アレクルトの恋 - 1
「アレクルトの恋」は不定期で入れていきます。
ヘルミーの件が無事に解決し、オレとヘルミーは冒険者ギルドに向かっていた。
「そういえば、ヒーロさんって何級の冒険者ですの?」
「第7級だけど」
「えっ!?」
「まだ依頼も5個ぐらいしか受けたことないよ」
しかも冒険者として活動してからまだ10日ぐらいしか経っていない。
「ヒーロさんが第7級なんてありえませんわ!」
「というか、どうやったら級上がるの?」
「!?」
オレって冒険者登録を経験してないから級の上げ方知らないんだよな。知識には時と場合によるみたいな感じだし。
「わたくしがお聞きした話では、依頼を一定の回数こなすことやギルドから信頼されることで進級試験を受けることができるそうですわ」
「へぇ、まだ5回だから無理だろうな」
「……ヒーロさんは級を上げることにご興味がないのですね?」
「まぁな、級をあげることは目的にしてないな」
お金は魔石を売ればいいし、難しい依頼をこなしたいわけでもないからな。いまのところ級をあげることのメリットがあまりない。
「機会があれば上げる程度でいいかな。ヘルミーは上げることを目的にしてるから頑張らないとな」
「そうですわね。わたくしは貴族になるのが目的ですのね」
いずれにしてもヘルミーはまだまだ鍛えないとダメだからな。
そうこうしているうちにオレらはギルドについた。ギルドに入るとオレは酒場で見知った顔を見つけた。
「ヘルミー、冒険者登録はあの2人のお姉さんがいる受付でできるから。オレはちょっと知り合いがいたから声をかけてくるよ」
「あっ、はい。わかりましたわ」
ヘルミーには多少のお金は持たせているので1人でも冒険者登録はできるだろう。オレは酒場にいるその知り合いのところに向かった。
その知り合いというのはアレクルトさんのことで、オレが近づくとアレクルトさんはわざわざ立ち上がってくれた。
「アレクルトさん、こんにちは」
「こんにちは、ヒーロさん。その節はありがとうございました」
オレはアレクルトさんに促されて向かいの席に座り会話することになった。ちなみに、アレクルトさんの前には水しかなく食事をしている感じではなかった。
「仕事のほうは順調ですか?」
「えぇ、排水路のほうは順調に完了しました」
「それは何よりです。ところで休憩中ですか?」
「え、えぇ。休憩中です」
うーん、何か気にしている感じがするな。オレと話してるわりにギルドに誰かが入ってくるたびに視線がそちらに動きすぎている。
「どなたかお待ちなんですか?」
「え? あぁ、気づかれましたか?」
「えぇ、まぁ」
ものすごくわかりやすいからな。この人仕事では誤魔化すとかできないタイプだな。
「実は騎士団の支部長を待っておりまして」
「もう来られるならオレはお暇しますが」
「いえ、待ち合わせとかではなく、そろそろ街に戻られるかなと思ってまして」
「どういうことですか?」
「えーとですね。いまレトナークに駐在している騎士団の一部が東のルベルバック王国との国境あたりの戦闘に参加しておりまして、その部隊がそろそろ戻るかなと」
なるほど、支部長もその戦闘に参加しているということか。
「いつごろ戻られるんですか?」
「いえ、正確にはわかりません」
「ん? もしかしてなんとなくで待ってるんですか?」
「はい……そろそろかなと。3日前からいつもこの時間に1時間ぐらい待ってまして」
「はぁ……ちなみになぜ冒険者ギルドでお待ちなんですか?」
「今回の依頼はギルド経由だったからです」
「なるほど」
なんかパッとしない感じがするなぁ、なぜそこまでして待っているのかがわからない。
アレクルトさんとの会話が途切れたタイミングで近くにいた男が声をかけてきた。
「アレクルトさん、そんな待ってもまだ来ないですって。愛しのエリナさんは」
「!? お、おい! 大きい声で言うな!」
「バレバレなんですから大丈夫ですよ!」
「ッ……」
そういうことか、アレクルトさんはそのエリナさんという支部長を待ってるわけか。
「エリナさんはアレクルトさんの恋人なんですか?」
「ぅ……」
「お兄さん、違うぜ。アレクルトさんが好きなだけだぜ」
「なるほど」
声をかけてきた男がアレクルトさんの代わりに答えてくれた。片思い中の人の帰りを待ってるわけか。まぁ、戦地からの帰還であれば今か今かと待つ気持ちもわかるけどな。
すると先ほど話しかけてきた男がまたアレクルトさんに話し始めた。
「アレクルトさん、エリナ支部長なら大丈夫ですって、第2級相当の実力を持ってるんですから」
「そ、そうだけど」
へぇ、エリナさんは第2級相当なのか。アウレーゼさんに会ったことはあるけど、そもそも第1級と第2級の差がわからないな。
「わ、私、休憩が終わりますのでそろそろ行きますね」
「あっ、はい。すいません話しかけてしまって」
「いえ。ヒーロさん、また機会があれば一緒に仕事しましょう」
「えぇ、お願いします」
アレクルトさんがそそくさとギルドを去っていくのを見ていると、ちょうどヘルミーが戻ってきたのでそのまま合流することにした。
「ヒーロさん、さきほどの方は?」
「ここの領主の息子さん。以前一緒に仕事したから挨拶してた」
「へぇ、領主の息子さんとお知り合いなんですね」
あの感じだとアレクルトさんが領主になるのはまだまだ先だろうな。
「あっ、デマリリーさんがヒーロさんをお呼びでしたよ」
「ん? 何の用だろう?」
2人で受付に向かうと、デマリリーさんが笑顔でこちらを見ている……オレ、何かしたかな?
「ヒーロさん、こんにちは」
「こんにちは、何か用でもありましたか?」
「そろそろ依頼を受けてくださいね。――あと、ヘルミーさんとはどういうご関係なんですか?」
用事というのは後者のほうか。とりあえず返答はヘルミーと合わせとかないとおかしくなるから。
「ヘルミーはどう答えたの?」
「わたくしは、ヒーロさんに面倒を見ていただいているとお答えいたしましたわ」
「デマリリーさん、そういうことです」
「ぐぬぬ……」
何も間違っていないのに、デマリリーさんが納得してくれてなさそう。
そんなデマリリーさんを見かねてか横からダニエマさんが会話に入ってきた。
「リリーはヒーロさんのことが気になってるんだよねぇ」
「ちょっと、エマ! 何を言ってるの!」
「えぇ、でもぉ、ヘルミーちゃんみたいなかわいい子の面倒見てたら間違いも起きますもんねぇ」
いや、それが起きないんですよね……他にいるから。
「ダニエマさん、そのあたりのことヒーロさんにもっとおっしゃってください。わたくしに手を出せと」
「ちょっと、ヘルミーさん何を言ってるんですか!?」
「ははっ、ヘルミーちゃんも面白いねぇ」
女三人寄ればかしましいとはこのことだな。




