ディアン悟る
「ーーー……であるから。っと、授業はここまで。この続きは明日だな」
終わったぁ!
走った後は座学が3時間。マジで苦痛だよ。主に眠気がやばかったわ
昼休憩の後はまた訓練だ。また走るのかな
「ディアン、お昼どうする?」
トゥーラが声をかけてきた。うーん、どうしよっかな。弁当があるわけじゃないし、学食か購買か
「に、兄様」
悩んでいると、マーリナが声をかけてくる
「どうしたんだ?」
「実は、お弁当をご用意させていただきました」
マ、マーリナの手作り弁当だと!?
「そ、そうなのか。ありがとうマーリナ」
「いえ!それで、何処でお食べに?」
「あー、トゥーラはどうするんだ?」
「あ、僕もお弁当があるからどこでも構わないよ」
そうか。じゃあ元の世界風に机くっつけて食べる事にしよう。ちょっと動かしずらいけど
「トゥーラ、その机こっちくっつけられるか?」
「え、あぁ。分かった」
俺の机の隣にトゥーラの机をくっつける。横長なになるが仕方ない
「マーリナが真ん中に座ればいいな」
「では、失礼しますね」
横一列で弁当を広げる
中は……サンドイッチか。これから運動するから軽い食事で助かるな。あまり食べすぎると吐く……
挟んであるのは卵とハムだったり、ツナだったり、ベーコンレタストマトだったり、色々使われていた。うむ、彩りもいいし味もうまい
「美味しいよマーリナ」
「良かったです。といってもパンに挟んだだけですけど」
「いや、これくらい軽い方がありがたい」
「そうだね。これから運動するもんね」
「そういえば、午後って何するんだろ」
俺はそう聞くと、トゥーラが答えてくれた
「えぇー、聞いときなよ。午後は検査の結果貼り出しとクラス対抗戦の代表決めでしょ?」
あぁ、そんなこと言ってたな
このクラス対抗戦というのは、毎年やってる行事らしい。新入生に何やらせてんだと思わなくもないが、人気らしいのでまぁいいだろう
で、選抜されたメンバーは周りとは違う訓練を受けるらしい。いかにもだるそう……俺は出れなくていいや
「マーリナ、頑張るといい」
「もう、兄様もやる気を出したら確実に入れるんですから少し頑張ってください!…………ま、まぁそんなところもいいんですけど(ボソッ」
後半は聞き取れなかったが、やる気ねぇ
「悪いが面倒はゴメンだ。俺の目標は辺境でゆっくり暮らすことだからな」
「アハハ、ディアンそんな目標立ててたの?」
トゥーラが俺の言葉を笑う。魔族は一般的に魔王軍に入りたいみたいだからな
「いーんだよこんな魔族がいても。全員が魔王軍に入れるわけじゃないし」
「兄様がやりたいことをすればいいかと!僭越ながら私がサポートさせていただきます!」
マーリナはいい子だなぁ
頭を撫でると頬を染めて嬉しそうにする
「はぁ、ディアンなら魔王軍でも軍団長くらいになれそうなのに勿体ないなぁ」
トゥーラがそう言うが興味無いからなぁ
「ま、その分トゥーラが頑張ってくれ。訓練したいなら付き合うしな。マーリナも軍に入れるように努力すること!そうすればマーリナの将来安泰だから。軍団長にもなれば一般兵よりは比較的安全だしな、司令塔だし」
死なれては困るだろうから警護のやつもいるだろうし
「兄様がそう言われるならそうしますが……離れるのは嫌です」
「ははっ、大丈夫。軍に入っても会いに行くから。まぁでも入れるかは分からないけどね」
未来なんてわからないものだ。未来視なんてそうそう出来るもんじゃない
「取り敢えず、マーリナとトゥーラは選抜に入ること。もちろん出来るな?」
「兄様がそう望むなら」
「ま、僕も頑張るよ。……そうだな。ディアン、僕が代表になれたらお願いを聞いてくれるかい?」
お願い?まぁトゥーラは無理なことは言わないだろうし、構わないか
「まぁいいぞ。ただし俺に出来ることでよろしく」
「勿論さ」
ニヤッと笑うトゥーラに少し不吉なものを感じたが、気にしないことにした
◇◆◇◆◇◆
「さて、じゃあ結果を貼るぞ」
黒板に貼り出したのは魔力数値のみ。流石にスキルとかは公開しないか
俺はっと、うわ下から数えて4番目。やっぱ5万は少ないか
しかし、下に3人も。順位が余り高くなかった奴らだな
「はっ、次席が魔力5万だと?やはり試験結果は当てにならんな。このような雑魚が次席とは」
コーノンがそう言う。何なんだこいつ
ただ、この言葉は教室中に広まり、当然それに同調するものも出てくる。順位下位者達だ。このクラスでは、だけど
「確かに、次席であの魔力量はおかしい」
「試験ではイカサマしたんじゃないのか?」
「親の七光りかも……2帝のお力か」
そんな事を囁いている。まぁ関係無いけど
ーーーガタンッ!
そんな中、マーリナが勢いよく立ち上がった
「兄様を侮辱するのですね、貴方がたは」
膨大な魔力を放出しながら教室をグルッと見回す。凄い威圧感だ。このクラスのやつでも厳しいんじゃないか?
セリア先生も頬に汗を浮かべている
「マーリナ。その位にしておきなよ」
「ですが兄様!」
「マーリナ」
「……分かりました。でも次は無いですからね」
放出していた魔力を収めて座る。何とかなったか
「お、お前ら!マーリナ=フォーループを怒らせるなよ!」
セリア先生がそう言うと、一斉に頷いた
「……気を取り直してクラス対抗戦の代表だがな」
誰が選ばれるかは大体予想がついているんだけど、やっぱりこうあうのはワクワクするよな、自分が出なければ
「私が勝手に決めさせてもらった」
え、マジで
「マーリナ=フォーループ。ディアン=フォーループ。アラースト=リオレール。オーディー=スタチュア。ヤーナル=レナルーフ。以上5名だ」
俺入ってんじゃん!
「セリア先生。俺は辞退します」
「却下だ」
即答かよ何でやねん!
「理由をお聞きしても?」
「実力」
「………そうですか」
もういいや……
「セリア先生、俺よりタナートの方が強いが?」
ヤーナルがそう言うと、セリア先生は頭をかいた
「上が、ってか貴族に反発されたかねぇ国が平民を試合に出すなってよ。けっ、まともに働かねぇくせに」
口悪くなってるな。そんなに嫌いなのか貴族
「それで、この選抜に異論は認めない。だがそうだな……選抜組の奴に勝てたら変わってもらうかもしれんな?」
その言葉て、一斉に俺を見るクラスのヤツら。ただし特待生組を除く
これ、喧嘩ふっかけられるだけやん……