔王城に転移する。こういうのは情報を伝える時纏まっていると楽だからな


「アストレイ様を呼んでくれ!」


「なっ、人族!?それに魔王様の友人か?」


「早く!」


通りがかった兵士を呼び止めてそう言う。驚かれたがそんな場合ではない


少ししてから淳也が門に出てきた


「ディアっちゃんどうし……た?」


「あれ、淳也君?」


「淳也、何してんの?」


「何で水無月と神凪がここにいんの?」


取り敢えず個室に移動させろ


◇◆◇◆◇◆


「で、どうなってんの樟っちゃん」


「勇者召喚されたらしい。理事長から聞いてないのか?」


「聞いてない」


マジかよ


「で、淳也は魔族なの?」


水無月、態度でかいな


「俺は魔族だぞ。魔王やってる。四十年くらい前からな」


「「えっ」」


まぁそうなるよな。こっちみても何も言えんぞ


「囷巴君も……?」


「俺は見たまんまだ。十歳」


「ち、ちょっと抱きしめていい?」


「水無月……魔族は精神的成長が早い。羞恥心持った方がいいぞ。それに俺自身の中身は高校生だった頃のままなんだが?」


「うっ、そんなエロ餓鬼はお断りだわ」


そうしとけ


「そういや、勇者の二人がここにいるってことは学園に勇者が来たのか?」


そうだった!テレーズ忘れてた!


最強(テレーズ)を理事長に任せっぱなしだった!行ってくる」


「あー、待て待て。師匠なら大丈夫。それ以外の勇者は?」


「それ以外は殺した。一人は俺、もう一人は多分マーリナだな」


確証はないけど多分あってると思う


「残りは狂った勇者だけか。ならいい。ここで話をしてから行け」


「そんな悠長な」


「いーから。ほら続き」


むぅ、まぁいい


「召喚されたのは二人だけか?」


淳也が質問する。確かに情報は大切だな


「えっと、聖斗と湊音が一緒に召喚されたんだけど、盗賊が殺せなかったから参加してないの」


うげ、稲守が来てんのか


「嫌そうな顔すんな。樟っちゃんは稲守嫌いだっけ?」


「いや、なんか正義感が薄っぺらいし、周りを巻き込むのはどうなんだって感じ」


「あー、分かる」


「ちょっと二人ともー?ダメだよ悪口は」


神凪はお人好しだよな。こうしてここにいるのも水無月が心配だったからだろう


「それで、勇者はどうする決まりなんだ?」


「あー、まぁ牢にでも入ってもらえばいいだろ」


ふーん。やっぱりそうなるのか。あ、じゃあ


「俺が前使って綺麗にした牢屋あんだろ?」


「あぁ」


「あれ使わせてやれよ」


「んー、まぁいいだろ」


何故か苦笑いの淳也。なんなんだ?


「じゃ、後は淳也に任せる。二人は当分の間外に出せないからそのつもりで」


「あ、うん」「分かってます」


二人は素直に頷く。よしよし


「淳也、説明と情報収集は任せた。俺は理事長のとこ行くわ」


「おう。忙しいな樟っちゃん」


「……そう思うなら魔族の質を上げてくれ」


「善処する」


対応できる人がいれば俺だってこんなに働かない。任せてさっさと逃げていただろう


「転移」


それが出来ないからこうして動いているわけだけども。早く平和にならないかなぁ!

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